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光源高校VS兵部高校 庶務戦 その2













さっきまで緊張して居たのがウソみたいだ……





今は観客の視線なんて全く気にならない。





強がりなんかじゃない……本当の事だ。





だって気にしている場合じゃない……それどころではない。










「うおおおぉおおおおおおおおお!!」










避ける、避ける、避ける、避ける、避ける




転がって、伏せて、滑って、また転がって。





完全に防戦一方だった。







彼女は……犬飼はひたすらに攻めてくる。


攻撃は最大の防御……まさにそれを体現している。



反撃する隙がない。










俺が隙を見つけられないのにも理由がある。








まず、この試合会場が悪い。



今更ながらに気付いたが、この会場は兵部高校に有利になる様に作られているのだろう。




それ故に彼女のアーツとこの会場は抜群に噛み合っている。









この一定の間隔で植林されてやがる木


この木が凄まじく鬱陶しい。








犬飼はあの手足の立派な爪を木の幹に食い込ませて、木から木へと凄まじいスピードで移動している。



左右からだけではなく、上からも攻撃が来る。



そしてこちらの攻撃は全部躱される。












勝てない…………勝てる気がしない。







ここまで実力に差があるとは思わなかった。





このままでは彼女に一撃入れる事も出来ない。





隙を作らないと………彼女の意表を突かないと。




ほんの少し怯ませるだけでいい…………そうしたら会長に叩き込まれた下段突きと一本背負いをお見舞いしてやるのに。





でもどうやって?





何も作戦が思い浮かばない………こうしている間にも俺は犬飼の猛攻に耐えている。





いや、思い浮かばない訳じゃない。



俺もアーツを使えばいい。



感情を擦り減らして魔力を高めるんだ。



恐らく彼女とも互角に渡り合える……はず。








けど、アーツを使った後の……あの虚無感。



アレをまた味わうのか?






あんな気分になるくらいなら、真っ白な壁を2時間見つめてる方がまだ楽しい。







でも、使えば勝てるかもしれない…………勝っても嬉しく無ければ、確かに俺の成長には繋がらないだろう。










けどこの試合に負けるわけには行かない……会長と副会長の勝利の可能性が希薄になった今、一勝でもいいから取れるうちに取りたい。








俺が負けて後に回すのと、勝って後に回すのと……どっちがいいかなんて決まりきってる。








俺から流れを作るんだ。







覚悟を決めるんだ。




アーツを使う………覚悟を。





「おーーーい、明日葉!!」





「ぬぉっ?」




かなり間抜けな声が出てしまった。


だって試合中に……しかも自陣のベンチに腰掛けている会長に声を掛けられるとは思ってなかったから。





犬飼も攻撃の手を休めて怪訝そうな顔で会長の事をみている。





会長は大きな声で………といってもグラウンドに立っている俺達にしか聞こえないだろうけど。



「その程度の奴、君のアーツを使えば倒せるだろ?さっさと終わらせろよ」





「なっ⁉︎」




何で言ってしまうんだよ………俺がアーツを使う事がバレちまったら警戒されるのに!







「ふーん………そうなんだ?」






マズイ…………



隠し通せるわけもないし………しかも犬飼先輩、少し怒っている?




いや確実に怒ってる。




だって会長の言い方は完全に彼女を煽っていたから。





「何で反撃して来ないか不思議だったけどそうゆう事なんだ…………私のことナメてるんだ?」





違います。


あなたの動きについて行けてないだけです。





当然だけど完全に警戒されている……これでもう奇襲まがいの戦略は取れない。




アーツを使って正面から闘うしかない!!













会長も余計な事をしやがって!


何故、こんな時に妙な嘘をつくんだよ!!





………………………………ん?




嘘?



会長……嘘を言っているのか?





漠然だけれどわかる………この感じは……







いや間違いない……会長は今まさに嘘をついた。



わかったのは俺のアーツのお陰だけど………会長が嘘をついているのはたぶん間違いない。







嘘っていうか………本気で言ってないっていうか。





会長は……アーツを使って犬飼先輩を倒せ……と言ったけどたぶんソレが嘘だ。





だとすると……犬飼先輩に負けても良いからアーツを使うな……が本心だ。







負けても良いのか?



会長は今回の生徒会戦を諦めちまったのか?











違うな。








会長は本気で………アーツ無しで犬飼先輩を倒せと、そう言っている。





じゃあ最初からそう言えば良いのに……






なんでそんな言い方をするんだ?









そこで俺はふと気付いた………犬飼先輩の嵐の様な猛攻が収まっている。



きっと彼女の強い警戒心が働いているんだろう。






こちらにとっては好都合な事だ……作戦を考える時間は少しでも多い方がいい。







ここに来て会長のハッタリが効いてるってことか?




いや…………考えすぎだな。









でも……待てよ………












閃いたかもしれない………会長のハッタリに俺のハッタリを重ねる。



嘘に嘘を上塗りしてやるんだ!







「………………正直に言うとナメてます。兵部高校の庶務ってこの程度なのかなって思ってました」






「…………へぇ、言うじゃん。じゃあ君はどんなアーツを使えるの?出し惜しみしないで見せなよ!!」





怒ってる怒ってる…………この人はきっと素直な人なんだろう。









だからでこそ騙し易いし、一度失敗したら次はないだろう。





今しかない…………ハッタリかますならこのタイミングしかない。







俺は余裕のある笑みと尊大な態度で、まるで当たり前さ……と言う様な態度で














「俺はウチの会長と同じ霧のアーツが使える」









自陣のベンチから笑い声が聞こえた。




きっと会長が俺のハッタリを聞いて噴き出したのだろう。



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