猿がすき。
僕は猿が好きだ。
なぜ、動物のなかで一番猿が好きかといえば、すごく馬鹿っぽい答えになる。
猿が、一番人間に近いからだ。
見ていて飽きないし、退屈そうにしている後ろ姿とかを見るとなんだか親近感が湧いてくる。
そうかそうか。暇なんだな。そうだよな、毎日同じ繰り返しで。と感想が出てくる。
そして、思わず、「暇そうにしているなー。そうだよな、暇だよな」と語りかけてしまう。
かつて、自分は、動物園が好きすぎて、職員として就職を試みたことがある。
都内の動物園を管理している会社であったのだが、最終面接で失敗した。
どうしても入りたいとは思っていたはずなのだが、ここは見に行く場所で運営側に回るべきではないなと、無意識に考えてしまったようだった。
それが、どうも見ぬかれてダメだった。
今は、全く何の関係も無い仕事に就いているが、確かにそれで良かったのかもしれないと思っている。
そんなことを考えながら歩いているうちに、大好きな猿のエリアに辿り着いた。
日中の暑さに、うなだれてしまい、全員死んだように寝ているのかと思いきや、意外にも起きていた。まあ、起きているといっても、活発に動いているわけではなかったが。
猿が好きと言いつつも、そんなにもあまり種類に興味がなく、これは何猿だとか覚える気がない。なので、ああ、よく見る猿だとか、なんか珍しい配色だとか、その程度にしか考えない。
黒っぽい小さな猿は、体育座りをして、檻の上のほうで樹の枝にじっとしていた。
時々、自分の手の甲を見つめたり、頭を掻いたりと、退屈そうだ。
そうか、やはり退屈そうだ。
更に上の方では、樹のてっぺんの部位を2匹で争っているやつらがいる。
威嚇したり、キーキーと騒いでいるわけでなく、なんか無言で押し問答している。
喧嘩しているわけでなく、暇つぶしのゲームみたいなものなのだろう。
軽く相手を噛むような動作をしたりしているが、噛まれている方も、別に何も痛くなさそうで、やる気ない顔をしている。
そのうち、片方の猿が、てっぺんを制し、その上に二本足ですくっと立つと、勝ち誇ったかのように、両腕を上に掲げた。
ちょうど、檻の上側が、手の部分にきているため、そのまま檻の棒を握ると、ぶら下がった。
競り負けるほうの猿は、その姿をぼーっと見ている。
毎日、こんな感じで暇をつぶしているのだろう。
猿も本が読めたらいいのになと、思う。
そうしたら、多少は時間を潰せるだろう。
薄暗いので、読書で視力が低下したら可哀想ではあるが。




