第三十一話 渡れない街道
### 第四章 王都への道
ここから第四章「王都への道」が始まります。
港町レヴァンを旅立った浩平は、王都を目指して街道を進みます。
旅の途中にも、困っている人がいれば依頼はやってきます。
新たな出会いと新たな依頼を、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからも『異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~』をよろしくお願いいたします。
港町レヴァンを出発して三日
浩平は王都へ続く街道を歩いていた
両脇には深い森が広がり
街道には商人や旅人の姿が絶えない
「王都まで、あと十日くらいですか」
隣を歩く商人が頷く
「順調ならな」
「この街道は王都へ向かう一番の近道なんだ」
浩平は工具箱を肩に掛け
穏やかな景色を眺めながら歩いた
その時だった
「止まれー!」
前方から大きな声が響く
旅人たちが次々と立ち止まった
「どうしたんですか?」
浩平が近付くと
そこには大きな川が流れていた
そして――
橋が崩れている
中央部分が完全に落ち
向こう岸へ渡ることができない
「昨日の大雨だ」
近くの商人が肩を落とした
「これじゃ馬車は渡れない」
後ろを見ると
荷馬車の列ができ始めていた
荷物を運ぶ商人
巡礼者
冒険者
誰も先へ進めない
その時だった
【依頼発生】
依頼内容 旅人が安全に川を渡れるようにしてください
依頼人 街道を行き交う人々
報酬 銀貨四十枚
受注しますか?
YES/YES
「お受けします」
浩平は崩れた橋へ近付いた
石材を確認する
橋脚を見上げる
川の流れを眺める
しばらく黙って調べたあと
小さく頷いた
「完全に壊れているわけじゃない」
「橋脚は生きています」
近くにいた旅人が顔を上げる
「直せるのか?」
「……できます」
「ただ」
浩平は川幅を見つめた
「今日中には終わりません」
周囲が静まり返る
「急いで雑に作れば危険です」
「渡る人が怪我をしたら意味がありません」
その言葉に
誰も反対しなかった
「今日はここで野営しましょう」
「明日の朝から直します」
商人が口を開く
「手伝えることはあるか?」
冒険者も一歩前へ出る
「俺たちも力を貸そう」
浩平は少し驚いたあと
静かに笑った
「ありがとうございます」
「では、明日」
「皆さんの力を貸してください」
夕日が街道を赤く染める
崩れた橋の前には
焚き火の明かりが灯り始めた
明日には
再び人が渡れる橋を造る
そう心に決め
浩平は静かに工具箱へ手を添えた




