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私立探偵・牧野真希奈

ミステリー研究会の部長・御堂カレンに半ば強引に、人間蒸発事件の調査へ付き合わされることになった望月みきお。

カレンの調査によれば、事件は決まって金曜日の夜に発生しているという。

そして迎えた金曜日の夜……二人は発生現場とされる歓楽街・紅華町(べにはなちょう)へ向かう。

果たして、そこで二人を待ち受けるものとは……?

なし崩し的に金曜日の夜に、人間蒸発事件の調査に付き合わされる事になってしまったみきお君…

彼とミステリー研究会の部長、「御堂カレン」は独創大学前駅の隣街の歓楽街…通称、紅華町(ベにはなちょう)にやって来た。

この紅華町は星影通りの西側に位置し、昔から飲み屋や風俗店、ホテルなどが存在する地方にしては規模の大きい歓楽街なのだ。

カレン「人間蒸発事件はほとんどがこの紅華町で起きてるらしいのよ!」

ノースリーブのワンピース姿の彼女はスタイルも良く、派手さは無いけど男の目を引く感じだった。

みきお(カレンって結構美人だから…化粧して派手な格好していたらキャバ嬢に間違われるよな?)

カレン「…?なぁによ?ジロジロと見ないで!」

挿絵(By みてみん)

みきお「ご、ゴメン!…コホン…この紅華町は、防犯カメラが存在しないらしいよ!」

カレン「えぇっ?今どき…そんなのおかしくない?」

みきお「お客さん側の要望なんだって、風俗店に偉い人が入っていく映像なんてのが流出したら困るんだってさ!」

カレン「そんな理由なの?分からなくは無いけど…」

みきお「…アニキが言ってたんだけど…お店にカメラはあるけど、通りには1つも付いてないらしいんだ。」

カレン「それなら人間蒸発事件が何の証拠も残っていない理由も説明が付くわ!」

みきお「だから危険な事に首を突っ込むな!って言われたんだけど…」

カレン「それはそうね?刑事さんなら当然よ!」

みきお「だからさ…帰ろうよ!女の子だけでなく…男の僕でもちょっと怖いよ…」

カレン「情けないわね?それでもミステリー研究会の一員なの?」

みきお「僕は天文研究会だよ!いつからミステリー研究会の一員になったんだ?」

カレン「フン!ここまで来たら絶対に何か見つけるんだから…!」

そう言って辺りを見回すが…歩いてるのは酔っ払いか輩みたいな連中に水商売のお姉さんくらいだった。

キャバクラなどの店の前には、呼び込みらしい黒服の男があちこちに立っている。

みきお「こんな所で人が消えたら絶対に目撃者が居るはずだよ!」

カレン「…そうね?目撃者がほとんど居ないのは人通りの少ない裏道の可能性が高いわね?」

そう言って、裏道を覗いてみると…ポツンポツンとスナックの看板が点在するだけの狭い道だった。

カレン「うぅ…危ない感じがするわね?」

みきお「でもこんな路地で、複数の人に襲われたら簡単に拐われてしまうと思うよ!」

カレン「そうね?犯人が計画的かつ組織的な連中だとしたら…十分に考えられるわ!」

みきお「逆に考えたら…宇宙人の仕業じゃ無さそうだね? つまらないなぁ…」

そんな事を言ってると向こうから争う声が聞こえてきた。

若い男「…もう結構です!とにかく僕は辞めますから…」

中年男「辞めてどうするんだ?まだ二ヶ月程しか働いてないじゃないか?」

若い男「とにかくもう…うんざりなんです!それじゃ!」

暗がりから聞こえて来たのは会社の若手社員と上司の会話らしかった…

若い男は、怒りに顔を赤くしながらカレン達の前を通り過ぎて行った。

カレン「ほんの数ヶ月どころか1日で辞める人もいる時代だからね?珍しくないわよ…」

みきお「…しかしあんな姿を見てしまうと就職活動が憂鬱になってしまうなぁ…」

カレン「1年生のうちからそんな事、心配しないの!」

そこへもう一人の中年男性がぼやきながらやって来た。

中年男「…困ったなぁ…人事部長になんて説明すれば…」

どうやらこの男性はあの若者の上司のようでした。

中年男「あぁ…もういっその事消えてしまいたい……」

そう彼が言った時。

謎の声「その願い…叶えよう!」

そう声がすると…男の身体が青白い光に包まれて、その場から消えてしまいました…!

カレンとみきおはその瞬間を見て驚愕しています。

カレン「き、消えた?」

みきお「なんで?どうして?」

カレン「み…見た?」

みきお「う、うん!」

そう頷くとみきおは男性が消えた場所にしゃがみこんで調べ始めました。

カレン「あ、危ないわよ!」

みきお「大丈夫…あの光はもう無いし…」

カレン「なんでそう思うのよ?」

みきおは地面を丹念に見回したが地面には血痕も無ければ足跡すら残っていなかった。

みきお「ん?コレはなんだ…?」

彼はスマホを取り出して撮影しました、彼が見つけたのは1枚の小さな幾何学模様が描かれたカードでした。

カレン「何撮ってるのよ?」

みきお「ほら!こんなカードが…あのおじさんの物かもしれない…」

カレン「ええ?遺留品って事?」

みきお「うん!…指紋が着いてるかもしれないな?…これで…」

みきおはそのカードをハンカチを使い拾って、彼女に見せました。

それは何か…不思議な幾何学模様が描かれてる手のひらサイズのカードだったのです。

カレン「…アンタよく落ち着いていられるわね?現実に人が消えたのよ!」

みきお「確かにね…アレはなんか転送でもされたみたいに見えたけど…そんな技術は地球には存在しないはずだ…」

カレン「月刊ムウゥ!の記事にアメリカが研究してるって書いてあったけど…まだ実用化はされてないはずよ!」

みきお「…そうだね?コレは人間技じゃない!きっと宇宙人の仕業だよ!」

カレン「はぁ…またそれ?」

みきお「そうさ!この目で見た通り、あれは地球の科学では不可能だ、宇宙人の仕業じゃ無ければ誰なんだ?」

カレン「…う…それはそうだけど…アンタなんか喜んでる?」

みきお「おじさんには悪いけど…宇宙人に繋がりそうな事件が目の前で起きたんだよ!これが興奮せずにいられるかい?」

カレン「そ、そうだ!とりあえず110番ね…アレ?圏外になってるわ…」

みきお「なんで?アレ?僕のもだ…」

カレン「…アタシは駅前の交番に行ってお巡りさんを呼んでくるわ!」

みきお「わかった!」

カレンは夜の繁華街を走って行った…


一方その頃、エマの屋敷では繁華街の異変に気がついていた。

アルフレッド「みきお様の信号をロストしました、どうやら紅華町の周辺に強力なジャミングがされている様子です。」

エマ「みきお君の言ったとおり…金曜日の夜に動き出したわね?」

屋敷の居間でアルフレッドの報告を聞いたエマは何かを予見していたように呟いた。

ルナ「エマ様、それでは?」

エマ「ええ!行くわよルナ!」

ルナ「はい!」

二人は屋敷の前に止めてあるエマの愛車、見た目はクラッシックなシトロエン2CVだが、中身はハイテク満載のようだ。

その車に乗り込み、二人は飛び出していく…運転は勿論、メイドさんのルナである。


現場では、みきおが周囲の写真を撮っていた、現場で他に何か無いか探しているのだ。

みきお「あのカードの他は何も無いかぁ…」

女の声「ちょっとキミ…何やってるの?」

みきお「…事件の現場を撮影しているんですよ。」

女の声「ふーん?なんか手馴れてるわね?素人とは思えないわ…」

みきお「まあね!アニキが刑事だから…現場検証の話しとかも聞いていたし…」

女の声「そうなんだ〜?」

みきお「人間蒸発事件なんて、単なるネットのヨタ話しだと思っていたけど…」

女の声「本当にあったって事かい?」

みきお「そうさ!きっとコレは宇宙人の仕業なんだよ!…って誰だ?」

みきおが声の方に振り向くとそこにはボディコンシャスなブルーの服を着たイケイケお姉さんが立っていた。

挿絵(By みてみん)

彼は目を丸くして驚いた、自分にこんな美しい女性が声をかけて来ていたとは思っていなかったからだ。

真希奈「こんばんは!アタシは牧野真希奈(まきのまきな)、私立探偵なんだけど…ちょっと詳しく聞かせてもらえるかな?」

みきお「た、探偵?」

私立探偵という彼女の出で立ちは、およそそれとは程遠い…どちらかと言えばキャバ嬢に近いものだった。

みきお「探偵の割にはずいぶん派手な格好ですね?」

真希奈「この町じゃあ…こういう服装の方が目立たないのさ!」

みきお「…うーん…確かにね?」

真希奈「そうよぉ〜!それじゃ、こっちに来て!」

彼女はみきおの腕を掴むとなかば強引に暗がりに引っ張って行った。

みきお「うわ…ちょっと…」

彼の腕を抱き抱えるように掴むので、真希奈の大きな胸(推定Gカップ)がみきおの腕に押し付けられる。

みきお「あ…あの…(わわっ!胸が…それに凄い綺麗な人だなぁ…?)」

切れ長の目をした、ちょっと妖艶な感じの真希奈の目は真っ直ぐに彼を見つめていた。

真希奈「で?人が消えたってのはどんな風にだい?」

みきお「なんか…青白い光に包まれたと思ったら…一瞬で消えちゃったんだよ…!」

真希奈「そう?そういや何か拾っていたみたいだけど?」

みきお「…ああ、コレです!」

そう言ってみきおはポケットからハンカチに包まれたカードを取り出して見せた。

真希奈「…あまり見かけないカードだね?…でもこの幾何学模様、どこかで見たような…?」

みきお「とにかく人間が消えるなんて…マジックじゃ無ければありえないですよ!」

真希奈「そうだね?こんな事は人間技とは思えないね?」

みきお「そうですよね?きっと宇宙人の仕業ですよ!」

真希奈「フフ…宇宙人なんて言ったら、普通はバカにされるもんだけど…」

みきお「でも、文明を築くのが地球だけなはず無いですよ!だから居るはずなんです。」

真希奈「アンタなかなか面白いね?名前は?」

みきお「僕は望月みきお!宇宙人に会いたい大学生だよ!」

真希奈「みきお君ね?…でも宇宙人だって悪い奴も居ると思うよ!危ないからそんな事を夢見るのはやめな!」

みきお「…う…確かに地球人だって悪い人も居るし…宇宙人が良い人ばかりじゃないかもしれないけど…」

彼の残念そうな顔を見て、可哀想に思ったのか真希奈は…

真希奈「あぁ…悪かった!他人の夢に口出しなんて大人がする事ではなかったね?」

…そんな事を話しているうちに既に5分くらいが経過していたが、そのうちにカレンが戻ってきた。

…しかし警官は連れて来ていない…?

カレン「交番にお巡りさんいなかったから…ってその女の人…誰よ?」

真希奈はカレンに向き直り「アタシは私立探偵の牧野真希奈。よろしくね!」

カレン「…私立探偵?もしかして人間蒸発事件を調査しているの?」

真希奈「ご名答!みきお君の彼女?なかなか可愛いじゃない?」

カレン「か、彼女なんかじゃありません!…ただの…友達です…」

真希奈「あらそうなんだ?じゃあみきお君を少し借りてもイイよね?」

そう言ってみきおの肩に、しなだれかかる真希奈。

カレン「な、何を…そんな事…私には…」

みきお「真希奈さん、あんまりからかわないで下さいよ!カレンが興味あるのはミステリーだけなんだから!」

カレン「だけってなによ?人を変人みたいに言わないでよ!」

真希奈「あははっ!アンタ達って、いいコンビだね?面白いよ!」

みきお、カレン「面白くありません!」

意図せずハモってしまった2人…顔を見合わせると恥ずかしそうに慌てて顔を逸らすのだった…


そんな事をやってるうちにエマとルナの二人がやって来た。

エマ「みきお君、こんな所にいたのね?」

みきお「エマさん!どうしてここに?」

ルナ「遅くなるとは伺ってましたが…電話が繋がらないようなので心配になって来てみたのです!」

メイド服のルナがうやうやしく説明する。

その様子を見たカレンが小声でみきおに尋ねる。

カレン「メイドさんじゃない?アンタ叔母さんの家に居候してるって言ってたけど…どんなお屋敷なのよ?」

みきお「それは…まぁ…おいおい説明するよ…!」

真希奈「フーン?みきお君は諸星さんの家に居候してるんだ?」

二人の会話に真希奈が口を挟んできた…

みきお「アレ?エマさんを知ってるんですか?」

真希奈「まあね、結構有名人だよ!あの人…」

エマ「みきお君、何かわかったの?」優しく微笑みながらエマは聞いてきた。

みきお「ええと…実は本当に人間蒸発事件が起きたんですよ!」

エマ「まぁ怖い…!」

みきお「それで、消えた場所でこんなカードを拾ったんです。」そう言ってハンカチに包んだカードをエマとルナに見せる。

ルナ「…この幾何学模様…どこかで…?」ルナは何か心当たりがあるのか考え込んでしまった。

ルナはスマートフォンを取り出してカードの写真を撮影すると検索を始めた。

カレン「あの…さっきから圏外になってるんです、すぐに警察に連絡しようと思ったんですけど…」

ルナ「問題ありません。」ルナは画面を見つめながら答える。

みきおがスマホを見てみると先程まで圏外だったのだが、普通に繋がるようになっていた。

みきお「アレ?繋がるみたい…よしそれじゃあ警察に…」そう言ってみきおは警察に連絡した。

ルナ「エマ様、アルフレッドに調べてもらいましたが…」ルナは小声でそう言って画面を見せる、するとエマは驚いた顔をしたが、すぐに平静に戻った。

エマ「コホン…みきお君も無事みたいだし…お邪魔しても悪いから、私達は帰るわ。」そう言って手を振るエマとルナ。

みきお「なんか心配かけてすみません…」

ルナ「大丈夫です、何か有りましたらご連絡ください!」そう言って二人は去って行った。

真希奈「…フム?…これ以上は何も分からないみたいだし…アタシは1杯やりに行くかな?アンタ達も来る?」

カレン「いえ…警察が来るから待たないと…」

みきお「通報したのに誰もいなかったらイタズラ電話かと思われますよ!」

真希奈「それはそうだね?それじゃ…後は目撃者に任せるよ!」そう言いながら手を振って去って行く真希奈だった。

…その後、みきおとカレンの二人はやって来た警察官に事情を説明したが…まともに取り扱ってはもらえなかった…

一応の現場検証を行いカードは回収したが被害者の男性の名前も分からないままだった。


一方その頃、繁華街の路上占い師に会社を辞めると言っていた若者が今後の事を占ってもらっていた。

若者「辞表を出したのは良いけど…これからどうすれば…」

占い師「アナタには新しい世界が開けていますよ!」

若者「本当に?」そう尋ねる若者に、占い師はフードの奥で微笑みながら…

占い師「はい!特別にアナタにはこのカードをさしあげましょう。 」

若者「ありがとうございます…ところでコレは?」

占い師「本当に困った時にこのカードに祈ると新しい世界が開けます!」

若者「え?い、いくらするんですか?」

占い師「コレはさしあげます!きっとアナタの望みが叶うはずですよ…!」

若者「ようし、明日から職探しだ!」

若者は希望に満ちた表情でカードを胸ポケットへしまい、足取りも軽く夜の街へ消えて行きました。


…その後ろ姿を見送りながら、占い師はフードの奥で静かにニヤリと笑っていたのです。

挿絵(By みてみん)

つづく






ネットのヨタ話かと思っていた人間蒸発事件を目の当たりにしたみきお達。

謎のカード…そして謎の占い師…果たして事件の真相は?

次回で明らかに……なるのかな?

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