↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

みきお君の誕生日(1)

人間蒸発事件の犯人はクールス星人という昆虫型宇宙人だった!

「宇宙人はみんな優れた文明を持つ友好的な人達」というみきお君の理想を

踏みにじる「地球人なんて虫ケラみたいなもの!」というクールス星人の行為に彼は怒る。

しかし宇宙船に乗り込んで来た真希奈(ヴァネッサ)にクールス星人は倒され、エマによって

事件の記憶を消されたみきお、カレンの二人は日常に戻るのだった。

人間蒸発事件が収まった翌日の朝、みきお君は爽やかな目覚めを迎えていた。

みきお「ふわ〜ぁ!今日からまた大学だ…昨日は日曜日だってのにほとんど寝てしまったからなぁ…」

実は記憶を消されて寝てしまった事になっているのだが、彼には知るよしも無かった。

洗面所に行って顔を洗ってから食堂に向かうと、なにやら良い匂いが漂ってくる…メイドであるルナとみづきが既に朝食の準備を済ませていたのだ。

みきお「おはようルナさん、みづきちゃん!」

ルナ「おはようございます!」

みづき「おはようございます!みきお君、こちらへどうぞ!」みづきが椅子を引いて着席を促す。

みきお「ありがとう、みづきちゃん!今日も元気だね?」

みづき「は、はい!ありがとうございます…」顔を赤らめるみづき…彼女は以前住んでいたアパートで、みきお君のお隣さんだったのだが、その頃よりみきお君に惹かれていた。

ルナ「みきお様は本日、誕生日でしたね?おめでとうございます。」

みきお「え?よく知っていたね?自分でも忘れてたくらいなのに…」

みづき「そうなんですか?6月8日生まれなんですね?メモメモ…」ポケットからメモ帳を取り出して書き込むみづき…メイドとしてはまだ駆け出しの彼女は覚える事がいっぱいなのだ。

みきお「ああメモなんてしなくていいよ!僕の誕生日なんて…」

エマ「そんな事ないわ!誕生日っていうのは…この日にその人が生まれた事と産んでくれたお母様に感謝する日なのよ!」

みきお「エマさん…そう…ですね…?お母さんに…感謝しなくちゃ…」

ルナ「エマ様、みきお様はご両親を事故で…」

エマ「あ…!ご、ごめんなさい…みきお君…」

みきお「気にしないでください、エマさんの言う事は正しいし…それに…嬉しかったんです!」

みづき「みきお君…」

みきお「父と母が亡くなって、誕生日祝いなんてやった事…無かったし…だから…」

エマ「うん…それで、みきお君はいくつになったのかしら?」

みきお「ちょうど20歳です、法的にはお酒も飲めるけど…まだ飲んだ事無くて…」

エマ「それじゃ今夜は、みきお君の20歳のお祝いをしましょう!とっておきのワインを飲ませてあげるわね!」

ルナ「腕によりをかけてご馳走を作りますよ!」

みづき「わ、私も頑張って用意しますから!」

みきお「…ありがとう…ございます…うぅ…」みきおは涙ぐんでいた…みんなの気持ちが嬉しかったのだ。

エマ「さぁ、みきお君…座って、今日は大学に行く日でしょう?まずは朝食を食べて、しっかり勉強しなくちゃね?」

みきお「グス…は、はい!」

今朝の朝食はちょっとしょっぱい…でも優しい味がした。


みきお君の通っている大学は、エマ邸のある街の隣町にある"独創大学"である、独創性を重んじる教育方針で、サークル活動にもそれが反映されている。

講義が終わり、お昼ご飯の時間になり学食に向かうと、御堂カレンとバッタリ出会った。

カレン「あ…みきお…君…」本人にも理由は分からないが何故かみきおの姿を見たとたんに胸がドキドキしてきたのだ。

みきお「おはよう…ってもうお昼か…?」

カレン「う、うん…」心なしか顔も紅くなっていたが、みきおは全く気にしていなかった。

みきお「なんだ?なんか元気ないな?」

カレン「そ、そんな事ないよ、いたって健康だし…食欲だってあるし!」

みきお「なら良かったよ!…そうそう、ネットで見たけど、人間蒸発事件の被害者が全員無事に帰って来たんだって。」

カレン「うん!アタシも見た…でも行方不明になっていた間の記憶が全く無いらしいのよ!」

みきお「ますますエイリアンアブダクションみたいだよね?」

カレン「…うん…そうね…」いつもならばとりあえず否定して来るはずなのに、この日のカレンはそうでは無かった…そこに違和感を覚えたが、みきおは追及はしなかった。

みきお(…なんか変だけど…あまり無理には聞かない方がイイな?…言いたくない事だってあるだろうし…)

なんて思いながらも、二人は向かい合って座って昼食を食べ始めた。

お互いに何故か無言で食事を続けてたが、食べ終わった頃にカレンが口を開いた。

カレン「あ…あのさ…」

みきお「ん?」

カレン「アンタちょっと変じゃない?いつもだったらほら宇宙人の仕業だよ!とか言って騒ぐのに…今日はなんか静かだし…」

みきおは驚いた、カレンの様子が変だと思っていたのに、自分も彼女から見たらいつもと違う様子だったという事にだ。

みきお「アレ?…なんでかな…?宇宙人は居ると思うけど…そんなに会いたいとか思わなくなって来たんだ…」

カレン「ふーん?なんか心境の変化があったみたいね?」

みきお「特に思い当たる事が無いけどなぁ…?」

二人とも宇宙人の記憶は消されているが、記憶は消せても心の中にトゲのような物が残ってるのだ。

そのせいで、以前のようには楽しめなくなっていた。


なんとなくギクシャクした感じの二人に気がついたのか、天文研究会の先輩である山田という男子が声をかけて来た。

山田「なんだいお二人さん…今日はお通夜みたいじゃないか…?」

みきお「山田さん…そんなにいつも賑やかですか?僕たち…」

山田「しょっちゅう痴話喧嘩してるからな?」

カレン「そんなんじゃありません!」

山田「おっと失礼!」

みきお「山田さん、僕たちは別に付き合っている訳じゃないんで…からかわないで下さいよ!」

山田「おっと?そうだったんだ…いつも一緒に居るから…てっきりデキてるのかと思って…ごめんゴメン。」

謝る山田を見てカレンはなんだか複雑な気持ちになっていた…

カレン「先輩、そういうのはセクハラになるんですよ!知らないんですか?」

その言葉には少し怒気が含まれている。

山田「悪かったよ…そんなつもりじゃ無かったんだけど…」

みきお「まあまあ…先輩だって悪気は無かったんだし…そんなに事を荒立てるなよ!」

カレン「フン!まぁいいわ…」

山田「それはそうと…ミステリー研究会の部長にコレを見て欲しいと思ってね。」

そう言うと、スマホの画像を見せる山田。

そこにはクールス星人の宇宙船が偽装していた飛行船が写っていた。

みきお「飛行船…これがどうかしたんですか?」

カレン「こんなの飛んでいたかしら?」

山田「これは最近ずっと、紅華町の上空に飛んでいた飛行船なんだけど…天体観測の時にちょっと邪魔だなぁって思っていたんだよ…」

みきお「まあ、分かります…」

カレン「天文研究会からすればそうでしょうね?」

山田「だけど昨夜突然、消えてしまったんだ!」

みきお「消えた?どこかに飛んで行っただけじゃ…」

山田「そうかもしれない、僕もずっと観察していた訳じゃないからね!でもさっきまで居たはずの飛行船がいきなり見えなくなるほど遠くまで移動出来るとは思えないだろう?」

カレン「確かにそうね?飛行船なんてゆっくり飛んでいるイメージしか無いもの…」

みきお「そう…ですね?せいぜい車くらいだと思いますから…急に見えなくなるほど遠くまで行くのは…」

山田「まぁいいさ、僕はミステリー研究会じゃないからね…後はミステリー研究会に任せるとするよ!」

そう言うと山田は去って行った。

みきお「…ミステリー研究会って…僕は天文研究会ですよ!」不満そうにぼやくみきお。

カレン「ふーん?謎の飛行船ね?」

みきお「UFOならともかく…飛行船じゃなぁ…」

カレン「そう言うと思った、ようやくいつものアンタらしくなってきたわね?」

みきお「なんだよそれ?」

あの飛行船が偽装された宇宙船で、二人ともあの中に入っていた事などは全く知らないのであった。


午後からの講義が終わって、天文研究会の部室にやって来たみきおだが、いきなり腕を掴まれてミステリー研究会の部室に引きずり込まれてしまった。

みきお「なんだよいきなり?今日は早く帰りたいんだよ!」

カレン「ふーん?何か用事があるの?」

みきお「今日は僕の誕生日だから…みんなでお祝いしてくれるんだよ!」

カレン「!…ふーん?…まぁいいわ!…それじゃアタシもお祝いしに行ってあげる!」

みきお「えぇ?そんないきなり…」

カレン「ナニ?嫌だっていうの?」彼女の顔色が変わった。

みきお「そういう訳じゃないけど…僕は居候の身だから…勝手に友達を招いたりしたら…」

カレン「…そうね?…それじゃ今すぐ許可を取りなさい!早く!」

みきお「えぇ〜?」戸惑いつつもカレンの剣幕に負けてエマにメッセージを送るみきお…

するとすぐに返信が来た。

エマ「構わないわよ!賑やかで良いじゃない!♥」

みきお「エマさんの事だから…そう言うと思った…」

こうして、カレンもみきおの誕生日祝いにエマ邸に来る事になってしまったのだった。


カレンはプレゼントを買うとの事で、一旦別れて駅前で待ち合わせする事になった。

そして、カレンは駅ビル中の店舗をウロウロしていた。

カレン「…プレゼントを買うとは言え…何が喜ぶのかさっぱり分からないわね…?」

普段から仲が良さそうだが、プレゼントを贈る事など考えてはいなかったので、いざとなると何を欲しいのか考えもしなかったのだ。

カレン「アイツが欲しそうな…うーん…?天体望遠鏡…は持ってそうだし…」

考えれば考えるほどに分からなくなってしまった…

カレン「そうだ!こういう時こそAIに相談よね?」

そう言うとスマホを取り出して入力しだす。

するとすぐにAIからの答えが返ってきた。

AI「20歳の男性への誕生日プレゼントですね。相手が天文学に興味がある場合、以下がおすすめです。

・星座や宇宙をモチーフにした小物

・天文関連の書籍

・少し上質なボールペンやノート

・相手の趣味に合わせたアクセサリー」

カレン「なるほど…やっぱりこんなところかしらね?」

AI「ただし、親しい男性へのプレゼントの場合、物そのものよりも『あなたが相手のために選んだ』ことが喜ばれる場合があります。」

カレン「まあ…親しいとは思うけど…」

AI「もし相手に特別な好意があるのであれば、あまり高価すぎない物を選び、短いメッセージカードを添えるのがおすすめです。」

カレン「べ、別に特別な好意なんて無いんだけど!?」

思わずスマホに向かって反論するカレン。

AI「承知しました。では『恋愛感情のない親しい男友達へのプレゼント』として提案します。」

カレン「…それは…なんかちょっと違う気が…?」

そんな事をやったところでも結局決められない彼女だった…

普段は強引なくらいなのに何故か恋愛感情が絡むと優柔不断になってしまうのだ。

カレン「…ちなみに今から誕生日パーティーに行くんだけど、服も普段着のままでいい?」

などと入力すると…

AI「親しい相手の20歳という節目の誕生日であれば、少しだけ普段よりおしゃれをしていくのも良いでしょう。」

カレン「…やっぱり…そうよね?」

そう呟いたカレンは、婦人服売り場に向かうのだった。


待ち合わせ時間になり、駅ビルの待ち合わせ場所で待ってるみきお君…真面目な彼は5分前からこの場所で待っていたのだ。

みきお「…カレンのやつ…遅いなぁ…まあ女の子の買い物は時間がかかるから仕方ないか…?」

さらにしばらく待つと、ようやくカレンの姿が見えた。

カレン「ゴメンね…遅くなって。」

そう言う彼女は新しいネイビーの上品なワンピースに白い薄手カーディガンを着ていた、婦人服売り場で見つけた彼女は迷った挙句、買ってしまったのだ。

挿絵(By みてみん)

みきお「なんだ?着替えたの?」

カレン「パーティーなんだから…少しはオシャレしないと恥ずかしいでしょ?」

みきお「うん!良く似合うじゃん?イイと思うよ!」

カレン「そ、そう?…ありがとう…」

そう素っ気なく答える彼女だったが内心では小躍りせんばかりに喜んでいたのだ。

カレン(やった〜!褒められた〜っ!ちょっと高かったけど買って良かったわぁ〜!)

みきお「それじゃ行こうか?」

カレン「え?あ、うん…」

駅前のタクシー乗り場から、二人はタクシーでエマ邸に向かう、後部座席に座ってみきおは運転手に行き先を告げると、ふう…とため息をついた。

カレン「何よ?疲れたの?」

みきお「いや…なんか眠くなってきちゃってさ…」

どこでも寝てしまうというのは本当で、こうなるとみきおはすぐに寝てしまうのだ。

みきおが寝てる間に、カレンはスマホで星占いを見ていた…

カレン「6月8日生まれ…双子座、アタシは8月8日の獅子座だから…あ、相性バッチリ!」

なんと、みきおとの相性を見ていたのだった!しかも相性が良いという結果で彼女は小躍りするくらい嬉しいのですが、その相手が隣りの席のみきおなので小さくガッツポーズをするにとどまった。


タクシーがエマの屋敷の前に到着して、二人は門の前に立っていたが…カレンはその場で驚愕していた。

カレン「こ…こんな…まるで貴族のお屋敷じゃない?」

貴族のお屋敷というのは本当に当たりだった、なにせエマはブリタニア星のローレライ家という名門貴族なのだから。しかし地球人の彼らにはそれは秘密だった。

みきお「驚いただろう?僕も本当にビックリしたよ!」

カレン(こんなお屋敷に住んでいるなんて…いったいエマさんは何者なの…?)

当然と言えば当然の疑問だが、本当の事は知る由も無かった。


玄関まで来ると、ルナが出迎えてくれたが…いつものメイド服ではなく淡いブルーグレーのミモレ丈ワンピースに白い薄手ストールを羽織っていた。

みきお「あれ?ルナさんも今日はおめかししているんだね?」

ルナ「おかえりなさいませ!フフ…今日はみきお様のお誕生日なのですから、みんなでオシャレして祝いましょう!ということになって…」

挿絵(By みてみん)

みきお「うん!凄い似合うね?とっても素敵だよ!」

ルナ「……?…あ、ありがとうございます!」

一瞬、ルナには理解できない思考の停滞が発生した。

ルナ(どうしたのでしょう?一瞬だけど処理が停滞しましたね?…バグでしょうか?あとでアルフレッドにスキャンしてもらいましょう。)

カレン(このメイドさんまでこんな…悔しいけどめちゃくちゃ素敵だわ…)

みきお自身は口説いているつもりでは全く無いのだけど…何故かみんな意識してしまうのだった。


ルナとみきお達が玄関前で話していると、銀色の外車が排気音を轟かせながらやって来た。

みきお「凄い…アストンマーチンだ!誰の車なんだろう?」

銀色のアストンマーチンは玄関の手前で停止した、そして車から降りて来たのは牧野真希奈だった。

彼女はいつものブルーのボディコンではなく、白いオフショルダーのロングドレスを着ていた。

身体のラインに沿ったタイトなマーメイドシルエットで、腰元にドレープ状のフリル飾りが入ったエレガントなパーティードレスのスリットから美しい脚が見える。

挿絵(By みてみん)

真希奈「こんばんは!みきお、誕生日祝いに来てやったぜ!」

みきお「真希奈さん、わざわざありがとう!」

カレン「こ、こんばんは…牧野さん…今日はエレガントですね?」

みきお「本当に綺麗だよね?素敵です…」

真希奈「そうかい?フフ…ありがとよ!」

カレン「喋ったらエレガントで無くなったけど…」

みきお「いつもの真希奈さんらしくて良いよ!」

カレン(ちょっと何よ?真希奈さんまでこんな…みきおに対して恋愛感情は無さそうだけど…スタイルも良いし…ライバルにならない事を祈るわ…!)

ルナ「皆さん、それではパーティー会場にご案内いたします。」

ルナが声をかけて来たので全員が玄関をくぐり屋敷内に案内されるのだった。


つづく

御堂カレンは、完全にみきお君を意識し始めましたが…

あの占いの「ライバル多く、道のりは困難!」という結果が

どんどん現実味を帯びて来てしまいました…

そしてこの後も、強力なライバル?達がパーティー会場には待ってます、

果たしてどんな20歳の誕生日になるのかな?

期待と不安しかない次回へ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。