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翌朝
翌朝。
博が目を覚ますと、隣の布団で小さな寝息が聞こえた。
亜希の腕に抱かれるようにして眠る女の子——昨夜突然現れた“あの子”だ。
「……本当に夢じゃなかったんだな」
亜希も目を覚まし、女の子の髪をそっと撫でる。
「おとうさん、おかあさんは?」
「どこから来たの?」
何度聞いても、女の子は首を横に振るだけだった。
朝食の時間。
女の子は、信じられない勢いで食べ始めた。
「……そんなに食べて大丈夫か?」
「だいじょうぶ」
言い方が妙に落ち着いている。
三歳児の語彙にしては、どこか“大人びている”。
亜希が小声でつぶやく。
「……なんか、次男の雅人が小さい頃、急に言葉が増えた時期を思い出すわね」
「そういえば、長男の秀樹は遅かったな……」
夫婦の記憶が自然に呼び起こされる。




