第十一話 交易都市アルト
第二章「交易都市アルト」が始まります。
第一章「始まりの村」を読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
ここから舞台は交易都市アルトへ。
新たな町、新たな出会い、そして便利屋としての仕事も少しずつ広がっていきます。
引き続き、浩平の異世界便利屋を楽しんでいただけたら嬉しいです。
村を出て三日
荷馬車は街道をゆっくり進んでいた
道中は驚くほど穏やかだった
「魔物は出ないんですか?」
浩平が尋ねると
御者の男は笑った
「街道は商人の命だからな」
「定期的に冒険者が見回ってる」
「だから比較的安全なんだ」
「なるほど」
便利屋も
冒険者も
誰かの生活を支える仕事
そう考えると少し似ている気がした
――――
昼過ぎ
巨大な城壁が見えてきた
「見えてきたぞ」
「交易都市アルトだ」
村とは比べものにならない大きさだった
高い城壁
何台もの荷馬車
行き交う人々
商人の呼び声
子どもたちの笑い声
「すごいな……」
思わず足を止める
「田舎者みたいだな」
御者が笑う
「実際そうですから」
浩平も笑い返した
――――
門をくぐると
町はさらに賑やかだった
露店が並び
果物や布
見たことのない道具まで売られている
「あれも修理できそうだな」
思わず口にすると
御者が吹き出した
「まずは観光じゃないのか?」
「職業病ですね」
二人で笑う
――――
荷物を届け終えると
御者が銀貨を差し出した
「依頼完了だ」
その瞬間
工具箱が淡く光る
【依頼完了】
報酬を受け取りました
「便利だな」
銀貨をしまい
工具箱を閉じる
すると
一人の少年が勢いよく駆けてきた
「お願い!」
「便利屋さんなんでしょ!」
「父さんを助けて!」
突然のことに
浩平は目を丸くする
「落ち着いて」
「何があった?」
少年は息を整え
震える声で言った
「父さんが
工房の下敷きになってる!」
浩平の表情が変わる
【依頼発生】
依頼内容 工房に閉じ込められた職人を救出する
依頼人 少年 リック
報酬 銀貨十二枚
受注しますか?
YES/YES
浩平は迷わない
「案内して」
少年は大きく頷いた
二人は人混みを駆け抜ける
交易都市での最初の仕事が
今
始まろうとしていた




