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オレの生き様はこうだ!~古い友人の頼み~

オレのいた日本には法律上、一般国民には流通してない。

極めて危険性の高いものだったから。

ただ世界で見てみれば、当然のように存在していた。

簡単に命を奪うものとして。



オレ自身、勢いで思いついた策だが、現状としてこの方法しかない。

まずはその武器が、この世界にもどこかで存在しているかを確認したい。



「ジュウ、ですか」

聞き慣れない様子でマスオが首を傾げた。

「私は知らないですね。他の者にも聞いてみましょうか?」

この世界には無いのだろうか。

ただ単純に、フィル王国でずっと暮らしているマスオだから知らないだけか?

いや、オレが発した『銃』という言葉を聞いていた他の執事たちもポカンとしている。

「いや、お前が知らないなら良い」

むやみにオレが武器を探している事は広めない方がいいか。

周囲とオレの様子を見たマスオが思いついたように口を開く。

「この国にはないものでしたらレイノルドやファイローネ様に訊いてはどうですか?よく他国に行っていたようですし」


レイノルドはアーロン国王の護衛で他国に出向いていた。確かに他国の武器も知っているかもしれない。

ファイは他国に頻繁に行っていたかは知らないが、競馬をしに他国に行くほどのフットワークの軽さを持っているので、訊いてみる価値はある。

ただオレの考えている銃活用計画をレイノルドに伝えるのはまずい。

表向きには、家臣たちには攻撃魔石を作っているのはサース王国が婚約について痺れを切らして攻めてきた場合を考えて、自衛の手段を増やすためだとしている。

ここは攻撃魔石活用について情報を共有しているファイが最善策だ。



こんな時に、あいつどこに行きやがった。

宮殿内をいくら探してもファイがいない。

誰も奴の行き先を知らない。

あと思い当たるのは自宅か。



町に降り、オレはファイの家を訪ねた。

流石に今の地位になってから借金取りはいないようだ。

辺りは元の静けさを取り戻している。

「おーい、いるんだろ?」

ノックとは言えないような、握り拳でドアを何度も叩いたが返事はなかった。

「ちっ、バールのようなものがいるぜ」

周囲を見回し、ドアをこじ開けられる道具を探していると背後から聞きなれた声が耳に入ってきた。

「また自分の家を壊す気かい?どうせなら修理が不要な程の立派な家に建て替えてほしいくらいだが」

両手両肩に荷物を抱えたファイがこちらに向かって歩いていた。

「テメー、勝手に居なくなりやがって。まだ勤務時間中だろうが、この給料泥棒」

「悪いね。急用が出来て。すぐ戻るつもりだったが、ここまで時間がかかるとは思ってなかったんだ」

「で、その荷物はなんだよ」

「え、これ?聞きたい?」

気味が悪いほどにファイはニヤニヤしている。

「馬券が当たったんだよ。ここ最近忙しくてクライル国まで行けなかったんだが、古い友人が代わりに馬券を買ってくれててね。今日中に景品を受け取らないといけないと聞いて」

「……お前、かなりの高給もらっといて、まだ競馬してんの?しかも景品もらいに他国にまで行くとか、貧乏生活が抜けてないじゃん」

「エリーは分かってないな。十分な資金があってもなくても、そこに競馬が存在する限り競馬をするんだよ。いや、無くなったとしても自分には十分な資金があるからフィル王国に競馬場を一から作るね」

ギャンブルに狂ってやがる。こいつは死ぬまでどうしようもない人間だろうな。

「ところで、この景品を見てみてよ」

「どうせガラクタかマロンの推しグッズか今後のためのバールのようなものだろ」

渋々その景品を見て、オレは目を疑った。

「全部砂糖なんだ。おかしいと思わない?」



砂糖の保有量が一番多いのはサース王国だ。

他国もそれなりの量は保有しているが、それでも希少価値が高く簡単に民が手に入れられるものではない。

それが競馬の景品で、これほどの量を手に入れられるなんて。


一旦、ファイの自宅に入り、砂糖が入った荷物をドサッと置いた。

見ただけでも量が多いが、かなりの重さもある。

「エリーはどう思う?」

「……ちょっと唐突すぎて言葉が出ねえよ。ただクライル国の国内だけで用意出来たものじゃねえだろうな」

「そうだね。誰かが競馬に介入して援助している。でも景品として高級な砂糖を準備する側に競馬の利益の大半を渡したら競馬場や騎手たちがやっていけないよね」

「てことは、それ以外で利益になるものも介入者に渡しているってことか」

「利益は金以外にもあるよね。目に見えないものもある」

「地位とか?」

「ちょっと惜しいなー」

「つか、テメー分かってんなら教えろよ」

「これも宰相としてエリーを育ててるつもりなんだけどな」

まあ要するに、とファイは続けた。

「『競馬』自体を手に入れたいのかもね」

「……てことは経営者になりたいのか!」

「まあまあ正解。すぐに経営者になろうとすると競馬関係者以外からも反感を買うから、今のところは一部権利を得ている程度だと思う」

「あれだ、あんま分からんが株主的な感じか」

「その言葉を自分は知らないけど、権利を徐々に増やしていけば介入者の意思で競馬はどうとでも出来る。反発も出来なくなってくる。競馬そのものを手に入れて経済を押さえられれば、その競馬が存在している、利益を得ているクライル国も制圧出来る可能性が出てくる」

「……待てよ。んでもって砂糖はクライル国で準備出来る量じゃない。砂糖を余裕に持っている国といえば」

サース王国しかない。

オレが感づいた顔を見て、ファイはうんうんと頷いた。

「ましてや景品に多量の砂糖だ。民はそれはもう喜ぶだろうな。馬券も買って買って買いまくる訳だ」

「そんな景品をお前は独り占めした訳だ。よく馬券を当てられたな。いや、その友人がすごいのか」

「そう。その友人がすごい。そして友人は自分に助けを求めてきているんだ」

「ほえー、お前のような性格クソ曲がりボーイにどんな助けを?」

「『クライル国防衛に手を貸してほしい』と」

……それはまずくね?

ファイはフィル王国の宰相だ。そして相手はフィル王国と関係を強めようとする、高い武力を持ったサース王国。

これがサース王国にバレたら、フィル王国も存続の危機だ。

ファイには悪いが、たかが友人のためにそこまでしてやる必要は全くない。


「断れよ、その助けはよ」

「賢くなったね。エリオット王子として断るのが当然」

「なんだ、その含みのある言い方は」

「ここからはエリーとして判断してね。クライル国は女王国家で近衛兵は腕の立つ武闘家の女性が殆ど。魔法も武術と掛け合わせたものを使用する。もちろんサファイアをフィル王国から仕入れていて、防御魔法も使っている。競馬で他国の民も大勢集まっている中、サース王国がクライル相手に武力で相手するとすれば少数精鋭だ。そして競馬場があるクライルには様々な国から人がやってくる。その中には見たことないような武器を持っている者もいるだろう」

もしかして、こういう説明をするってことは……。

「エリーは武術の方が向いているから初めての戦闘としても勉強になる。エリオットの顔立ちからして女装してクライル近衛兵に紛れてもサース王国にバレない。相手は少数だから数の多さで優位。他国の武器の中には攻撃魔石を活用出来るものもあるかもしれない」

「い、いや、いやいやいや!リスクの方が大きいだろ!てか王子のオレを頭数に入れてしれっと女装させんな!そもそもどうやって国家の内部に紛れ込むんだよ。すぐにオレの事を見破るだろうが」

「そこは安心してくれ。クライル国の女王こそ……」

ファイは得意げに腰に両手を当てた。

「自分の古い友人、女王アーリェだ」

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