誕生日プレゼントは宇宙旅行?
6月8日に20歳の誕生日を迎えた望月みきお君、彼は両親を事故で失って以来、誕生日のお祝いなどはした事が無かった…
そんな彼の為にエマさんが誕生日パーティーを自宅で開催、御堂カレンもおめかししてエマ邸にやって来たが…
次々と現れる美女達に戦々恐々!
そんなカレンの心の内はつゆ知らず、みきおは感激しながら挨拶と乾杯の音頭を取るのだった。
誕生日パーティーも終りとなり、酔っ払ってしまったみきお君は自室のベッドで寝てしまっていた。
そこへ誰かが入って来た…エマである、彼女は身体中に赤いリボンを巻き付けた格好でみきおを起こす。
エマ「みきお君…起きて…誕生日プレゼントを持って来たわよ!」
みきお「…うぅん…え、エマさん…プレゼント?」
エマ「そうよ!気に入ってくれると良いけど…」
みきお「…え?」みきおが完全に目を覚ますと目の前のエマの姿に驚いた、下着姿の上に赤いリボンを幾重にも巻き付けた格好だったからだ!
みきお「わわっ!エマさんなんて格好してるんですか?…ぷ、プレゼントってのは…?」
エマ「プレゼントは…ワ・タ・シ!」そう言って、イタズラっぽくウィンクをする。
みきお「ままま…まさか?」
エマ「みきお君をワタシが完全に大人にしてあげる!」
みきお「そ、それは…色々とまずいというか…いや、嬉しいけど…いや、こここ…心の準備が…」
真っ赤になって狼狽えるみきお。
そこへ真希奈が声をかけて来た。
真希奈「オーイ!あんまりチェリーボーイをからかうなって!」
みきお「真希奈さん?ちち、チェリーボーイ?」
エマ「アラ?もう準備出来たの?」
真希奈「…たくっ!みきおを起こすからって言って何やってんだか…?」
エマ「フフ…プレゼントを用意したのは本当だけど、ごめんなさいね!大人の階段を上るのはもう少し先ね?」
真希奈「みきお、早く起きな!アンタを宇宙に連れて行ってやるからさ!」
みきお「ええっ?宇宙に?」
エマ邸の地下室に連れて来られたみきお君、そこには銀色に輝く円盤型の乗り物が置いてあった。
みきお「地下室なんて初めて来たけど…なんでこんなものが?」
エマ「コレは最新のバーチャルアトラクション装置よ、これで地球はおろか宇宙旅行だって体験出来るのよ!」
真希奈「スゲーだろ?天文学を学ぶアンタなら月や火星に行ってみたいって思うだろう?」
みきお「す、凄い…地下室にこんなものを作るなんて…」みきおの驚いた顔を見て、エマはとても嬉しそうだった。
エマ「さあ!みきお君どこに行ってみたい?」
みきお「そうですね…それじゃ土星の輪を見てみたいです!」
エマ「良いわよ!それじゃ、真希奈さん。」
真希奈「操縦はアタシがするから、アンタ達は座っていてくれ!」そう言って、乗り物に乗り込んで行く。
コクピットらしき座席に真希奈が座り、その後方に並ぶ椅子にみきおとエマが座った。
エマ「それじゃ、みきお君はこのヘルメットを装着してね…」
みきお「は、はい!」宇宙用としては小さいヘルメットを被ると目の前は真っ暗だった。
みきお「アレ?何も見えませんけど…?」
エマ「宇宙空間に出たら見えるわよ!」
みきお「なるほど?この内部にバーチャル画像が映し出されるんですね?!」大した説明もされずに勝手に納得してしまったみきお。
真希奈「それじゃ行くぜ!」
彼女がそう言うと背中にわずかな振動を感じた。
みきお「へぇ〜?振動やちょっとGを感じる…凄いリアルですね?」
エマ「フフ…驚いた?」
目の前は真っ暗だが、隣に座っているエマの嬉しそうな声が聞こえる。
みきお「はい!早く宇宙空間を見たいですよ!」
真希奈「焦るなって、土星まではワープしないと時間がかかるからな…」
みきお「そうですね?光の速さでも片道1時間半くらいかかるはずだから…」
エマ「さすがね?みきお君は詳しいわ。」
みきお「えへへ…土星ってあの輪が特徴的で、子供の頃から好きだったんです…」
真希奈「ローレライ号が見えたぜ、ドッキングシークエンスに入る。」
エマ「それじゃ…そろそろヘルメットを取りましょうか?」
みきお「は、はい…」ヘルメットを取ると、目の前のモニターに宇宙空間に浮かぶ銀色に輝く帆船が映し出されていた。そのボディは光沢のある金属で継ぎ目が全くないツルンとした感じで、マストには半透明の帆が広がっていた。
みきお「わぁ!凄い綺麗な宇宙船ですね?あれがローレライ号?」
エマ「そうよ!我が家の専用宇宙船、この円盤は単なるシャトルだからワープ航法は出来ないの。」
みきお「なるほど?設定が細かいですね?」
アルフレッド「ドッキングシークエンス開始します!」
みきお「あれ?アルフレッドの声が…」
エマ「航行ナビゲーションもアルフレッドの担当なのよ!」
みきお「なるほど?凄いやアル!」
アルフレッド「お褒めいただき恐縮です。」
エマ「アル?アルフレッドの事をそう呼んでいるの?」
みきお「だって、アルフレッドって長いから…アルで良いって言ってるし…」
アルフレッド「はい!構いません。」
真希奈「へぇ〜?AIと友達になれるなんて、みきおは宇宙人とだって友達になれるぜきっと!」
みきお「そ、そうかな…?」
エマ「きっとなれるわよ!」
そんな事を話してるうちに円盤は帆船型の宇宙船の船室の上部に格納される形でドッキングした。
この円盤はローレライ号のコクピット兼脱出用シャトルになっているらしい。
アルフレッド「ドッキング完了!これより土星までワープします。」
みきお「いよいよワープか…?ドキドキするな?」
真希奈「よおし、行くぜ、ワープ!」
彼女がそう言った次の瞬間、目の前の空間が歪み一瞬真っ暗になった。
みきおは目が眩んだ感じがして目を瞑ってしまったが、しばらくするとエマの声がした。
エマ「みきお君、目を開けてご覧なさい!」
そう言われて恐る恐る目を開けると…目の前に土星が映し出されていた。
みきお「わぁ!土星だっ!凄いリアルですね?」
真希奈「もう少しあの輪に近づいてやるよ。」
彼女がそう言うと、土星の輪がみるみるうちに近づいて来る。
みきお「あの輪の暗い部分はカッシーニ間隙と言って…」天文好きな彼らしい土星の説明をするみきお。
エマ「凄いわみきお君、詳しいのね?」
みきお「バーチャルでもこんなにリアルなんて…感動です!」彼は目を潤ませてエマの顔を見つめる。
エマ「そ、そんなに喜んでもらえて…私も嬉しいわ…」
みきおの顔を見て、何故かエマは胸が高鳴るのだった。
エマ(どうしたのかしら…なんでこんなにドキドキしてるの私…?これって…)
真希奈「モニター越しじゃつまらねぇだろう?エマさん、展望室に行こうぜ!」真希奈はそう言って操縦席から立ち上がった。
みきお「展望室?そんな物もあるんだ?」
エマ「ええ、ローレライ号の後部デッキが展望室になっているのよ。」
みきお「早く行こうよエマさん!」そう言って嬉しそうにエマの手を握って後部デッキに向かうみきお。
エマ(…どうしたのかしら…さっきよりもさらに鼓動が…)
この時、エマの顔が赤くなっているのをみきお君は気がつかないでいた。
展望室に入ると、視界いっぱいに巨大な土星の縞模様が広がっていた。
その大きさに圧倒されたように、みきおは言葉を失った。
みきお「…………」
エマ「…?みきお君…?」
よく見ると、土星の輪を構成している岩石や氷の塊がハッキリと見えた。
みきお「凄いや!ちゃんとカッシーニ間隙のところも何も無い訳じゃなくて、細かい暗い物質が存在しているように描いてある!」
真希奈「…コイツ…まだバーチャルだと思ってんのか?」
彼女がボソッと言ってるのをみきおは聞いていなかった、あまりにも非現実的な光景に興奮しまくっていたのだ。
そして…手を握られたままのエマは、やはりドキドキしっぱなしなのだった。
エマ(今まで感じた事がない…なんなのこの感覚…?)
終始興奮しっぱなしのみきおだったが、少し落ち着いたのかエマの手を握っている事に気がつくと慌てて手を離し真っ赤になってしまった。
みきお「ご、ごめんなさいエマさん…僕…夢中になっちゃって…」
エマも顔を赤らめていたが、平静を装って…
エマ「気にしないで…こんなに喜んでもらえて私も嬉しいわ!」
そんな二人を見て、真希奈はニヤニヤしながら展望室で外を見るのだった。
宇宙旅行を終えて円盤を降りて来たみきお達、すでに時間は日付が変わっていた。
改めてエマの方に向き直ったみきお。
みきお「エマさん、真希奈さん、ありがとうございました!最高の誕生日プレゼントでした!」
真希奈「アタシは操縦しただけさ…でもまぁ、喜んでもらえて良かったよ!」
エマ「フフ…私も良かったわ!」
彼女自身は土星や木星などのガス惑星は見飽きているのだが、みきお君が喜んでくれたのが何よりも嬉しかった。
そして、エマの中では今まで感じた事の無い感情が生まれて来ていたのだった。
翌朝、目が覚めたみきおは改めて宇宙旅行の光景を思い出していた…
みきお「あれがバーチャルだなんて…信じられないくらいリアルだったな?」
実際に土星まで行って来たのだが、彼はあくまでもバーチャルアトラクションだと思っていた、天文学の知識があるだけにあっという間に土星までワープするなどは現実としては認識出来なかったのだ。
みきお「でも、僕の誕生日プレゼントにあんな物まで用意してくれて…エマさん…」
そう呟いてエマのリボン姿を思い出した彼は赤面するのだった。
そして、食堂で朝食を食べているみきおの姿を見たエマは…何故かドキドキして顔を赤らめているのだった。
ルナ「エマ様、お顔が少し赤いようですが…?」
エマ「な、なんでもないわ…」
ルナ「そうですか?心拍数も上昇しているようなのですが…?」
エマ「大丈夫よ!…多分…」
ルナ「…多分…?」
そう言われたルナは、不思議そうな表情でエマを見守るのだった。
大学にやって来たみきおだったが、今日の講義は午前中だけだったので昼ごはんは学食ではなく紅華町の一角にある中華料理店"龍翔飯店"に御堂カレンと共にやって来た、彼にとっては誕生日プレゼントのお礼のつもりもあったのだ。
カレン「お礼なんて良いのに…誕生日プレゼントなんだから…」
みきお「このボールペン、星座があしらってて凄い気に入ったよ!大切に使うね!」
カレン「よ…喜んでもらえて良かったわよ!」
そうそっけなく答える彼女だが、内心ではガッツポーズをしている。
カレン(やったわ!これで一歩リードね?)
喜んでいるが、みきお君がもっと喜んでいたのはエマの宇宙旅行だったという事は彼女は知らない事だった。
カウンター席に並んで座っているみきおとカレンに、看板娘である銀嶺が声をかけて来た。
銀嶺「いらっしゃい、久しぶりね?」
彼女は光沢のあるチャイナドレスを着ていて、その長い髪は銀色に輝いていた。
みきお「銀嶺さん、久しぶり〜!」
銀嶺「今日のランチセットはラーメンと餃子とミニチャーハンのセットか回鍋肉定食よ!回鍋肉は杏仁豆腐がデザートに付いているわ!」
テキパキと説明する銀嶺、しかし彼女はGAPのエージェントでもあるのだが勿論それは秘密だった。
みきお「じゃあ僕はラーメンセット!」
カレン「あたしは…回鍋肉定食で。」
銀嶺「はーい!」
メモを取ると銀嶺は厨房に向かってオーダーを告げる。
カレン「…アンタここの常連なの?」
みきお「以前は結構お世話になっていたんだよ、今はみづきちゃん達が料理を作ってくれるから外食は減ったけど…」
カレン「ふーん?あの…銀嶺さん?あの人と仲いいの?」
みきお「結構常連だったから…顔は覚えられているけど…仲が良いって程じゃあ無いよ。」
カレン「ふーん?」
さりげなく彼の交友関係をリサーチするカレン、内心ではみきお君の女性関係が気になりまくっていた。
カレン(銀嶺さんはライバルにはならなそうね?やっぱり要注意なのはアノみづきちゃんね?なんと言っても同じ屋根の下に居るんだから…)
彼女の判断は正しかったが、エマまでもがライバルになりそうな事に気がつくはずは無かった。
つづく
酔って寝てしまうみきお君は、まだまだ可愛いですね?
そして、エマさんが贈った誕生日プレゼントは、なんと土星への宇宙旅行!
みきお君は完全にバーチャルだと思っていますが……?
さらに、エマさんの心にも何かが芽生え始めたようですね。
果たして、この気持ちの正体に気づく日は来るのでしょうか?
次回もお楽しみに!




