第四十話 王都エルディア
翌朝
浩平は王都へ続く街道を歩いていた
朝日を浴びた城壁は
昨日よりもさらに大きく見える
街道には
王都を目指す人々が絶えない
「いよいよですね」
浩平は小さく呟いた
――――
巨大な城門の前には
長い列ができていた
商人
冒険者
旅人
順番に身分証や荷物を確認されている
「次」
衛兵に呼ばれ
浩平は前へ出た
「名前は?」
「相沢浩平です」
「職業」
浩平は少しだけ考え
笑顔で答えた
「便利屋です」
衛兵は一瞬だけ首を傾げる
「……便利屋?」
「はい」
「修理や修繕荷運び
人探しなどをしています」
衛兵は苦笑しながら記録を書き込む
「そんな職業は初めて聞いた」
「では」
「王都へようこそ」
門がゆっくり開く
――――
浩平は一歩
王都へ足を踏み入れた
広い石畳
何階建てもの建物
行き交う人々
露店から漂う香り
大道芸人の歓声
どれもが
今まで訪れた町とは比べものにならない
「すごいな……」
思わず足を止める
その時だった
工具箱が静かに光る
【新たな拠点を確認しました】
【王都エルディア】
【依頼を受信しています】
浩平は苦笑する
「着いたばかりなんだけどな」
周囲を見渡す
困っている人
忙しそうに走る職人
荷物を運ぶ商人
この町にも
困っている人はたくさんいる
「さて」
工具箱を肩へ掛ける
「次はどんな依頼だろうな」
その時
王都の大通りから
「誰か便利屋はいないか!」
という大きな声が響いた
浩平は思わずそちらを見る
そして
ゆっくり歩き始めた
王都での便利屋生活が
今
静かに始まろうとしていた
第四章 王都への道 完
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
第四章では、王都を目指す旅の中で、多くの人との出会いや依頼を描いてきました。
旅は決して一人では進められず、人とのつながりがあってこそ前へ進めることを、浩平も改めて感じた章だったと思います。
そして、ついに王都エルディアへ到着しました。
次章では、これまでとは比べものにならないほど多くの人々や新たな依頼が待っています。
便利屋として、浩平はどんな出会いを重ねていくのか。
引き続き、『異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~』をよろしくお願いいたします。




