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オレの生き様はこうだ!~誰がために~

なんで。

なんで、どうして。

どうして、こんなことしたの。



アーリェは決闘場の中心でリカーラと向かい合った。

「ちゃんと話してね。どうしてこんなことしたの?」

「それは……その」

リカーラは俯く。

アーリェはリカーラの胸倉を掴み、左頬を拳で殴った。

「ぐうぅっ……」

「決闘を申し込んだって事は、アーリェと闘うってことでしょ?アリリ相手に勝っても、あたしはまだいる。何がしたかったの?アリリを殺したかったら、別に決闘っていう形にしなくていいでしょ」

「えっと……つまり……」

歯切れが悪い返事が返ってくる。



「死ね」

「殺せ」

観客の野次がうるさくなってくる。



『殺せ』

『血を流せ』



アーリェの頭の中に殺意が湧き上がってくる。



「どうして。理由を言って」

アーリェは何度もリカーラに拳を振り下ろす。

「ううぅ……」

「早く言わないと、死ぬよ」

「……それは、それは……」

黙り込むリカーラに、アーリェは容赦なく腹に蹴りを入れる。

「かはっ、ああ……」

ただ涙を流すしかないリカーラ。

観客の野次がどんどん大きく聞こえる。

「リカーラ。もう、死んじゃえば?」








観客の声が止んだというのに。

ゲートからアーリェが永遠とリカーラを殴っている様子を見て、ファイは疑問を抱いた。

リカーラは歯が何本も折れ、顔も腫れ上がっている。

これでは、ただの虐殺だ。

蝕の精霊の影響なのだろうか。




「アーリェ!まずはリカーラと話をするんだ」

ファイの声も届いていないのか、アーリェは手を止めない。

「理性的になれ!リカーラのことを信頼していただろう?呼吸を整えて、気持ちを落ち着かせろ。まず話を聞き出すんだ」

それもアーリェには全く届いていない。





エリー。すまない。

心でそう謝り、ファイは決闘場に入り、先程使った大剣を拾ってアーリェに向かって振り下ろした。

アーリェはリカーラから離れ、攻撃を避ける。

「……何のつもり?ファイローネも決闘を汚すの?」

「悪いと思っている。でもやっと意識が逸れたな。この大剣見たら冷静になれるだろ?」

アーリェは大剣をじっと見つめた。


「思い出せよ!お前は、お前はなんでクライルの女王になろうと思ったんだ!こんな姿を見せることじゃないだろう!」

黙り込んで、ただアーリェは大剣を見つめた。

「誰のために、お前は世界に名を轟かせようとしたんだよ……。誇りを捨てないでくれ……」

反応が薄いアーリェを見て、ファイは消えそうな声で訴えた。



「……目を覚ましてくれると祈るしかない、か」

ファイは大剣を横にし、右側に刃が来るように、右手だけで柄を上から握り構えた。

片手で握るため、重さで手元が狂いそうな感覚があるが、しっかりと握りしめる。



ファイは一気に駆けてアーリェに詰め寄り、左手で束頭を支え、梃子のように大剣を右から左へ大きく振った。

アーリェは後ろに跳んで避けるが、その間にファイはアーリェにさらに詰め寄り、柄を両手で握り直し、上から刃を振り下ろした。

アーリェは両手でそれを挟んで受け止める。



「何度も食らってきた技だろ?俺では威力は半減だろうが、お前はこうやっていつも練習相手をしてて防いでた」

「……ゼイン」

「そうだ!お前はゼインのために……」

アーリェは大剣をそのまま横に振り払った。

その勢いでファイも横に飛ばされ、壁に体を打ち付けるが、受け身を取って何とか起き上がった。


「……何だか、怒りに囚われてた」

頭を軽く振ったアーリェが呟いた。

「ごめん、ファイローネ。あたし蝕に飲まれてたかも」

「目が覚めたか。なら良いんだ。意識をしっかり持てよ。信頼してたリカーラの気持ちも汲みつつ今回の理由を聞け。その上で最期を与えてやれ」

「分かった。ありがとう」

「後は自分で出来るだろ?俺は帰るぞ。手のかかる子がいるんでな」

「うん。王様だから出来るよ。ありがとね」

ファイは少し笑い、決闘場を後にした。






大きな袋に何かの荷物を入れて引きずりながら、闘技場の外に出ようと足を踏み出した時、ファイは異様な殺気を感じた。



『血を差し出せ』

『邪魔をするなら血を差し出せ』



その言葉が頭の中に流れ込んでくる。

蝕の精霊か。

エリーの言いつけを守らなかったから。

今更ながらに彼は少し後悔し、強い頭痛と眩暈に襲われ座り込んだ。



『血を差し出せ』



殺意が体中から溢れてくる。

誰でもいいから、殺さなければ。

もしくは、自分自身を……。

彼の心はそれに囚われ始めた。





約束、守れそうにないな。

大人になったら約束が守れなくなることも増えるんだけどな。

あいつ子供だから、難癖つけて拗ねるだろうな。






ふと、淡い青の光がストールから漏れ出した。

ファイがストールに手を入れると、サファイアが入っていた。

「いつの間に……」

そもそも、ファイは魔石を装備していなかった。

装備しないようにしていた。



「案外やってくれる」

ファイは正気を取り戻してきた。

サファイアの精霊が蝕の精霊と相性が悪いと言っていたことを思い出し、その影響による反発効果なのかと彼は考え、立ち上がった。

「さーて、自分はどうやって帰ろうかな」

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