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変化
「どうするのよ、博さん……
今さら三歳の子を育てるなんて」
「どうするもこうするも……
なんか外堀も内堀も埋められてる気がするな」
二人はため息をついた。
だが、ふと博が言った。
「……そういえばさ、亜希。
最近、汗が出るって言わなくなったよな」
「え?……あ、そういえば」
亜希は自分の腕をさすりながら、
不思議そうに首をかしげた。
「更年期のホットフラッシュ、急に消えたのよね。
漢方も効かなかったのに……」
「俺も、腰痛がなくなった。
あれだけ痛かったのに、今は全然だ」
二人は顔を見合わせた。
(……まさか、あの子と関係が?)
そんな非現実的な考えが頭をよぎるが、
否定しきれない“何か”があった。
「……なんか、体が軽いのよね」
「俺もだ」
沈黙。
「……気のせいか?」
だが二人とも、同じことを感じていた。
——何かが変わり始めている。




