第三十話 新たな依頼へ
港町レヴァンへ来て
ひと月近くが過ぎていた
港には今日も活気がある
漁船が行き交い
市場には威勢のいい声が響く
浩平は宿の前で空を見上げた
「いい町だったな」
その時
宿の女将が一通の手紙を持ってきた
「便利屋さん」
「商人組合からだよ」
「ありがとうございます」
封を開く
中には依頼書が入っていた
【依頼発生】
依頼内容 護送依頼
依頼人 商人組合
報酬 銀貨四十五枚
受注しますか?
YES/YES
「次の町ですか」
依頼書には
目的地が書かれていた
**王都エルディア**
「王都……」
今までで一番大きな町になる
――――
出発の朝
港には多くの人が集まっていた
漁師のバルト
宿の女将
港の管理人
子どもたち
「便利屋さん!」
「また来てくれよ!」
「今度は魚をもっと用意しておく!」
浩平は笑顔で手を振る
「依頼があれば」
その言葉に
みんなが笑った
――――
馬車がゆっくり動き出す
港町が少しずつ遠ざかっていく
その時
レオンが馬を走らせてきた
「浩平!」
馬車が止まる
レオンは一枚の封筒を差し出した
「王都の冒険者ギルド宛てだ」
「紹介状ですか?」
「ああ」
「困った時だけ使え」
浩平は封筒を受け取り
深く頭を下げた
「ありがとうございます」
「世話になりました」
レオンは笑う
「礼なら」
「また会った時に聞こう」
二人は固く握手を交わした
――――
馬車が再び走り出す
港町はもう小さく見える
浩平は工具箱を膝に置いた
静かに蓋へ手を添える
工具箱は
何も語らない
それでも
ここまで一緒に旅をしてきた相棒だった
「さて」
浩平は前を向く
「次はどんな依頼だろうな」
青い海を背に
便利屋は
新たな町へ向かって歩みを進めるのだった
第三章 港町レヴァン 完
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
第三章では、港町レヴァンを舞台に、漁船や灯台、港を守る仕事など、海ならではの依頼を描きました。
また、浩平の戦う力や、「便利屋」として人を守る姿勢も少しずつ描き始めています。
次回からは第四章が始まります。
新たな舞台、新たな出会い、そして新たな依頼が浩平を待っています。
引き続き、『異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~』をよろしくお願いいたします。




