第二十六話 冒険者ギルド
翌朝
浩平は宿を出ると
港へ向かって歩いていた
その途中
一人の男性に呼び止められる
「便利屋の相沢浩平さんですね」
振り向くと
昨日見かけた
冒険者ギルドの紋章を付けた男が立っていた
「はい」
「少しお時間をいただけますか」
「依頼ですか?」
男は小さく笑う
「いえ」
「話をしたいだけです」
浩平は頷いた
「それなら」
――――
案内された先は
港町レヴァン冒険者ギルド
朝から多くの冒険者で賑わっていた
依頼書を眺める者
装備を整える者
仲間と打ち合わせをする者
浩平は辺りを見回した
「活気がありますね」
「町を守る者たちですから」
男はそう答え
二階の部屋へ案内した
扉を開ける
そこには
昨日港で見かけた男が座っていた
「初めまして」
「私はこの町のギルドマスター
レオンだ」
「相沢浩平です」
二人は向かい合って座る
――――
「昨日の戦いを見た」
レオンは率直に切り出した
「見られていましたか」
「魔物を一撃だったな」
浩平は少し考える
「あのままだと
子どもが危なかったので」
「それだけか?」
「はい」
レオンはしばらく黙っていた
やがて
静かに笑う
「面白い男だ」
「強さを自慢しない」
「功績も欲しがらない」
「港では
英雄扱いされているぞ」
浩平は困ったように頭をかいた
「港が無事なら
それで十分です」
――――
レオンは立ち上がる
壁に掛けられた地図を指差した
「この世界には
強い者は多い」
「だが」
「守るために戦う者は
そう多くない」
浩平は黙って話を聞いていた
「お前は便利屋だそうだな」
「はい」
「これからも
便利屋でいるつもりか」
浩平は迷わず答えた
「もちろんです」
「依頼がある限り」
レオンは大きく頷いた
「その答えが聞きたかった」
――――
部屋を出る時
レオンが一枚の木札を渡した
そこには
冒険者ギルドの紋章が刻まれている
「これは?」
「困った時は見せろ」
「ギルドとして力を貸そう」
「入会証ではない」
「友人への証だ」
浩平は木札を受け取り
静かに頭を下げた
「ありがとうございます」
ギルドを出ると
潮風が吹き抜ける
工具箱を肩へ掛け
港を見渡した
「さて」
「今日はどんな依頼が来るかな」
その時
港の入口で
一人の少女が不安そうに辺りを見回していた
浩平はその姿に気付き
ゆっくり歩き出した




