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俺のクラスメイトが魔法少女な件  作者: のろとり
~第7章~俺達の最後の戦いが幕を開けるで章
145/146

第145話 俺の家が無人な件

この作品書いてる時の心境

序盤:プリキュアって大体こんな感じかな。

中盤:はえ~。プリキュアって強化フォームとか、必殺技複数持ってるんだ。全然知らなかった。

終盤:この作品シリアス長いなぁ。

「ただいま~つっても、誰も居ないけどな」


 マホ達が魔法世界へ帰り、ガク先輩が盗んだモノを空間に色々とぶちこんだのを見届けた俺は誰も居ない家に帰ってきていた。


 物語では「異世界人は元の世界に帰っていきました。ちゃんちゃん」で終わるだろうが、これは現実だ。世界が救われようがそこで人生が終わることは無い。世界が救われようとも明日は訪れるし、俺が寿命を迎えたとしてもこの世界はずっと続いていく。


「暇だなぁ。アクロコ、ファ〇チキ食べ……」


 俺は全てが終わった安心感からか、リビングの床にゴロンと転がりアクロコの名を呼ぶ。

 しかし帰ってくるのは静寂のみである。

 当然だ、アクロコ……もといワニヨウは魔法世界に帰ったのだから、返事をする人物なんぞ誰1人として居ないからである。


「あぁ、そうだ。魔法世界に帰ったんだったな」


 その事実を自分自身に言い聞かせるようにボソリと呟き、1人だから何をしようか考える。


 いつもワニヨウやみんなと一緒だったからなぁ。

 相談があるからと建前を作ってワニヨウとゲームする為にペンヨウが遊びに来たり、マホ達にワニヨウを匿っている事に驚かれたり、ワニヨウの監視と建前を付けてマホがペンヨウと遊びに来たり……。


 思い返せば、マホやペンヨウと関わる切っ掛けは俺自身にあっただろうが、魔法少女や妖精として深く関わるようになったのは、ワニヨウが居たからである。


 4月までは1人が当たり前の生活だった。

 ランやガク先輩とは多少絡んでいたが、それは学校内での話である。両親は海外に居るため家では1人であり、俺の超能力のように摩訶不思議な力を持っている人物は何処にも居なかった。


 それがマホ、勇子、ワニヨウ、ペンヨウ……段々と俺の望んだ力を持った人物が現れた。俺は嬉しかった。夢のような時間だった。


 けれどその夢も終わり、平凡な日常が帰ってきた。

 元々俺は超能力こそは持っているが、あまり超常的な力とは関わろうとしなかった。だから例えその力を持つ相手が居なくなったとしても、4月の時と同じような生活に戻った筈だ。それなのに……。


「なんで、寂しいんだろうな」


 これが虚無感ならまだ分かる。

 望んでた生活が終わってしまったと、虚無感を抱くのなら納得は行くが……どうして俺は力が無くなった所よりも、ワニヨウ達が居なくなった寂しいと思うんだろうな。


「ゲームでも、しようかな」


 俺は気分転換にゲームをする事にした。

 暇な時は大抵、ワニヨウと一緒にゲームをして時間を潰したモノだ。

 どのゲームしようかなぁ。えっと、これは対人用のゲームで、こっちはパーティ系。対人協力協力協力対人……なんか複数人で遊ぶ用のゲームが多いな。


「あれ、こんなゲームソフト持ってたかな……」


 ゲームソフトを選んでいる最中、俺は見覚えの無いゲームを見つけた。

 こんなゲーム買ったか? つーか触った覚えないし。マホはソフト持ってないだろうし、ガク先輩も違うだろうな。ランに関してはちゃんと自分のモノには名前書くって几帳面な性格してるから、この何も書かれてないのは違うだろうから……あぁそうだ、思い出した。ワニヨウが欲しいと言ってたから買ったんだ。


「少し触ってみるか」


 もうワニヨウは居ないのだ。

 今から遊ぶのはセーブデータが複数あるゲームだ。ワニヨウが触ってたデータは手を付けないでおくが、空いてるデータを使って遊ぶ程度なら文句も言ってこないだろう。尤も、この世界に居ないのだから文句の付けようすら無いだろうが。


「…………」


 なんか、面白くないな。

 いや、正確に言えばゲームは面白いんだ。面白いんだが、なんだか感情が揺さぶられないと言うか、盛り上がりに掛けるって言うか。うーん、なんて言えば良いんだろ。


 これ以上触っても面白くないだろうと思い、俺はゲームを中断して仰向けで床に転がり、意味も無く「あー」と叫んでみる。当然ながらこの声に返事する者は誰も居ない。


「ここってこんなに広かったか?」


 上下反対に見えるリビングを身体を動かす事で視界を元に戻し、ボッーとリビングを眺める。

 ワニヨウが1匹、大きさだけで言えばぬいぐるみが一つ消えた程度の違いだ。それでも俺にはリビングがいつも以上に大きく感じる。

 いや、リビングだけではない。この家全体がポッカリと穴が空いたかのような広さに思える。


「…………寂しいな」


 そう呟いたのは無意識だった。

 俺はマホ達が魔法世界に行っている間、非日常が離れていったのを「つまらない」と感じていた。けどそれは違ったようだ。俺はただ、


「友達と過ごす時間が楽しかったんだ」


 勉強したり、馬鹿やったり、困難に立ち向かったり、秘密を共有したり……俺が欲しかったのは超能力のように摩訶不思議な力や、魔法少女のような超常的な存在じゃない。

 前世で空界と遊んだ時のように、気軽に接する事の出来る友達と遊びたかったんだ。


 けどそれはもう叶わない。

 マホともペンヨウとも……魔法世界出身者とは遊べない。

 もしかしたら数年後、数十年後にまた再開出来るかもしれないが、会えるまで俺の心は満たされないだろし、確実にまた会えるとは限らない。


「超能力も夢が叶えられなければ無力と変わらないな」


 俺の超能力ではマホ達と会う夢を叶えられない。

 日常で少し役に立つ程度の超能力では、何も出来ない。この超能力の源が妖精に宿る元気パワーだろうとも、俺の願いは誰にも届かな……


「ちょっと待て」


 俺はそこまで考えて一度思考を振り返る。

 俺の使う超能力は元々、前世で「来世では超能力欲しいなぁ~」と考えた結果、空界の持っていた妖精の(元気パワー)が宿っているお守りが俺の願いを叶えてくれた。


 つまりは俺の超能力は元気パワー由来って訳だ。

 なら行けるんじゃないのか。具体的な方法はまだ思い付かないし、エネルギーが同質ってだけで俺の超能力には思っただけで願いを叶えるような力は無いが……同じ元気パワーならば、マホ達にもう一度会えるんじゃないのか!?


 俺はガバッと身体を起こしてガク先輩に電話を掛ける。

 俺1人じゃ方法は思い付かない。だがガク先輩はさっき「理論上は魔法世界に行ける」と言っていた。


 あくまで理論上、身も蓋もない言い方をすれば現実的には無理ではあるが、方法としてあるってだけだ。

 それでも俺の超能力があれば何か役に立てるかもしれない。


「もしもしガク先輩!」


『ふむ。力男くんか、切っても良いかい?』


「なんで!?」


 根に持ってる? ねぇ、俺がよく電話を切ってたの根に持ってる? その件は本当にごめんなさい。

 てか切られると本当に困るから待って。大事な話、今から大事な話があるから。マホ達が今さっき帰ったばかりだけど、頼みたい事があるんだってば。


『冗談さ。それより用件は何かね?』


「魔法世界に行ってマホ達を迎えに行こうぜ!」


『良い耳鼻科を紹介しようか?』


「なんでだよ!?」


 さっき部室でやったやり取り聞いてないと思われてる? ちゃんと聞いてるに決まってんだろ。俺別にラブコメに登場する難聴系主人公とかの部類じゃねぇから!


『大方君自身の超能力に目を付けたのだろうが、それを含めてもまだ課題が残っていてのさ』


「ちょっと待って。なぁガク先輩、もしかしてだけど……俺の超能力が元気パワーと同質の力だって気付いてたのか?」


『勿論だとも。尤も、あの場でそれを話した所で理論上なのは変わらないからね。諦めは私の研究テーマに反するけれど、変に希望を持たせて君達に「あの時もっと喋れば良かった」と後悔させるようなマネはさせたくなかったのさ』


「でもさ、元気パワーは俺、世界と世界を繋ぐのはガク先輩だろ? マホ達に会いたいって願いは兎も角として、他に何が必要なんだよ」


 魔法世界に行く為には、世界と世界を渡る空間。そしてその空間を生成する為の願い。そして元気パワーが必要なのは知っている。


 願いに関しては……俺別に純粋な心とか持ってないから、ひたすらに「マホ達に会いたい」って強く思えるかは少し不安要素だが、一応は必要なモノは整っている筈だ。他に何か条件でもあるのか?


『実はもう一つ、世界を飛び越える為のイメージが必要さ』


「え? でもそれって俺やガク先輩だけで出来るだろ。あ、もしかして人数が足りないのか? それなら勇子達も呼んで」


『ふむ。私の説明が足りなかったね』


 世界を越えるイメージが俺1人じゃ足りないなら、勇子、咲黄、緑を呼べば良い。

 その3人なら魔法世界に行った事があるからイメージを持つには充分だろうし、それでも足りないならガク先輩自身も居る。


 これでも駄目なら別の方法を模索しよう……そう思っていたが、どうやら人数の話ではないようだ。ならなんだ、魔法世界出身者が居ないと不可能なのか?


 でもそうしたら、必要事項が足りてないから理論上は可能とか言わないよなぁ。

 もしかしたら今用意出来ないだけで、未来になったら発明されるモノが必要だったりするのだろうか。例えばそう、タイムマシーンとか! いやまぁ、本当にタイムマシーンが必要とは思ってないけどさ。


『私が必要とするのは、空間を使った移動ではなくマホくんやペンヨウくんのように生身で、またはライヨウ達のように魂だけで移動した際のイメージさ』


「なんでそのイメージが必要なんだ?」


『一度それを知っているのが願いを叶えるのに必要でね。マホくんが魔法少女になれたり、世界を飛び越えられたのは伝承として存在自体は知っていたように、無知の状態では物事は叶えられないのさ』


「えっと……つまりはナポリタンが食べたいって願ったとしても、そのナポリタンが何か知らないと願いは叶えられない。そういう解釈で良いのか?」


『正解さ』


 大体DE〇TH NOTEと一緒か。

 ある事件を起こした犯人をノートに書いて消したい。けどその犯人が誰なのか分からないから、その願いは叶えられないと……うん。なんか変な例えになったな。


 ま、まぁ要は願いが本人の中で知識として存在するモノじゃないと叶えるのは不可能ってことか。

 しかも「世界を越える」じゃなくて「生身(・・)で世界を越える」とか、地味で面倒な条件付きだ。そこの条件本当に必要かよ……あぁでも必要か。下手したら家ごと世界を越えるとか、自分が今住んでる世界丸々、別世界に移動するとか変な願いの叶え方になるかもしれないし。


『私があの時理論上可能と言ったのは、マホくん達のように別世界から此方に来ている存在が居るかもしれない。って希望的観測で言ったものでね……そんな存在が本当に存在するか不明な以上、あくまで理論上の話なのさ』


「…………」


 ガク先輩が今言った「生身、もしくは魂のみで世界を移動した人物」で尚且つ、別世界からの存在に心当たりがある。それは俺自身だ。


 俺は前世の世界から此方の世界に転生してきた。

 身体は前世とは完全に別物ではあるが、自我や記憶はそのまま受け継いでいるので、恐らくだが魂のみで世界を移動って部分の条件はクリアしているだろう。


「でもこれを話すのは」


「ふむ。どうかしたのかね?」


 しかし俺は躊躇する。

 今更転生について話して何になる。そもそも転生なんて有り得ないと一蹴されないだろうか。


 話す相手が「常識(前提)を覆す」なんて研究をしているガク先輩と言えども、そのもし(・・)を考えるだけで身体が震えてしまう。今まで積み上げてきたモノが崩れてしまうのではないかと恐怖してしまう。声が震えてしまう。


「実はな…………ガク先輩。俺は」


 笑われないか。信じてもらえるか。本当に喋って良いのか。もし喋ったら関係が変わってしまうのではないか。自分の問題に周りを巻き込んでしまわないか。様々な思考が入り乱れる。

 空界やマホも、秘密を喋る時はこんな気持ちだったのだろう。その気持ちを心の内に秘めて、覚悟を決めて秘密を喋っていたのだろう。なら俺も……覚悟を決める時だ。


「俺は……転生者だ。前世でその命を終わらせて、世界を越えてこの世界にやってきたんだ」


 この世はまだハッピーエンドを迎えていない。

 完璧なハッピーエンドを迎える条件はただ一つ、魔法世界出身者との再開だ。その為ならば俺はもう一度幕を開ける(物語を再開)するとしよう。

 次回、最終回です。


 ここで小話を一つ。

 力男の力を借りて魔法世界に行くって展開はこの話を書いてる時に思い付きました。要は転生者バレに関しては唐突な後付け展開です。

 元々は「ワニヨウ居なくて寂しいなぁ」って言う前半の話だけで今回の話を終わらす予定だったんですね。なんでここに来て転生者って設定が生きるんだろ。流石に予想外すぎる。

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