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第三十・五話(スピンオフ) 歴代レイン人気投票開催

 それは塔攻略の合間の出来事だった。


 レインが目を覚ますと。


 知らない広場にいた。


「……どこだここ」


 周囲を見渡す。


 フィオ。


 リゼ。


 ゼル。


 ソレア。


 全員いる。


「また変な空間か?」


 リゼがため息を吐く。


 すると空から声がした。


「みなさーん!」


 世界ちゃんだった。


 なぜか司会者みたいな服を着ている。


「本日は!!」


「第一回歴代レイン人気投票を開催しまーす!!」


 沈黙。


 レインは即答した。


「帰る」


「帰れません」


「なんで」


「私が作った空間だから」


 無敵だった。


 すると。


 ドドドドドドド……


 大量の人影が現れる。


 741人。


 全員レイン。


 レインは頭を抱えた。


「また増えた……」


 勇者レイン。


 魔王レイン。


 農民レイン。


 漁師レイン。


 鍛冶屋レイン。


 王様レイン。


 盗賊レイン。


 教師レイン。


 無職レイン。


 全員レイン。


「うるせえなこれ」


 会場が騒がしい。


「俺に投票しろ!」


「いや俺だ!」


「畑を愛してる奴に投票しろ!」


「魚を愛してる奴でもいいぞ!」


 カオスだった。


 世界ちゃんが鐘を鳴らす。


「結果発表いきまーす!」


 全員静かになる。


第十位


「勇者レイン!」


 拍手。


 勇者レインが立ち上がる。


「当然だな!」


 直後。


「暑苦しいぞ!」


「三回くらい世界救って失敗してるだろ!」


「筋肉しかない!」


 野次が飛ぶ。


 勇者レイン着席。


第九位


「魔王レイン!」


 魔王レインが立つ。


「フハハハハ!」


「こいつ城建てるセンスだけはあった」


「飯も美味かった」


「部下思いだったな」


 なぜか評価が高い。


第八位


「農民レイン!」


 農民レインが帽子を取る。


「畑は裏切らん」


 大拍手。


 レイン本人が驚く。


「人気あるんだ」


 農民レインは真顔。


「ジャガイモは偉大だからな」


 誰も否定できなかった。


第七位


「三日で死んだレイン!」


 会場騒然。


「なんで!?」


 三日レイン本人が叫ぶ。


 世界ちゃんが読み上げる。


「投票理由」


頑張ろうとしてた


応援したくなった


可哀想だった


 三日レイン号泣。


「ありがとう……」


 レインも少し泣きそうになった。


第六位


「フィオ!」


 全員


「レインじゃねえ!!」


 フィオがびくっとする。


「わ、私!?」


 世界ちゃんが説明する。


「可愛いから」


 満場一致だった。


 フィオは真っ赤になった。


第五位


「リゼ!」


 リゼが得意げに立ち上がる。


「当然ね」


 投票理由。


顔


顔


顔


顔


「中身は!?」


 ゼロ票だった。


第四位


「ソレア!」


 ソレアが腕を組む。


『当然だな』


 投票理由。


ツッコミ担当


苦労人


一番常識人


『なんでだ』


 本人が一番困惑していた。


第三位


「世界ちゃん!」


 世界ちゃん大喜び。


「やったー!」


 だが投票理由。


苦労してそう


かわいそう


助けたい


 世界ちゃん微妙な顔。


「嬉しいけど複雑」


第二位


 ドラムロール。


 ダラララララ……


「ゼル=アークライト!」


 静寂。


 全員。


「は?」


 ゼル本人も固まる。


「私?」


 世界ちゃんが説明する。


面白い


詠唱が長い


また変なことしてほしい


生きてるだけで面白い


 ゼル号泣。


「認められた……!」


 レインが呟く。


「認められてないぞ」


 そして。


 第一位発表。


 会場が静かになる。


 741人のレイン。


 全員が結果を知っているようだった。


「第一位」


 世界ちゃんが笑う。


「七回目のレイン!」


 沈黙。


 レイン本人が固まる。


「え?」


 次の瞬間。


 大歓声。


 741人のレイン全員が立ち上がる。


「頑張れ!」


「生き残れ!」


「今度こそ成功しろ!」


「幸せになれ!」


 レインは言葉を失う。


 勇者レインが笑う。


「俺たちの代表だ」


 魔王レインも頷く。


「今度こそ勝て」


 農民レイン。


「畑も頼んだ」


「そこかよ」


 会場が笑いに包まれる。


 そして。


 世界ちゃんが小さく呟いた。


「だって」


「みんな自分だもん」


 沈黙。


 レイン。


「……それはそう」


 全員。


「それはそう」


 満場一致だった。


 こうして。


 第一回歴代レイン人気投票は。


 過去最大級にどうでもいい結果を残して幕を閉じた。


 なお翌日。


 ゼルは第二位を自慢していたため、


 フィオ


 リゼ


 ソレア


 レイン


 全員から怒られた。

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