ため息の夜明け
宿舎を出るとすぐ、深夜の静寂がガルガルドの峰々をますます強く思い出させた。
おそらく夜明けまでまだ数時間は残されている。その時になれば、僕の初めての本格的な野外試験が正式に始まるのだ。
あの日、初めて彼女の姿を見て以来、ずっとその少女のことを考え続けていたせいで、僕は目を覚ましてしまった。ここ一週間、彼女の夢ばかり見ていた。
(なぜ名前を聞かなかったんだ? ああ、馬鹿だ……本当に馬鹿だ!)
(そもそも、なぜ名前なんて聞く必要がある?)
(自分でも、なぜこんなに彼女のことが頭から離れないのか分からない)
だが実際のところ、目が覚めているのに、すぐ隣では七人の少年たちがいびきをかいているというのは、決して気分の良いものではなかった。だから僕は、少し歩くために外へ出た。
時間はゆっくりと流れ、絶え間なく続く僕の思考だけが時を刻んでいた。
ヴィラは本当に素晴らしかった。まさに師匠だった。 彼女の授業はゾルタンの授業とはまったく次元が違うという、あのおじいさんの言葉は正しかった。今まで誰からも、本からでさえも、これほど多くのことを学んだことはなかった。
僕は半ば無意識のうちに、右目に手を当てた。
この七日間は本当に過酷だった。おそらく、ガルガルドの峰でこっそり特訓していた頃を含めても、これまでで最も過酷な日々だった。
僕の記憶はまだ断片的にしか残っていないが、ヴィラ、テオ、ソランから何があったのか詳細を聞いた後、僕はあの武器庫での初日に何が起きたのかを慎重に再構築しようと努めた。
ヴィラによれば、僕は戦場において並外れた指揮能力を持っているらしい。だが同時に、自分の精神面を大きく鍛え直す必要があるとも言われた。
僕の体は、グループの他のメンバーとは異なるため、ヴィラの言う「僕の潜在能力」を引き出すための特別な指導を受けることになった。
その授業の中で、僕はついに、本で学んだ最初の技術を模倣しようとするたびに感じていたあの奇妙な感覚の正体を理解した。
結局のところ、その正体が闘気であることを明かしてくれたのはヴィラだった。だが、それは通常の形ではなかった。
それは、僕の体がまだ完全には制御できない、もっと微弱な「派生した闘気」だった。その事実を知った時、僕は自分が持っている闘気の量が少なすぎるのではないかと考え始めていた。
しかし彼女によれば、問題は僕が持つ闘気の量ではなかった。単純に、僕の体はそれを通常の方法で外部に顕現させることができないのだという。その理由については、彼女でさえ説明がつかなかった。
ヴィラは言った。もし僕がいつかこの場所を離れる日が来たら、白竜山脈の向こう側にある彼女の故郷、レヒムの荒野へ向かうべきだと。そこに行けば、必ず僕を助けてくれる誰かが見つかると。
彼女の説明によれば、現在知られている闘気のあらゆる派生技術を生み出したのはデンリ族であり、だからこそあそこには、僕の体に何が起きているのかを解明するために必要な知識を持つ者がいるはずだという。
しかし今のところ、彼女にできるのは、僕が今の状態でできることを最大限に活用する方法を教えることだけだった。
この数日間、彼女のおかげで、僕はまだ完全には制御できないまでも、その「派生した闘気」を活用することができるようになった。
ほんの一瞬だけなら、脚の筋肉、特にふくらはぎの筋肉を強化することができる。そしてこの力は、グループ内でハンドクロスボウを使う僕の役割を最大限に生かすために、非常に有用だった。
それが、今の僕にできる限界だった。
それでも、少しはその力を使えると分かっただけで、僕は嬉しかった。
僕はため息をついた。
結局のところ、雷神流の剣術は諦めろと僕に言ったのは、他でもないヴィラだった。
少なくとも、今は。
歩いているうちに、厩舎の近くを通りかかった。遠くの方で、建物の中から微かな光が漏れているのが見えた。
(おかしいな。おじいさんはまだ起きているのか? あんな遅くまで仕事をしているのを見たことがない)
僕は近づいてみることにした。
この数日、彼に会いに行こうとは思っていたのだが、ヴィラの訓練がいつも遅くに終わるため、その時間が全く取れなかったのだ。
これだけ時間がかかってしまったけれど、ついに僕も闘気の一種を発現させることができたと、彼に伝えたかった。
彼がいなければ、そして彼がこれまでに教えてくれたことがなければ、おそらく僕は一生この力にたどり着くことはできなかっただろう。
扉の前に着いたが、扉は閉まっていた。建物の裏側から微かな光が漏れ、中からいくつかの物音が聞こえてくる。
「おじいさん、いるの?」
永遠にも感じられるほどの時間が経って、ようやく足音が近づいてくるのが聞こえた。扉が開き、入り口にカエルが姿を現すと、面白そうな視線を僕に向けた。
「誰かと思えば。てっきり俺のことなんて忘れちまったのかと思ってたぜ」
「この数日、本当に一息つく暇もなかったんだ」
「ああ、だろうな」
彼は横に退き、僕を中へ入れてくれた。
「どうしてまだ起きているの? 珍しいね」
僕は少しの間、彼を見た。彼の眼差しにはどこか奇妙なところがあったが、彼は僕の質問には答えなかった。
「ほら、入れ。せっかくここまで来たんだ、何の用で来たのか話してみろ」
僕は中に入り、背後の扉を閉めた。
カエルはすでに作業に戻っていた。少し奥では、二頭の馬にすでに馬具が付けられており、荷馬車もほぼ準備を終えていた。
「馬の準備をしてるの?」
「見りゃ分かるだろ? あと数時間もすれば、お前らはグラムラーの森へ出発するんだ。ギリギリになって焦るよりはマシだからな」
僕は頷き、しばらくの間沈黙した。
「実は、おじいさんに伝えておきたいことがあって来たんだ」
カエルは何も答えず、革紐の調整を続けた。
「一週間前、おじいさんが僕にあの本をくれた時……僕に奇妙なことが起きたんだ」
彼の手が止まった。
「俺の厩舎をめちゃくちゃにしたこと以外に、どんな奇妙なことが起きたって言うんだ?」
「もう……まだそのこと怒ってるの? とにかく、僕にも何が起きたのか分からなかったんだ。雷神流の技術を真似しようとするたびに、いつもとは違う何かを感じていた」
カエルは再び革紐の調整に戻った。
「ヴィラの訓練を受けて、それが何なのかようやく分かったんだ」
僕は少し間を置き、微笑んだ。
「闘気だったんだ」
数秒間、カエルは微動だにしなかった。それから、彼は大声で笑い出した。
「お前が? 闘気を?」
「本当だってば!」
彼は僕を見ようともせず、笑い続けた。
「やっぱり来るんじゃなかった」
カエルは笑うのをやめ、もう一瞬僕を見つめてから、短く鼻を鳴らした。
「分かった、分かった。つまり結局のところ、あの本がお前に何らかのひらめきを与えたってことだな。まあ、あんなところに置いといても埃をかぶるだけだが」
「ただのひらめきじゃないよ」
僕はうつむいた。
「でも残念ながら、ヴィラにはその技術が自然に身についたものじゃないって見抜かれちゃったけど」
カエルは勢いよく振り返った。
「あの女に何を言った?」
「ほ、本で読んだって言ったんだ」
「ああ、それなら大丈夫だ。お前が俺に渡したなんて、あの女は知らねぇ。それがお前から渡ったものだってことも知らねぇんだから――」
「チッ」
不意に彼の手が動き、僕の頭に向かって飛んできた。
「痛っ!」
その一撃で、僕は半歩後ろにのけぞった。
「お前がすべきだったのは、黙っていることだ!」
「叩く必要はないだろ」
「だったら次は、そういうことをペラペラ喋る前に頭を使え」
僕はまだ苛立ちながら、自分の頭をさすった。
それからカエルは再び僕を見た。一瞬、彼が何かを言いかけたように見えたが、彼はそのまま立ち上がった。
その時、僕はそれを感じ取った。
それは、訓練中にミラやヴィラを観察している時に何度も経験したのと同じ感覚だった。彼女たちが動く直前に感じ取る、あの奇妙な気配。
この数日で、僕はようやくそれを認識し始めたばかりで、それが実際に何なのかはまだ理解していなかった。
僕の体は、頭で考えるよりも先に反応し、本能的に後ろへ跳び退いていた。
(何だ!? この感覚……おじいさんから? そんな馬鹿な!)
僕の右脚……一瞬、何かがそこを通り抜けたのを感じた。まるで鋭利な刃物で真っ二つに切断されたかのように。
僕は目を見開き、瞬時に視線を下に向けた。
僕の脚はまだそこにあった。傷口もなければ、血も流れていない。
しかし、その感覚はあまりにも現実的で、一瞬呼吸すらできなくなった。
(なんだ……?)
理解できなかった。
(僕は本当に攻撃を感知したのか?)
いや、あり得ない。カエルはまだ僕の目の前に立っている。
僕はゆっくりと視線を上げ、彼を見た。
老人はもう笑っていなかった。彼は真剣な表情で僕をじっと見つめ、それから顎に手を当てた。
「本当にやり遂げたようだな」
「え?」
僕は再び自分の脚を見た。
「分からないよ……」
カエルはすぐには答えなかった。数秒間、彼は僕をじっと見つめ続けた。まるで僕の中に何かを探しているかのようだった。
やがて、彼はただ首を振ると、僕に向かって手を伸ばした。
「そのうち分かるようになるさ」
本能的に目を閉じたが、ゆっくりと目を開けると、僕の頭の上に彼の手が浮かんでいるのが見えた。
一瞬、彼の手は静止した。まるで僕の頭を撫でようとしているかのようだった。
奇妙に感じた。カエルらしくない振る舞いだ。
彼の手は一瞬ためらった後、軌道を変え、僕の頭を軽くポンと叩いた。
「調子に乗るなよ。お前にはまだ、進むべき道が山ほど残されてるんだからな」
(今のは一体何だったんだ? 何かの技術か? おじいさん……)
カエルはテーブルの方へ振り返り、上に置かれた物の中から何かを探し始めた。
「ともかく、お前に渡すものがある」
「僕に?」
「ああ」
彼は身をかがめ、山積みのガラクタの中から何かを取り出した。
「出発する前に、これを持っていけ」
彼は古いボロボロの布に包まれた束を、乱暴に僕の方へ投げた。
「受け取れ。指を切り落とさずにこいつを使えるなら、厄介な獣どもの腹をかっさばくのに役立つはずだ」
僕は警戒しながらそれを受け取り、布を広げた。
驚きで目を見開いた。
ランタンの薄暗い光の下で、鋭く研ぎ澄まされた、しなやかな曲線を描く短い刃が闇の中から姿を現した。光を反射するのではなく、むしろ光を吸収しているかのように見えた。
「これは……おじいさん、これは暗殺者の短剣だよ」僕は呟いた。
「馬鹿言え! ただの昔の仕事道具だ!」
「言った……? む、昔の……仕事、だよね?」
僕は短剣を注意深く観察した。
「これはただの錬鉄じゃない。この合金は……ミスリルだ」
「そんな金属まで知ってやがるのか? だったら、俺のベッドに転がってあの本を読んでたのも、ただのフリじゃなかったってことだな」彼は笑った。
「知ってる……? 冗談でしょ?」
(ただの金属のように言っている。どうしてこれほど貴重なものを、こんなに自然に話せるんだ?)
「ドワーフの伝説の合金……」
僕は勢いよく頭を上げ、彼の目を真っ直ぐに見た。
(カエル……)
軍の訓練キャンプにいる単なる厩務員が、こんな武器を所有しているはずがない。ミスリルは極めて希少な金属であり、領主の特別な許可がなければ、平民がそれを所持することすら禁じられているのだ。
「カエル、あなたは誰なの? 本当は……どんな過去があるの?」驚きのあまり、声がわずかに震えていた。
老人は、裏手で馬が驚いて跳ねるほどの下品で野太い声で笑い出した。
「俺の過去だと? 俺はすべてを失い、今はただ毎日馬糞の掃除をして過ごしてるだけのジジイだ、坊主!」彼は叫んだ。
それから、彼の眼差しが突如として真剣なものになった。僕が握りしめている刃のように、鋭く突き刺さる目だった。
「その鉄がどこから来たかとか、俺が昔何の仕事をしていたかなんてのはどうでもいいことだ、ルティアン。重要なのは、お前がこれからどうするかだ。その短剣をベルトに差して、さっさと行け」
僕は黙って彼を見つめた。
そして、柄を強く握りしめ、力強く頷いた。
「ありがとう、カエル」
「さっさと俺の視界から消えろ。気が変わってそれを取り上げたくなる前にな」彼は背を向けながら唸るように言った。
厩舎を出ると、夜の凍てつく寒さに包み込まれた。地平線の向こう側から、淡い灰色の光 が少しずつ夜の闇を押し除け始めていた。
足は自然と、キャンプの中央広場へと向かっていた。
誰もいない石畳の道を歩きながら、なぜか、これまでの記憶が次々とよみがえってきた。
魔力試験、父上、何年にもわたる屈辱、分家からの嘲笑、厩舎での過酷な労働、そして最後に、あの凶暴なラプランを前にして感じた骨の髄まで凍るような恐怖。
(それでも、僕はここまで来た)
チュニックの下に隠した短剣の包みを強く握りしめ、僕は歩き続けた。
最後に、兄弟たちのことも考えた。
奇妙なことだった。この何年間、彼らのことを本当に考えたことが何度あっただろうか?
もしかしたら、もっと彼らのことを想うべきだったのかもしれない。けれど、彼らのことを思い出すたびに、僕はいつも同じ結論に行き着いていた。彼らは上手くやっている。彼らには家族があり、自分の居場所があり、僕が失ったものすべてを持っている。彼らの心配をする理由など、僕には一度もなかった。
だからこそ、僕はあれほど簡単に彼らを思考から締め出せたのかもしれない。
(……ごめん――)
「ハッ!」
僕は驚いて立ち止まった。
低く力強い声が、この夜の静寂を切り裂いたのだ。数秒後、再び同じ声が響き、空気を切り裂く鋭い風切り音がそれに続いた。
「ハァッ!」
そしてまた。
一撃。重い呼吸。そしてまた一撃。
その音は、二十メートルほど先から聞こえてきた。絶え間なく続くそのリズムに従ってゆっくりと近づいていくと、広大な中央広場の真ん中で、ポールに吊るされたランタンの揺らめく光に照らされた人影を一つ、ようやく見分けることができた。
ゾルタン。
隊長は、おそらく日課の夜間訓練をしているのだろう。
彼が剣を振るうたびに衝撃波が生まれ、周囲の地面を振動させていた。
僕は唾を飲み込んだ。
(たった一振りで、どれほどの威力があるんだ? もし彼が本気を出したら?)
ヴィラの訓練を受けた後、僕は少なくとも、人と人との強さの違いをある程度は理解できるようになっていた。正確に評価できるほどではないが、おじいさんは、ヴィラが隊長と同じくらい強いと言っていた。だが今は、その言葉さえ信じられなくなっていた。
(ヴィラは本当に、あの人と同じレベルなのか?)
また一つ、斬撃が空気を切り裂いた。だが今度は、何かが僕の全身を真っ向から打ち据えた。
空気が闘気で飽和している。目に見えない圧力が僕の上にのしかかってきたかのように、はっきりとそれを感じることができた。その近くでは、普通に呼吸をすることすら困難だった。
(いや……おそらく、彼の方がもっと強い)
確かなことは言えない。それでも、ゾルタンを観察すればするほど、その可能性が馬鹿げたことだとは思えなくなってきた。
僕は深く息を吸い込もうとした。
(なぜ強くなりたい?)
その言葉が、突然頭の中に浮かび上がった。
僕の体は勝手に動いていた。
柱の影から一歩力強く踏み出し、前へ出た。それまで空の空間に向かって斬撃を放ち続けていたゾルタンが、ピタリと動きを止めた。
彼は数秒間静止してから、僕に視線を向けた。
ゾルタンは手首を素早く返し、斬撃を放った。
「――ッ!」
僕は本能的に両手を顔の前にかざし、僕が引き出せるわずかな「派生した闘気」を脚に集中させようとした。
衝撃波が僕の胸を直撃した。
呼吸が途切れ、周囲に土埃の雲が舞い上がる中、僕の体は数メートル後ろへと吹き飛ばされた。だが、なんとか持ちこたえ、倒れずに立ち続けた。
息を整えようと咳き込みながら、顔を上げた。
僕の目の前の地面には、巨大な刃で大地を切り裂いたかのような、長い横一文字の亀裂が走っていた。
脚はまだ震えていたが、少なくとも反応することはできた。あの一撃の前に、完全に無力なままではなかったのだ。
ゾルタンは笑みを浮かべ、大剣を肩に担いだ。
「やっぱり何か持っていたようだな ……だが、てめぇが今出した程度の力じゃ、外の世界では通用しねぇぞ」
「な……なんという威力だ……」僕は息を切らしながら囁いた。
「正式な出発は夜明けと同時に行われる、クソガキ。こんな時間にここで何をしてやがる?」
ふらつきながらも拳を握りしめ、僕は再びゾルタンに近づいた。
(今なら、何をすべきか分かる。この一ヶ月、無駄な時間を過ごしてきたわけじゃない。僕はもっと強くなる……自分の人生を、自分自身で決めるために!)
僕はさらに数歩前に出た。
「僕は……」
ゾルタンは開いた片手を上げ、僕の言葉を即座に遮った。
「言わなくていい。てめぇがどんな理想を抱いているかなんて、聞く気はねぇ」隊長は言葉を遮った。
「だが、それで十分だ」彼は僕を指差した。
「あんな目をする奴を見るのは久しぶりだ。その眼差し……前に会った時、俺がてめぇに見せてほしかったのは、まさにそれだ」
僕は目を見開き、その言葉に驚いた。
(僕の眼差し?)
彼は一歩僕に近づき、大剣を地面に突き立てると、太い腕を胸の前で組んで僕を見据えた。
僕は沈黙した。
「本当に強くなりたいのなら、あそこから生きて帰ってこられることを証明してみせろ」
突然、熱が頭の先からつま先まで駆け抜けた。
この一ヶ月間僕を蝕んでいた恐怖、疑念、そして不安は、彼のその言葉によって完全に吹き飛ばされ、跡形もなく消え去った。
「こ、光栄です!」 心臓を狂ったように高鳴らせながら、僕は少しお辞儀をし、決意に満ちた声で答えた。
「ああ、分かったらさっさと失せろ。あのジジイにはもう十分振り回されてるんでな」
それ以上何も付け加えずに彼は頷いた。僕は勢いよく振り返り、宿舎へ向かってキャンプの砂利道を走り出した。
(あのジジイにはもう十分振り回されてるって、どういう意味だ?)
僕は肩をすくめた。それがどういう意味であれ、出発はもう目前に迫っている。
夜明けが近づいていた。そして僕は初めて、この場所を去る本当の覚悟ができたと感じていた。




