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異世界便利屋~魔王討伐から小さな依頼まで承ります~  作者: 椿綺
第三章 港町レヴァン
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第二十七話 泣いていた少女

港へ向かおうとした浩平は


町の入口で立ち止まった


小さな少女が


一人で辺りを見回している


何度も人混みを見渡し


今にも泣き出しそうだった


「どうしたの?」


浩平が声を掛ける


少女は驚いて振り向く


「お父さんが……」


「いなくなっちゃった……」


その瞬間


【依頼発生】


依頼内容 迷子の父親を探してください


依頼人 少女 エル


報酬 少女の笑顔


受注しますか?


YES/YES


「もちろん」


浩平は優しく笑った


「一緒に探そう」


――――


少女から話を聞く


父親は漁師



市場へ魚を届けに来たまでは覚えている


「最後に会った場所は?」


「港……」


浩平は頷く


「行ってみよう」


市場を歩く


魚屋へ聞く


荷運びの男へ聞く


パン屋へ聞く


少しずつ情報が集まっていく


「船着き場の方で見たぞ」


その一言を頼りに


港へ向かった


――――


桟橋では


一人の男が荷物を運んでいた


少女が大きく手を振る


「お父さん!」


男は振り向き


目を丸くした


「エル!」


父親は慌てて駆け寄る


「どうしてここに!」


「探したんだから!」


少女は涙ぐみながら抱き付いた


父親は何度も頭を下げる


「すみません」


「荷下ろしが長引いてしまって……」


浩平は笑う


「見つかって良かったです」


――――


父親は銀貨を差し出そうとする


しかし


工具箱が静かに光った


【依頼完了】


報酬を受け取りました


報酬 少女の笑顔


表示はすぐに消える


浩平は銀貨を押し返した


「今回はもう受け取ってます」


父親は不思議そうな顔をする


少女は満面の笑みで


「ありがとう!」


と頭を下げた


その笑顔を見て


浩平も自然と笑顔になる


――――


その様子を


通りの向こうからレオンが見ていた


隣に立つ若い冒険者が尋ねる


「どうして見ているだけなんです?」


レオンは静かに答える


「あれが便利屋だ」


「魔物を倒すだけが


人を助けることじゃない」


若い冒険者は


浩平と少女を見つめながら


小さく頷いた


港町には


今日も穏やかな時間が流れていた


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