選ばれし集団
どんなに努力しようと、カエルの厩舎で人知れず汗と血を流そうと、他人の目に映る僕は、いつも落ちこぼれだった。落伍者。それが、周囲から見た僕だった。 ではなぜ、ゾルタンは特別な演習に僕を選んだのか? 隊長は歪んだ笑みを浮かべ、僕を見下ろしていた。
その目にはただ一つのメッセージが込められているようだった。
『お前が俺の獲物だ』
僕の体が悲鳴を上げるまで、どこまで耐えられるか試すつもりなのか? それとも、僕がまだ出していないあの答えと関係があるのか?
突如として湧き上がったざわめきが、僕の思考を遮った。
広場の東側から、ヴィラが一団の訓練生を引き連れて広場に入ってきた。そのすぐ後ろから、ガレクがさらに二十人ほどの少年たちを引き連れて入ってきた。 少しして、正門からも正規訓練生たちがカシアン教官に引率されて入ってきた。 瞬く間に、広場は人で埋め尽くされた。キャンプにいるほぼすべての訓練生が、同じ場所に集められたのだ。
こんなことは今まで一度もなかった。
最前列の集団の中に、テオの金髪をすぐに見つけた。そしてその一歩後ろにソランがいる。 それから、今まで見たことのない二つの顔が目に留まった。 周囲の他の訓練生たちがひそひそと囁き始めた。
「あれがギルドとミラか?」
「本当にシルブ家の人間なのか?」
「あいつらがいるなら、話が全く変わってくるぞ……」
(シルブ? あいつらもここにいるのか?)
僕は目を見開いた。
アイゼンハルト家の人間が他にもいたなんて
「どうしてあいつが選ばれたんだ?」
「誰のことだ?」
「あの少年だよ」
「さあな。お前、あいつを見たことあるか?」
「いや。お前は?」
「一度もない」
周囲で声が重なり続ける。
(なぜ僕が選ばれたんだ?)
一瞬、背筋に悪寒が走った。
(この数年間、屋敷から僕のことが外に漏れていなくて良かった)
追放されて以来、僕の状況を外部に知らせる者は誰もいなかった。街にも、他の家門にも。僕の存在は屋敷の扉の奥に葬り去られていたのだ。 だが今、久しぶりに何十人もの人間が僕を見ている。そして僕は、ゾルタンの不可解な計画に巻き込まれ、ここに留まることを強いられている。
彼は僕たちのすぐ目の前に立ち、筋骨隆々の胸の前で腕を組んでいた。
「よく聞け!」ゾルタンが怒鳴った。
もはや誰一人、息をすることすらためらった。
「今日からルールが変わる」
ゾルタンは僕たちを値踏みするように見渡した。
「昨日まで、貴様らはグループや年齢ごとに分かれて訓練してきた。だが、今日からは違う。ここへ来たばかりのヒヨッコだろうが、何年も訓練を積んできた古株だろうが、第一グループと第二グループに属していないゴミ共は全員、同じ訓練に参加することになる」
ざわめきが大きくなった。
「第一グループは引き続き金靴野郎のカシアンと訓練を続ける。第二グループはヴィラとだ。奴らのプログラムに変更はない」
彼は少し間を置き、顎でガレクをしゃくった。
「だが、残りの貴様らは今日から合同で訓練を行う。俺とガレクが貴様らの面倒を見てやる」
ガレクは顔を片手で覆い、首を振った。
「なんて熱意だ……まったく」
ゾルタンは彼に獰猛な笑みを向けた。
「文句を言うな。こいつらは全員お前のものだぞ」
(何が起きているんだ?)
ゾルタンが僕たちの訓練を急いで進めているように見えたのは、これが初めてではない。 最近、彼は何度もプログラムを変更し、以前はやらなかった演習を組み込んだり、もっと熟練した訓練生向けだと思われる技術に取り組ませたりしていた。 そして今度は、僕たち全員を一つの訓練にまとめようとしている。
なぜだ? 理由が何であれ、ゾルタンが思いつきで動いているわけではないのは明らかだった。考えれば考えるほど、彼が迫り来る『何か』に備えて、僕たちを鍛えているという感覚が強まった。
彼に聞いてみたかった。
(どうして誰も、この疑問を抱かないんだ?)
僕は辺りを見回し、隣にいる少年たちの顔を観察した。
(本当に何が起きているのか、誰も疑問に思わないのか?)
それでも、僕は何よりも、なぜ僕自身が呼び出されたのかを知りたかった。 生存本能は、黙って目立たないようにしろと叫んでいた。 だが、ゾルタンのあの歪んだ笑みと、カエルの言葉が頭から離れなかった。 何が起きているにせよ、今はもう引き下がるわけにはいかなかった。 僕は歯を食いしばった。
(答えが欲しい)
自分で気づくよりも先に、僕は手を挙げていた。
「ゾルタン隊長」
訓練生たちの間にざわめきが走った。何人かがすぐに僕の方を振り向く。 ゾルタンはピタリと笑うのをやめ、僕を睨みつけた。
「言ってみろ」
「なぜですか?」
僕は拳を握りしめ、彼の目を真っ直ぐに見据えた。
「なぜ僕がこのグループに入れられたんですか? 僕はすべてにおいて最下位です。才能もないと、あなたが言ったのに……僕に何ができるって――」
ゾルタンは再び大爆笑した。ガレクの背中を激しく叩きながら、轟くような笑い声を上げる。
「アハハッ! 見ろよこいつを! 理由を聞いてきやがったぞ!」隊長は目尻の涙を拭いながら叫んだ。
「あ、あいつの言う通りだ。完全に足手まといだろ……」
「どうしてあいつが選ばれたんだ?」
「ああ、意味が分からない……」
「何の意味があるんだ?」
ほんの数秒のうちに、訓練生たちの間で声が広がった。 そして、ゾルタンは笑うのをやめた。 ざわめきはほぼ瞬時に消え去った。もはや誰も一言も発しない。
僕は彼を見つめ続けた。
彼の笑顔は消え、彼が何もしていないにもかかわらず、周囲の空気が突然重くなるのを感じた。 背筋に悪寒が走った。
「どうした、クソガキ? せっかくの覚悟をもう捨てちまったのか? 最近はもっと肝が据わってきたと思っていたがな。さあ、奴らのところへ行け」
彼は少し先で集まり始めているグループを指差した。
僕は目を伏せ、悔しさを噛み殺して(くやしさをかみころして)他の連中と合流した。その間、ガレクは二つのグループに属さないすべての訓練生を呼び集め、広場の出口の方へと誘導し始めていた。 カシアンは自分のグループに残り、ヴィラは彼女のグループを広場の反対側へと連れて行った。
僕たちが全員集まった時、数秒間誰も口を開かなかった。ただ互いを見つめ合うだけだった。 その中には、ここ数日、皆が噂していた少女もいた。
僕のグループに配属されたのだ。彼女は腕を組み、じっとしていられないようだった。絶えず鼻を鳴らし、他の訓練生たちを苛立たしげに睨みつけている。まるで喧嘩を売る理由を探しているかのようだった。 隣にいる少年が彼女をなだめようと無駄な努力をしていたが、彼女は何かを低い声で呟き続け、見下すような態度で他の訓練生たちを睨みつけるのをやめなかった。 ゾルタンが一歩前に出た。
「自己紹介から始めるぞ」
自己紹介はカシアンの指導の下、向こうのグループから始まった。 五人の貴族たちが次々と、自分の名前、出身の家門や地域、年齢、そして得意とする分野を名乗っていった。彼らは全員僕より年上で、三歳から五歳の差があった。
僕は黙って聞きながら、彼らの顔と特技を覚えようとした。三人が闘気を、一人が魔纏を使い、最後の一人は魔術師だった。 僕たちのグループの番が来た時、胃の中に緊張が膨れ上がるのを感じた。
(僕は何を言えばいい?)
あの短気な少女が一歩前に出た。僕を肘で突き飛ばして場所を確保すると、誇らしげに顎を上げた。
「わたくしは、ミラ・シルブ・アイゼンハルトよ」
彼女は微塵の躊躇もなく言い放った。
「ヴァルテラ地方の出身ですわ。こちらは双子の兄のギルド。二人とも十歳で、勝つのはわたくしたちですわ!」
隣にいるギルドは、ずっと穏やかな笑みを浮かべた。
「妹のことは許してくれ。いつもこんな調子なんだ。俺たちは二人とも闘気の使い手だ。こいつは少々、競争心が強すぎるきらいがあるがな」
次にソランが前に出た。
「俺はウグラのソランだ! 大陸南部のパハナ王国の出身だぜ。俺も闘気の使い手だぞ!」
ソラン……あんな奴だったか? 数年前は全く違っていたはずだ。
そして、テオの番が来た。
彼がどの地域から来たのか、僕は知らなかった。彼の家族や過去について質問したことは一度もなかった。実のところ、彼も僕に個人的な質問をしたことはなかった。今思えば、少し奇妙なことだ。 気まずい沈黙が流れた後、ソランが彼の脇腹を小突いた。
「おい、てめぇの番だぞ!」
「あ、僕の番? えっ……と、ごめんなさい! こんにちは!」
テオは半分お辞儀をし、目に見えてぎこちない態度をとった。
「ぼ、僕の名前は、テオ・ア……アエルガルド・アゼ……じゃなくて、エーテルガルドです! でも、みんなはただテオって呼んでね。僕はたぶん……ええと……」
訓練生たちの間からいくつか囁き声が上がった。 僕は少し身を乗り出して彼をよく観察し、すぐにその振る舞いの正体に気づいた。何かを隠している。彼をよく知る僕には、ほぼ確信できた。 そして、僕の視線はゾルタンへと移った。隊長は不満げな表情で彼を睨みつけ、続けるように顎で促した。
「つまり……ぼ、僕は火属性の二級魔術師です!」
向こうのグループから、純粋な驚きのどよめきが上がった。
(魔術師になったのか?)
ずっと前、彼から魔術師になりたいとは聞いていた……だが、何かが腑に落ちない。 向こうのグループの少年の一人が前に出て、明らかに感心した様子で拍手をし始めた。
その時、僕は奇妙なことに気がついた。
彼の視線はテオには向けられていなかった。意味ありげな笑みを浮かべながら、彼は僕の隣にいる少女を見ていた。僕はそれ以上深く考えなかった。
「君たちに負けないように、僕たちも精一杯頑張るよ! 今年は隊長が素晴らしいサプライズを用意してくれたみたいだしね」
彼は教官たちに向かって恭しくお辞儀をして、言葉を締めくくった。 テオは長く安堵のため息をつき、その少年に微笑みを返した。
「学ぶのが待ちきれないよ!」
何かが根本的に違っていた。 今まで見たことのない何か。 それは自信だろうか? いや…… 僕がまだ考えに没頭していると、背中を軽く押された。
「てめぇが残ってんぞ!」
ソランの声が僕を現実に引き戻した。 一瞬、僕は身動きが取れなかった。
そして、それが起きた。
あの忌まわしい広間で感じたのと同じ感覚が、突如として蘇ってきたのだ。あんな感覚を味わってからあまりにも長い時間が経っていたため、ほとんど思い出せないほどだった。
僕は目を見開いた。
カエルの言葉が頭をよぎり、僕を落ち着かせてくれた。 僕は背筋を伸ばし、溜め込んでいた息をゆっくりと吐き出した。 僕はもうシュタール家の人間ではない。
これ以上、奴らに奪われるものは何もない。だが、僕は依然としてアイゼンハルトだ。
僕はゾルタンの目を真っ直ぐに見据えた。 その瞬間、頭の中から他のすべてが消え去った。
「僕はウィストリアの……ルティアン・アイゼンハルト。特別な技能や才能は何もありません」
僕は体の前で拳を握りしめた。
「魔纏も闘気も、使えません」
数秒間、誰も一言も発しなかった。
(少し率直すぎたか?)
向こうのグループの少年たちは、それぞれ異なる表情で僕を見つめていた。驚いている者もいれば、見下すように見ている者もいる。 僕は少しだけ視線を下げ、一歩後ろへ下がった。
「チッ! 冗談でしょう? わたくしはこんな無駄な時間のために今まで待っていたというの!? 落ちこぼれのくせに……!」
僕の右側から、ミラの声が飛んできた。彼女が侮辱を言い終える前に、ギルドが彼女の腕をしっかりと掴んだ。
「妹よ、慎め! 俺たちは身内で争うためにここにいるんじゃないぞ!」
「でも、こいつは魔力なしですわ!」
「でもじゃない。なぜ俺たちがここにいるのか忘れたのか? やめろ! こいつは俺たちの可愛い従弟じゃないか!」
そう言って、彼は少し気恥ずかしそうな笑顔を僕に向けた。 その言葉と、彼が妹を制止したやり方に、僕は疑念を抱いた。
「気にするな。見ての通り、俺たちは双子だが性格は正反対なんだ。こいつはただ……お前に会うのが待ちきれなかっただけさ」
ミラは鼻を鳴らしてそっぽを向き、再び腕を組んだ。 控えめに言っても、かなり扱いにくい性格のようだ。
「いや、大丈夫だ。結局のところ、それは事実だからな……でも、ありがとう」
僕は首を振り、微かに微笑んだ。 ヴィラが一歩前に出て、グループの主導権を握った。
「これからは、私があなたたちの面倒を見るわ」
ゾルタンは歪んだ笑みを浮かべて一歩下がった。
「好きにしろ。俺は金靴野郎と、新しい配置について二人きりで話があるんでな」
それ以上何も付け加えることなく、ヴィラは僕たちに背を向け、ついて来るように合図をした。 僕たちは砂利道を歩き始めた。数分後、その場所がどこかすぐに分かった。
旧宿舎だ。
もはや疑いの余地はなかった。テオたちがここ数日訓練していたのは、この場所だったのだ。
まずダミー人形が目に留まった。記憶にあるよりもさらに摩耗しており、新しい打撃痕や深い切り傷で覆われていた。石畳の広場にも、前回はなかった無数の溝が刻まれていた。
それからヴィラが大きな扉を開け、僕たちを中へ入れた。内部は、以前よりもさらに整然と片付けられていた。
「身につけるのは革の胸当てだけよ」ヴィラは右側の壁にある棚を指差して命じた。
「余計な重量は森で動きを鈍らせるわ。武器は一人一つずつ選びなさい」
武器庫は平行な二つの通路に分かれていたため、僕は他の連中を先に行かせた。自分の選択について、もっとよく考えたかったのだ。 ミラは最後に僕の横を通り過ぎた。彼女は僕を睨みつけると、無言のまま、わざと肩をぶつけて僕を木製の武器ラックに押し付けようとした。 本当に耐え難い女だ。
(あれで令嬢だと……?)
彼女のその優越感に満ちた態度に、腹の底から苛立ちが込み上げたが、反応するのは避けた。
僕はただ隅に移動し、胸当てを身につけて革紐を締めた。 少し体を動かしてみると、紐を限界まで締めているにもかかわらず、腰のあたりが少し緩いことに気づいた。 革の表面を撫で、そのざらついた感触を確かめる。
ラプランのことを思い出すと、これで別の魔物の牙から身を守れるとは到底思えなかったが、それでも何もないよりはマシだ。
他の連中が興奮した様子で笑い合い、金属製の鏡の前で剣や槍を試している間、僕は人目の少ない暗い隅へと離れた。彼らはすでに、演習での戦略や陣形について熱心に議論を始めている。
僕はため息をついた。
それが安堵によるものか、純粋な精神的疲労によるものかは分からなかった。 壁際の空いた場所を見つけ、そこに背中を預けた。ただ少しの間だけ、平和な時間が欲しかったのだ。
(外の世界で、僕に何ができる?)
(これが、僕が長い間待ち望んでいたチャンスになり得るのか?)
他の連中を見た。 テオは常に天才だったが、今はさらに強くなっているように見えた。二人のシルブは、幼い頃から魔力の使い方を叩き込まれて育った貴族だ。そしてソランは…… 彼が以前から強かったとすれば、今はどれほど化け物じみていることか。 僕は歯を食いしばった。
(じゃあ、僕には何が提供できる?)
自分の自己紹介を思い返した。他の連中と比べれば、惨めなものだった。 僕はゆっくりと石壁を滑り落ち、地面に座り込んだ。 腕輪を強く握りしめる。
(ヒルダ……会いたいよ)
「暗闇に隠れているつもり?」
ビクッと肩が跳ねた。 ヴィラがそこにいた。僕からわずか半メートルの距離に。彼女の足音など微塵も聞こえなかった。
「し、師範、僕はただ……」
僕は慌てて立ち上がった。 初めて彼女の目を見ることができた。それまでは巨大なフードの影に隠されていたのだ。隣にあるランタンの光が、その瞳を微かに輝かせていた。
「彼らと馴染めていないわね。自分は力不足だと感じているんでしょう?」
僕は混乱していた。
「どうして僕がここに配置されたのかすら、分かりません」僕は正直に答えた。
「自分の価値を証明したいとは思っていますが、でも……」
ヴィラは深くため息をつき、僕に向かって手を伸ばした。 僕は体を強張らせ、目を閉じた。しかし、肩を軽く叩かれただけだと気づき、緊張を解いた。 驚いて片目を開ける。
「ゾルタンは、他の誰にも知られていない計画に従って動いているわ。私でさえ、彼の真の目的を知らないし、なぜ彼があなたを選んだのか正確には分からない……」
彼女は僕の方へ身をかがめ、かすれた囁き声になるまで声を潜めた。
「けれど、この一週間は私があなたを直接鍛えるわ」
「だから、まだ理解できないことで自分を責めるのはやめなさい」彼女は背筋を伸ばしながら言い放った。
筋肉に蓄積していた緊張が一気に解けた。ヴィラについてのカエルの言葉を思い出した。
(ようやく、何かを手に入れたぞ)
彼女の指導だ。 たとえ一週間だけであっても、それを最大限に活かしてみせる。 僕は深く息を吸い込み、肺を満たした。 武器庫の空気が、もはやそれほど重くは感じられなくなった。
「さあ、選びなさい」
ヴィラは武器ラックを指差した。 僕は頷き、武器が詰め込まれている奥の壁へと向かった。 僕の前にはギルド、テオ、ソランがいた。ギルドは二人の肩に腕を回し、一緒に笑っていた。彼がこちらを振り向いた時、僕に向かって自然な笑顔を向けてくれた。 その光景は、僕に奇妙な感覚をもたらした。 彼らは本当に楽しんでいる。
(おそらく、僕はもう少し肩の力を抜けばいいんだ)
再び視線が交差した時、彼の青い瞳には偏見の欠片も見当たらなかった。
(もしかすると、この状況にどう向き合うべきか分かっていなかったのは僕の方だったのかもしれない)彼らはここに一ヶ月近くいる。僕は来たばかりだ。
(結局のところ、僕は完全に一人ぼっちというわけではないのかもしれない)
そして、この狂気の中にあって、それも悪くないと思えた。 僕は武器ラックに近づき、頑丈な木製のテーブルに両手をついて、そこにある刃を吟味した。
(さて……すぐに死なないためには、何を選べばいい?)
ロングソードかショートソードか?
(無駄だ。僕はまだどんな剣術も使えない。それに、ソランがすでにロングソードを選んでいる)
短剣かダガーか? (うーん、いや)
そして、それを見つけた。
テーブルの奥の隅、使い古された古い木箱の中に、他の小型武器や錆びた短剣と一緒に無造作に放置されていた。 完全に埃の層に覆われている。しかしそれは、一目見た瞬間、まるで僕を呼んでいるかのように感じた。手を伸ばし、埃を払い落とし、冷たいグリップを握って木箱からそれを引き出した。
ハンドクロスボウだった。
片手で扱える、小型で極めてコンパクトな弩だ。長く使われていなかったせいか、発射機構は少し錆びついているかもしれないが、全体としては完全に無傷のようだった。
これなら、遠距離から攻撃し、地形を利用し、致命的な近接戦闘に巻き込まれる心配をせずに撤退することができる。 僕は、短くて重い鉄の矢が詰まった分厚い革の矢筒を取り、腰の後ろにしっかりと固定した。
(これなら、たぶん僕はもっと役に立てるし、安全だ)
ヴィラの方を振り返った。 彼女はゆっくりと、ほとんど気づかないほどの動きで、承認の頷きを返した。そして、革で包まれた両手を打ち鳴らし、再び全員の注意を引いた。
「さて、皆殺されるのにちょうどいいものを選んだようね」彼女は声を張った。
「外の森であなたたちがどんな役割を担うべきなのか、理解してもらうわよ。動きなさい! 全員、円になりなさい!」
ここからは座学だ。ずっと待ち望んでいた授業が始まる。




