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第3話 拳坤一擲

 楽奈美(らなみ)と波夢子(はむこ)は、人生初となるダンジョンで、手足の生えた鰯のような生き物、強魚(つようお)を追跡している。

 強魚は、基本的に温厚だが、警戒心が強く、近づいてくる物に対しては攻撃的だ。そして、強魚の一撃は、初心者にとっては油断ならない。

 物理的な距離を置いて追跡するのは勿論必要だし、不意打ちをするためには姿を知られないほうが都合がいい。

 そこで楽奈美と波夢子は茂みに潜み、強魚の動向を追っている。

 強魚は、警戒心もなさそうに、点々と見える水たまりの上をベチャベチャとぬめる足で歩く。

 楽奈美と波夢子は、ゆっくりゆっくり、静かに音を立てず、茂みを歩き、茂みが切れたら別の茂みに潜み、慎重に追跡する。

 しばらく進むと、小さな水辺に着いた。


「ここが、目的地…?」


 強魚は1日の半分以上を水の中で暮らす生き物。水辺が安心するのだろう。


「じゃあ、ここで隙を見計らって…」

「待って、ハムちゃん、こっち来る」

「っ!」 


 強魚が急にこちらを向いてのそのそと歩き出した。


「っ、楽奈美、」

「大丈夫だよ。気づかれてないはず。ちょっとだけ下がろっか。慎重に」


 楽奈美は、波夢子を落ち着かせるために、優しく、しっかりと話す。

 ゆっくりと後ろ歩きで下がると、ガサガサという小さな音すら耳障りに感じる。


「き、気づかれてない、はず、だよね…」


 波夢子も頭ではわかっているだろうが、ゆっくり迫る脅威に目が釘付けになり、声が震える。


「うん。大丈夫」


 茂み越しに、強魚と楽奈美の距離がどんどん縮まる。2メートル、1メートル、30センチ、

 目の前すぐ


「っっ」


 波夢子は声を出さぬよう、動かぬよう目をぎゅっとつむる。

 楽奈美は、そんな波夢子の握りしめた手に手を重ねる。

 強魚は前足をゆっくり伸ばす。


「っっ…!」


 そして、茂みから葉を数枚千切る。


「…?」


 そしてそこから2歩離れると、その葉をぐちゃぐちゃと握りつぶす。


「良かったぁ…」


 波夢子はそう言うと体勢を少し崩し、ゆっくりと深呼吸をする。


「葉っぱが欲しかっただけか。じゃあ、また茂みに潜んで隙を、」

「…いや、ハムちゃん」

「ん?」

「これは、ベストに近いよ」

 楽奈美はニッと笑い、魔法を静かに溜める。


「どういうこと?」

「相手が油断してて、こんな至近距離なんて、」


 楽奈美は勢い良く茂みから飛び出し、魔道具から魔法を生成する。


「絶好のチャンスだってこと!」

「楽奈美!?」

「重飛兎(グラビット)!」


 兎型の重力の塊を強魚へ放つ。


「Gyoo!?」


 強魚は驚き、ほっそりとして鱗でぬめる銀色の足を駆りその場から飛び退こうとする。

 しかし、黒い兎は強魚の足にしがみつき、それが出す強力な重力により、強魚は地面に縫いつけられたように動けない。


「援護お願い!」


 楽奈美はそう言うと、グローブに魔力を込め突っ込む。


「gyoraaaaa!」


 強魚は咆哮するが、その場を動かない。

 楽奈美は距離を思いきり詰めながら、勢いづけるように腕をぐるんと回す。


「Giiiiiiiii!!」


 強魚は口から水を噴出した。鉄砲水が、楽奈美の顔面を襲う。


「貝壁(シェールド)!」


 波夢子は魔法で貝殻型の壁を生成し、楽奈美の体を覆い、鉄砲水を防ぐ。防いだ壁は崩壊し、楽奈美はそれをぬって前に出る。


「今だ楽奈美!」


 強魚の水魔法を前に、波夢子を信じ速度を一切緩めなかった楽奈美が強魚の眼前まで距離を詰める。

 強魚もせめてもの反撃が防がれ、打つ手がなさそうにしている。

 楽奈美は強魚へ拳を振り上げ、魔力で生成した合金を纏い、銀色に鈍く輝く武器とする。


「らあああああああ!」

「Giyeeyeyeyeyeyeyeyeyeyeey!?!?!?!」

「隕石激突(メテオストライク)!!」


 楽奈美が振り下ろした拳は、重飛兎により発生した重力により加速し、強魚の、鱗でしか守られていない頭部へ勢いよく直撃する。

 渾身の一撃を食らった強魚は、地に思い切りたたきつけられ、重飛兎でも縛れないぐらいの勢いでバウンドし宙を舞うと、もう一度地に降下した。


 強魚はもう、ぐったりとして動かない。


「……やった?」


 波夢子は茂みからゆっくりと身を出す。楽奈美も、魔法を解除し、波夢子の方を振り向いてぱぁっと笑みを見せる。


「やった。やったよ!」


 楽奈美は大きく両手を挙げる。波夢子も両手を挙げる。


「やったぁぁぁぁ!初勝利ぃ!!」


 楽奈美は波夢子の手のひらに大きく手を打ち付けた。パァンという、少し痛そうなくらい豪快な音がする。


「いっったぁ。あんたのハイタッチ、もはや暴力なんだけど」

「うわっ、ごめんっ!」


 手を痛そうにさする波夢子に楽奈美はててと駆け寄る。


「幸せすぎて態度で示しすぎちゃった」

「ったくもぉ……さて、じゃあ強魚から色々採取しますか」

「だねー、強魚のモモ肉、美味しいらしいよ。ほっぺたから鱗が落ちるぐらい」

「半魚人かおのれは」


 2人は協力して強魚の体を各部位にわける。鱗は安価な魔道具の素材になり、体は栄養満点で、足は美味で高たんぱく、それが強魚だ。


「さすがに界圧7しかないだけあってのどかだね」


 楽奈美は周囲を見渡すが、たまに別の強魚がちらほら見えるぐらいで、襲われる恐れも見当たらない。


「油断は禁物だけどね」


 そう言う波夢子も口調は穏やかだ。


「よーし、この調子でダンジョンを制覇して、華々ばなしいデビューを飾るぞぉ!」

「ばなが多い」


 ダンジョンののどかな光は、初心者冒険者の2人をのどかに照らしていた。



 楽奈美達のいるダンジョンの、遠く遠くの片隅で、

 大地が焼け、草木が燃え、生き物が炭化し、自然と命が倒れ伏していた。

 その中で悠々と立つ影が1つ。

 その影が、ニタリと笑った。

ポケモンチャンピオンズ、皆さんはDLしましたか!?

僕はしました!

ダブルバトルのヤバソチャ、敵の攻撃を引き寄せて味方を守ってから減った体力を回復するの、めっちゃ陰湿で楽しいですね。

チャンピオンズは楽しいけど週2投稿は守っていきたいと思います。

なので次の金曜日7時からの投稿文も読んでくれるとめっちゃ幸せです!

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