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コード・ヴァネッサ

人間蒸発事件の調査を一緒にしていた御堂カレンは、少しずつ…みきお君の事を意識し始めていた。

そして謎の女占い師によって、「運命の人は近くに居る」「ライバル多く道のりは困難」という占い結果がどうにも気になってしまい、再び女占い師に会おうと決意して紅華町に向かうのだった。

そんな事はつゆ知らない望月みきおは…という所から今回は始まります。

エマ邸の居間で、エマにスマホの使い方を教えていたみきおだが、エマの胸元が気になってドキドキしてたのだった。

挿絵(By みてみん)

みきお(…や、やばい…エッチな気持ちになってきちゃうよ…このままだと…うぅ…)みきおが顔を赤くしている事にエマは勿論気がついていたが…内心はその様子を楽しんでいたのだ。

みきお(エマさんって…胸…大きいよな…何カップなんだ…い、いかんいかん!こんな事考えてちゃ…)

健康な若者の反応としては普通だろうが…エマの美貌を考えれば無理もない事だった。

ルナ「コホン、みきお様…そろそろお出かけの時間では?」不意にメイドのルナが声をかけて来た。

みきお「…あ、ああそうだった…ありがとうルナさん!…エマさん今日のところはこのくらいで…また分からない事があったら聞いてください…」そう言うと彼は少し腰を引きながら自室に戻って行った。

実は出かける予定などは無かったが、ルナが機転を効かせてくれたのだ。

エマ「…残念…もうちょいだったのに…」イタズラっぽい笑みを浮かべるエマ。

ルナ「エマ様、エマ様はみきお様の事をどう思ってるのです?」アンドロイドとは言え、人間の気持ちを理解出来るルナだが、それでもエマの本心は測りかねてるようだ…

エマ「な、何よ急に?…男の子って可愛いわ…って感じかしら…?」少し照れたようで、それでいて拗ねた子供のように口を尖らせているエマ。

ルナ「左様ですか?しかし、みきお様を困らせるのは感心しません!リゼお嬢様からも注意してと言われておりますので!」

エマ「え〜っ?あの子もそんな事を言っていたの?なんて言っていたのよ?」

ルナ「それはご本人から…直接お聞きください!」

そうキッパリと言い放つと、ルナはさっさとティーセットを片付け始めた…

エマ「…もう!」そう言うとエマも自分の部屋に戻って行くのだった。

みづき「あわわ…ルナさん良いんですか?エマ様を怒らせて…」

ルナ「あれは怒ったのではありません!少し拗ねてるだけです…」

みづき「…そう…なんですか?まるで子供みたいですけど…」

ルナ「エマ様は子供みたいな所が、おありなのです。」


一方、自室のベッドの上でみきお君は悶々としていた。

みきお「はぁ…エマさん…」ため息をついて枕に顔を埋めると脳裏にエマの胸の谷間が蘇る…

みきお「だ、ダメだ…とりあえず出かけよう。」そう言うと起き上がって出かける準備をはじめた、ルナの助け舟は嘘だったが自室で悶々とするのは時間の無駄だと判断したのだ。

みきお「カレンが調査しなくても…僕だけであの女占い師を探してみよう。」そう決意した彼は屋敷を後にするのだった…!


しかしその頃すでに、カレンは昨夜の女占い師に会う為に紅華町に向かっていたのだった。


カレンは駅からそのまま、星影通りを抜けて紅華町にやって来た…昼間の歓楽街は静かだが、時おりレンタルおしぼりの業者が通ったり出前のバイクが狭い通りを走って行く。

カレン「こんな時間だとまだいないか…?」

キョロキョロと路地を覗いたりして歩く彼女だが、女占い師の姿は無かった…人通りの少ない明るい時間帯にやっているとは冷静に考えればありえないのだが…今の彼女は冷静さを無くしていたのだ。

とうとう昨日のホテル街の手前まで来てしまった。

カレン「日曜日だってのに…何やってんのアタシ…?」

ふと我に返って、呟いてるその時…


女占い師「何かご用ですか?」

後ろから不意に声をかけられて、カレンはビクッとしてしまった。

カレン「い、いきなり声かけないでよ!」

女占い師「失礼、誰かお探しの様子だったので…」

女占い師はフードを深々と被っていてその表情は見えない。

カレン「あ、アナタに聞きたい事があって…」

女占い師「フフ…運命の人ですか?」

カレン「……うん、そう…」

女占い師「図星ですか…しかし今はプライベートな時間…占う事は出来ません!」

カレン「ガーン!」カレンは思わず声に出してしまった、しかしここで持ち前の強引さが顔を出す。

カレン「そこをなんとか!気になって眠れないのよ!」

女占い師「おや、まあ?…フフ…どうやらかなり重症のようですね?」

カレン「ライバルになりそうな女が周りに何人か…こ、心当たりがあるのよ!」

女占い師「そうなんですか?ならば占いは当たりだったようですね?」フードの奥の口がニヤリと歪んだ。

カレン「予約が必要なら今するから…お願いします!」

頭を下げて頼むカレンに対して、女占い師は静かに答えた。

女占い師「ハア…仕方ないですね…?」女は呆れたように呟くと歩き始めた…

カレン「ちょっと…何処に行くのよ?」

女占い師「着いて来なさい!…でも、プライベートで占っていると知られると困るので、2メートルほど離れて歩いてください。」そう言って軽やかに歩いて行く。

カレンは素直に黙って2メートルほど離れて歩くが、その時女の歩き方が異常な事に気がついた。

カレン(なに?あの歩き方…まるでふわりと浮いてるみたい…)

彼女が感じたように、女はまるでスケートで滑っているかのように歩いてるのだった。足音も聞こえ無ければ他の人には見えていないような感じがしたのだ。

女に黙ってついて行くと、やがて駅前の五階建ての雑居ビルの前にやって来た。

カレン(このビルに入るの?…でもこのビルは商業施設だけで住居は無いはず?)

女占い師はカレンの方を一瞥すると頷いて、ビルの中に入るのだった。


その頃、みきお君も駅前に到着してカレンの姿を見つけていたのだが、何か違和感を感じた為に声をかけられずにいた。

みきお「…カレンの奴…今日は調査はしないなんて言ってたクセに…一人で来るなんて…どうしたんだ?」

みきおが見てるのに気がつかないカレンはそのまま駅前のビルの中に入って行った。

みきお「なんの用があるんだ?」何故かカレンの行動が気になる彼は彼女を追ってビルに入る。


しかしすでにカレンは女占い師と一緒にエレベーターの中だった。

カレン「何階ですか?」

彼女が聞いても女占い師は無言でボタンを押す。

カレン「屋上?…屋上に何が?」

女占い師「あなたの願いでしょ?自分の運命を知りたいって…」女はカレンの方を見もしないで冷たく答える。

カレン「う…そ、そうよ!」彼女がそう答えると、屋上にエレベーターが到着したのだった。


一方、みきおはビルのエレベーターの前でエレベーターの行き先を見ていた。

みきお「多分エレベーターに乗ったはずだけど…屋上か?何があるんだ?」

この時、彼は彼女が女占い師と一緒だとは知らなかった…そして彼女に危機が迫っている事にも。

やがて、エレベーターが屋上から降りて来て、みきおもエレベーターに乗り込み屋上へのボタンを押すのだった。


みきおの乗ったエレベーターが屋上に到着し扉が開くと…そこはビルの屋上だった。

エレベーターを降りて、辺りを見回すが…誰一人いなかった。

みきお「アレ?なんだ…誰も居ないぞ?…カレンは何処に…?」屋上には人の気配は無く、それどころか"屋上は立ち入り禁止"の看板がある。

みきお「えっ?立ち入り禁止?やばい、怒られちゃうよ…」真面目な彼は焦った、"しかしだとするとカレンは何処に消えたのだろう?"という疑問が頭をよぎる。

みきお「何処かに隠し扉とか有るのかも?」そう考えて怪しい所が無いか調べ始めるみきお。

すると、給水タンクの下に見慣れないプレートがある事に気がついた。

みきお「アレ?このプレートの模様…確かあのカードに描いてあった幾何学模様にそっくりだ!」

確かに現場で拾ったカードと同じような幾何学模様がそのプレートには描いてあった。

みきお「何か関係が有るのかも?」そう言いながらプレートに触れた次の瞬間、みきおの身体は屋上から消えてしまうのだった。


その頃、エマ邸ではアルフレッドがみきお君に起きた異常を察知していた。

アルフレッド「みきお様の信号をロストしました、場所は駅前のビルの屋上です。」アルフレッドはエマ邸を管理するAIだが、みきおのスマホにもアプリが入っていて彼の位置を常に把握しているのだ。

エマ「なんですって?いったい…何処に?」

アルフレッド「信号が回復しました!」

エマ「なんだ?良かったわ…」ホッとしたエマは胸を撫でおろしたが…

アルフレッド「みきお様の現在位置は…紅華町の上空、およそ800メートル!」

エマ「は、800?なんで?」

ルナ「エマ様、東京スカイツリーよりも高い建物はこの辺りには存在しません!おかしいです。」

アルフレッド「衛星画像を解析…紅華町の上空には現在、飛行船が存在しています…」

エマ「じゃあその飛行船に乗っているの?」

アルフレッド「可能性が高いです!しかし、コレは質量計測からして飛行船ではありません!おそらくは飛行船に偽装した宇宙船かと思われます!」

ルナ「エマ様、みきお様も宇宙人に攫われたのでは?」

みづき「ええっ?みきお君が…オロオロ…」

アルフレッド「99%の確率でそうだと思います。」

ルナ「みづきちゃんはお留守番してください!」

みづき「は、はい!わかりました…」

エマ「みきお君は私達が必ず助けるわ!ルナ行くわよ!アルフレッド、真希奈にも連絡して!」

アルフレッド「承知しました!」

アルフレッドが答えるとエマとルナは屋敷を飛び出し、エマの車に乗り込む。

ルナ「飛行モードとステルスモードを起動!エマ様、行きます!」

エマ「ええ、お願い。」

エマが答えると二人の乗った車は走り出し地面を蹴って飛び上がったがすぐに姿が見えなくなってしまった……ステルスモードにより見えないのだ。


一方、アルフレッドからの連絡を受けた牧野真希奈は黒いスポーツバイクに乗って走っていた。

真希奈「よりによって、紅華町の上空に居たとはね?舐められたものだわ…」

疾走するバイクにまたがる真希奈だが、バイクで上空の宇宙船には行ける訳がなかった。

真希奈「ナユタ!アサルトモード発動、コード・ヴァネッサ!」彼女が無線の相手に叫ぶ。

ナユタ「了解、コード確認!アサルトモード承認シマス!」このナユタという相手は真希奈のサポートAIである、そしてアサルトモードとは?

真希奈のバイクが銀色の光に包まれると、一瞬にして真希奈の服装が黒いプロテクタースーツに変わり、バイクも変形して飛行モードに移り空へと飛び立つのだった。

そしてそのまま飛行船に向かってまっしぐらに飛んで行く。


一方その頃、偽装された飛行船の内部では……

カレン「ううん……ここは?」彼女が気がつくと、そこは見慣れないインテリアに囲まれた奇妙な部屋だった。

インテリアというよりも、何かの機械らしき物と手術台のような物が数台置かれていた。そして彼女自身もその台の上に縛りつけられていたのだった。

カレン「な、何よコレ?なんで?」

女占い師「…目が覚めたようね?」気がつくと女占い師が傍に立っていた。

カレン「なんで縛られてるのよ?アンタいったい…?」

女占い師「フフ…あなたの運命を知りたいのでしょう?教えてあげるわ…」

カレン「だからって、なんで縛られなくちゃいけないのよ?」

彼女は動こうとするが、彼女を固定しているベルトはビクともしない。

女占い師「アナタはこれから圧縮冷凍されて他の星へ行くの!」女は冷たく言い放つ。

カレン「圧縮…冷凍…?な、何なのそれ?」

女占い師「生物を生きたままサイズを縮小して冷凍保存する技術よ!元々は長期間の宇宙旅行用に開発された技術だけど…こうすれば沢山の地球人を一度に運べるから便利なの!」

カレン「宇宙旅行……まさかアンタって…宇宙人なの?」

女占い師「今頃気がつくなんて…本当に地球人はバカね?」

カレン「みきおが言ってた事が…当たっていたなんて…」愕然とする彼女だが…

女占い師「痛くないから安心して、目が覚めたら…まだ買い手がついて無いからその先はどうなるかは分からないけど…運が良ければ奴隷として生きられるかもしれないわ!」

カレン「ど、ドレイ?」

女占い師「買い手がつかなかったら…その時は私達の卵を産み付けて産まれて来る子供達のご飯にするから安心しなさい。」

カレン「子供達…ご飯?…い、嫌…助けて…」半泣き状態のカレン、絶望感が彼女を包む…がその時。

みきお「カレンを離せ!」偶然見つけた転送プレートにより、宇宙船の中に運ばれたみきお君だった。

カレン「みきお…なんでここに?」驚いてる彼女だが、その目には涙が溢れ出てきた…絶対絶命という状況で現れたみきおは彼女にとってヒーローでしかなかった。

女占い師「そちらから来てくれるとはね?手間が省けたわ…これならツガイで売れるわね?」

みきお「お前…宇宙人なのか?」不思議と落ち着いて話すが…いや、落ち着いてるというよりも彼は怒っていたのだ。

女占い師「フン?地球人ごときが…」ちょっとイラついた感じで呟くと女はフードをめくり正体を現した。

フードをめくると青白い炎に包まれたその身体は、やがて蜂のような頭部と外骨格に覆われた昆虫型宇宙人に姿を変えた。

カレン「きゃあああ!」彼女は悲鳴を上げると気を失ってしまった。

クールス星人「フン!私はクールス星人、地球人を攫って売りさばいてるのさ!」

みきお「昆虫型宇宙人…なんで…なんでこんな事をするんだ?地球よりもずっと文明が発達しているはずなのに…?」怒りと悲しみがその言葉には溢れていた、高度な文明を持った宇宙人は地球人よりも文化的にも優れていて犯罪も差別なども無い世界を築いているはず!そう考えていた彼の夢が壊されたからだ。

クールス星人「お前らと私達が対等だとでも思ったか?我々からすれば地球人なんか虫ケラ同然なのだ!」

みきお「虫ケラ?…オマエの方がよっぽど虫ケラみたいじゃん!」

クールス星人「なんだと?キサマ…」クールス星人も激怒した、だがその時…

真希奈「よく言ったね?本当にその通りさ!」

声の方を見ると、そこには黒いプロテクタースーツに身を包んだ真希奈の姿があった。

クールス星人「なんだキサマ?」

みきお「真希奈さん!どうしてココに…?」

真希奈「その説明は後、まずはコイツを片付けてからだ!」真希奈はゆっくりと近づいてくる。

クールス星人「なんだ?宇宙警察か?だがこの星は未開の惑星…我々を取り締まる法は…」

真希奈「お前らみたいな無法者を裁く法が無くても…アタシが裁く!」彼女の瞳にも怒りの炎が宿っていた。

クールス星人「なんだと?まさか…キサマ…」

みきお「真希奈さん?」

真希奈「みきお…下がっていな!今のアタシは牧野真希奈じゃ無い…GAPのスペシャリスト・ソルジャー、ヴァネッサだ!」そう言って銃をクールス星人に突きつける。

挿絵(By みてみん)

クールス星人「ナニ?GAPだと?…あの法で裁けない連中を秘密裏に始末しているという噂の…?」

GAP(ギャラクシー・アサルト・ポリス)とは銀河の治安を乱す法では裁けない連中を、秘密裏に始末する非公認の組織である、特に戦闘力に秀でたエージェントはSS(スペシャリスト・ソルジャー)の称号を与えられコードネームで呼ばれるのだ。

ヴァネッサ「そう!そして…」そう言うと彼女は引き鉄を引く。

ブラスターの赤い光弾がクールス星人に向かって飛ぶが、直前で方向が変わりあさっての方に飛んで行く。

クールス星人「ブラスターなんか効くものか!GAPのエージェントも大した事無いな…?」偏光シールドによりブラスターは無効のようで、クールス星人は勝ち誇っていた。

ヴァネッサ「チッ!虫ケラの癖に…悪知恵ばかり働くんだね?」

彼女の一言にクールス星人は激昂した。

クールス星人「キサマぁ〜!」クールス星人の腕が鎌のように変形してそれをヴァネッサに向かって振り上げる。

ヴァネッサ「インフィニティ・ブレード!」彼女が叫ぶと次の瞬間、彼女の手に日本刀のような形状の、しかしメカメカしい刀が現れた。

ナユタ「インフィニティ・ブレード承認!」

サポートAIのナユタが承認するやいなや、ブレードの刃が光り輝きヴァネッサはそれを振り上げクールス星人に突進する。

すれ違いざまに一閃すると、クールス星人は真っ二つになってしまった。

ヴァネッサ「あちゃ…やっちまったよ…捕まえて色々と聞き出すつもりだったのに…」

ナユタ「問題ありません、宇宙船の記録を調べたら情報が手に入るはずです。」

ヴァネッサ「そうだね…?さてと…後は任せたよ!」そう言うと彼女は宇宙船のブリッジに向かって歩き出した。

みきお「ま、待っ…」みきおがヴァネッサに声をかけようとしたその時…

エマ「みきお君、大丈夫?」エマとルナが駆け寄って来た。

みきお「エマさん、ルナさん、どうしてココに?」

エマ「良かった無事で!」そう言ってみきおに抱きつくエマ。

みきお「え、エマさん…状況が飲み込めないんだけど…」困惑してるみきお、無理も無い…色んな事が一気に起こり過ぎたのだ。

エマ「何にも心配しなくてもいいのよ!」そう言ってみきおの額にエマが手を当てると…みきおは意識を失ってしまった。それはまるで眠るように…

挿絵(By みてみん)

エマ「ルナ、みきお君とカレンさんを運んでちょうだい。」

ルナ「かしこまりました!」そう言うとルナは二人を軽々と持ち上げてストレッチャーのような台に乗せて運ぶのだった。



つづく

人間蒸発事件の犯人は宇宙人(クールス星人)だった!

宇宙人は良い人ばかりだと思っていたみきお君はショックだったでしょうね?

そして、私立探偵だと思っていた牧野真希奈はGAPのエージェント、しかもSS(スペシャリスト・ソルジャー)という最強クラスという事実。

果たして事件の結末は…?

次回、解決編です!

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