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嘘・前編


僕はまだ広場の端に立ち尽くし、湿った土で指を汚していた。


母様は生きている。王都を選び、他の男を選んだのだ。 なぜ父上は僕たちに何も言わなかったんだ? 彼があんなにも冷酷になったのは、彼女のせいだったのか? そしてヒルダは……知っていたのか?


レイナルドの言葉が僕の中に埋めようのない虚無感を残したとしても、僕の心のどこかはそれを信じることを拒んでいた。この目で直接確かめるまでは。


「本日二つ目の授業だ! さあ来い、このクソガキども、ヴァジュラを見せてやる時間だ!」


ゾルタンの力強い声が空気を切り裂き、僕を思考の海から乱暴に引きずり出した。


僕はどうにか立ち上がり、ズボンの泥を払い落とすと、ベルトを直しながら他の訓練生たちの元へ足を引きずって向かった。 全員が広場の中央に集まり、半円を描いているのが見えた。


ゾルタンはその巨大な大剣を地面に突き刺した。


「これから見せてやるのは、トゥルハン大陸全土から羨望を集めるシュタール家の力だ」


僕たちの青ざめた顔を見回しながら、彼は話し始めた。


「よく頭に叩き込んでおけ。魔纏と闘気は終着点じゃねぇ。単なる始まりに過ぎない」


ゾルタンは一瞬言葉を切り、その唇に獰猛な笑みを浮かべた。


「言葉で説明するのは時間の無駄だ。聞いて学べるもんじゃねぇ。どのみち、お前らの誰一人として真似できるわけがねぇしな」


彼は片手で大剣の柄を握りしめた。


その瞬間、彼の周囲の空気が一変した。密度が増し、重く、息苦しくなる。


僕たちは全員、数歩後退することを余儀なくされた。


彼のブーツの周りで土埃が舞い上がる。見えない圧力に押し潰されるかのように、彼の目の前の空気が揺らぎ、歪んだ。 その歪みが深紅に染まり、次の瞬間、彼の体は青いオーラに包み込まれた。鋭い耳鳴りが鼓膜を突き刺し、僕は思わず両耳を塞いだ。


ゾルタンは武器を振り上げた。軽く脚を踏み込んだかと思うと、僕の視界から完全に消え失せた。


僕は目を見開いた。


(何だ? どこへ……)


思考をまとめる暇すらなかった。硬く、焼け付くような空気の壁が顔を打ち据え、呼吸を奪う。右側で誰かの悲鳴が聞こえ、そして、衝撃が襲いかかった。


僕は後ろへと吹き飛ばされ、無様に地面を転がった。


息をするたび、焼け焦げた土の鼻をつく臭いが空気に満ちていた。 周囲は混沌としていた。何人かの訓練生は吹き飛ばされ、外周の木の柵に激しく打ち付けられた。


他の者たちも顔から地面に倒れ込み、まるで壊れた人形のように広場に散らばっていた。宙には巨大な土埃が舞い上がり、霧のように濃く立ち込めていた。


咳き込みながら目を細め、僕は衝撃の中心地へと振り返った。


その茶色い帳越しに、ゾルタンの姿が見えた。 あんな彼の姿を見たことはなかった。


そこにあったはずの岩は消え去り、クレーターと瓦礫に変わっていた。だが、その土埃越しに彼を見た瞬間、悪寒が全身を走った。 赤みがかった揺らぎが彼の両目から直接湧き出し、白熱した煙のように空中に蒸発しているように見えた。 胸の中で心臓が止まった。


(化け物……? いや)


化け物とは、ラプランのように飢えと本能に突き動かされる獣のことだ。それは僕自身がこの目で見たから知っている。 今目の前にいるのは、全く別の何かだ。さらに最悪な何か。


体のすべての細胞が、背を向けて逃げろと叫んでいた。だが、動けなかった。 肉体を伴った、超自然的な厄災そのもの。


轟音の余韻が消えゆく中、その絶対的な力の視線が僕へと向けられた。


僕は拳を握りしめ、そのエネルギーの揺らぎをじっと見つめた。


(あんなもの、僕には絶対に手に入らない)


どれだけの血と汗と年月を費やそうとも無駄だ。それは自然そのものが課した、決して越えられない壁だった。 両手を地面につき、ゆっくりと立ち上がった。 ゾルタンは大笑いしながら大剣を肩に担ぎ上げた。


「……速度、威力、精度。そして何より、剣だ。これがヴァジュラだ」彼は宣言した。


ゾルタンが僕の横を通り過ぎる時、訓練生たちは一瞬にして姿勢を正した。 彼は片手で僕のチュニックを掴んで引き上げ、立たせてくれた。


その行動をどう受け止めればいいのか分からなかった。


少し先、正規訓練生たちの列の中にレイナルドの姿が見えた。彼は顎をこわばらせ、緊張した面持ちで煙を上げるクレーターを見つめていた。


そして、僕の視線はもう一人の人物へと移った。 テオだ。


彼がそこで何をしているのか理解しようと、僕はしばらく彼を観察した。 何人かの少年たちが打撃にうめき声を上げ、土埃を吐き出しながら立ち上がる中、彼は一人離れた場所に立ち、うつむき加減で開いた自分の手のひらを見つめていた。 彼の指が、不規則に小さくピクピクと動いていた。


僕はその動きに集中した。


彼の手の上で、空気が振動しているように見えた。 極めて微細な揺らぎだったが、確かにはっきりと見えた。あの耳をつんざくような轟音の直前に、ゾルタンを包んでいたのと同じものだ。 なぜか、僕は微笑んでしまった。


(君はいつだって、みんなの一歩先を行くんだな)


彼がその力を見たのは、たった一度きりだというのに。


(もう真似しようとしてるんだろ?)


額に手を当ててため息をついた。 腕で頭の重さを支えながら、少しの間、空を見上げた。


(ああ、そうか、そうだった)


(魔纏の時と同じだ)


(そしてその時、僕は自分の嫉妬のせいで彼と喧嘩することを選んだんだ)


(今、彼はすでに地平線のその先を見据えている)


(僕が自分の惨めさを嘆いている間にも)


僕は黙って彼を見つめた。 彼は地面に崩れ落ちた。疲れ切っているように見えたが、その顔には笑みが浮かんでおり、まるで勝利の儀式のように、片手でもう片方の手首を強く握りしめていた。


なぜか、僕は安心感を覚えていた。自分の両手に視線を落とした。しばらくそれを見つめ、それからゆっくりと息を吐き出した。


(僕たちの間の距離は、ただ明白なだけじゃない。これは深淵だ。僕には決して埋めることのできない何かだ)


あの喧嘩以来初めて、それを認めることが少しも苦にならなかった。


ゾルタンの言葉が、僕を現実に引き戻した。


「この光景が、お前らの目にしっかり焼き付いたことを祈るぜ。もうじき、この泥まみれの広場を走ることが贅沢に思えるようになるからな。これから待ち受けているもののために、覚悟を決めておくことだな。失せろ」


冷たい悪寒が背筋を走った。


(待ち受けているもの?)


訓練生たちは皆、「覚悟を決めておくことだな」という言葉が何を意味するのかと、互いにひそひそと話し始めた。


おそらくそのせいもあって、数日後から、僕は周囲の状況に注意を払うようになり、テオの奇妙な行動に気づき始めた。


彼はある朝は訓練に参加せずに姿を消し、またある時は昼過ぎにいなくなり、夜まで戻ってこないことがあった。 奇妙なことに、ゾルタンは全く気にしていないようだった。それどころか、時折、彼がどこへ向かったのかを既に知っているかのような印象すら受けた。


その疑問が頭から離れず、僕は適切な機会を待った。休憩の後に彼をつけるのは怪しまれるし、彼と一緒に離れればさらに注目を集めてしまう。


だから僕は、テオが訓練を休む朝の一つを待った。角笛が鳴った後、こっそりと離れていく彼を見て、僕は後を追うことに決めた。 彼は早足で大通りへと向かった。一定の距離を保ちながら尾行し、二百メートルほど進んだところで、彼が通っているその道に見覚えがあることに気づいた。ずっと前、セバスが馬車で僕をここに連れてきた時に通った道だ。 その道は、ティアへと続いている。


(ど、どうして彼がここに?)


僕は砂利道の先へは進めず、視線だけで彼を追い続けた。 なぜか足が震えていた。 少し先の、ティアへ向かう大通りに繋がる脇道に、一台の馬車が身を潜めるようにして待っていた。テオは辺りを見回すと、躊躇なくそれに乗り込んだ。 それ以上見る必要はなかった。 僕は信じられない思いで、数秒間その馬車を見つめた。


(まさか……?)


数日前にゾルタンが口にした言葉が頭をよぎった。


(彼が昇格したってことなのか?)


それ以上にしっくりくる説明が見つからなかったが、それでも何かが引っかかっていた。 無駄なリスクを冒す前に、キャンプに戻ることにした。幸いなことに、僕が着いた時にはまだゾルタンは戻っていなかった。何人かの訓練生が僕の不在を怪しんだのか、好奇の目を向けてきたが、誰も何も聞いてこなかった。


その日の残りの時間は、特に何も起きることなく過ぎていった。訓練に集中し、いつも通りに振る舞おうと努めたが、時折、テオとティアへ向かうあの馬車のことが頭をよぎった。


夜になり、僕はカエルの厩舎へと歩き出した。到着する直前、キャンプの西側の外周から聞こえてきた異常な音が、僕の注意を引いた。 僕は立ち止まった。動物の鳴き声には聞こえなかった。音は防壁の向こう側、この時間なら無人のはずのエリアから聞こえてきた。


木の柵の影に身を隠しながら近づいた。


土が踏み固められた広場の中央に、レイナルドがいた。彼は一人で、前かがみになり、汗を流して荒い息をついていた。彼が拳を握りしめると、ブーツの周りで土埃が舞い上がるのが見えた。その瞬間、冷たい風をわずかに感じた。 彼は何かを試みようとしていたが、それが何なのかは分からなかった。 呪文? それとも技の一つか?


鋭く、耳障りな音が空気を引っ掻いた。まるで、内部で何かがへし折れるような音だった。


レイナルドは唾液と血の塊を吐き出し、膝から崩れ落ちた。


(離れた方がいいかもしれない)



レイナルドは数秒間地面に倒れ伏し、それから四つん這いになった。顔は泥まみれで、明らかに動揺していた。


背後で物音がして、僕はビクッと肩を震わせた。 巡回の警備兵だ。


もしここで見つかれば、説教程度では済まされないだろう。 僕はもう少し先へ進むことを決め、二つの柵の間に身を隠して彼らが通り過ぎるのを待った。


そして、それが聞こえた。誰かが泣いている。 僕は完全に影に隠れたまま、柵の向こうを覗き込んだ。 目の前では、柱の上のランタンが広場とその場にあるすべてのものを照らし出していた。この光の外にいる限り、誰かに気づかれることはまずないだろう。


立ち去ろうとした。彼の問題に関わりたくはなかった。しかしちょうどその時、キャンプの隣の建物から一つの影が現れ、僕の視線を釘付けにした。


一人の女性だ。


その立ち振る舞いは気高く、氷のように冷たく、どこか超然としていた。彼女は精巧な刺繍が施されたエレガントな衣服を身にまとっており、この訓練場には全くそぐわなかった。透き通るほど明るい色合いの長い金髪が、ランタンの微かな光を反射していた。


彼女は、まだ膝をついて咳き込んでいるレイナルドに近づいた。一言も発しなかった。 彼女は足を振り上げ、彼の顔面に強烈な蹴りをお見舞いした。乾いた衝撃音が響いた。彼は後ろに吹き飛び、土埃の中を転がった。


僕は目を見開き、思わず手で口を覆った。


女はゆっくりと、スカートのプリーツを直した。 露骨な嫌悪の眼差しでレイナルドを見下ろす。それから振り返り、二度と彼を一瞥することなく、再び暗闇の中へと消えていった。 僕は本能的に柵の後ろへと身を引っ込めた。


「なぜできないんだ?」


レイナルドがすすり泣く声が聞こえた。


「くそっ……クソッ!」


少しして、彼の声に地面を激しく叩く鈍い音が混じった。


「俺がシュタール家の人間じゃないってだけで……こんな忌まわしい家に生まれさえしなければ……」


僕はこっそりと後ずさりし始めた。しかし、なぜか立ち止まり、彼を振り返ってしまった。 冷たい水滴が頬を打った。そしてもう一滴。雨が降り始めた。 突然の、激しい土砂降り。


レイナルドはゆっくりと立ち上がった。 雨が金髪を彼の腫れ上がった顔に貼り付かせ、頬を流れる血を薄めていく。 彼は辺りを見回した。 そして、僕を見た。 僕は彼から数メートル離れた、影の外に立っていた。激しく降る雨音の下で、僕たちの視線が交錯した。 少し奇妙な状況だった。


(どうして僕は残ったんだ?)


レイナルドの顔が歪んだ。 苦痛と屈辱は、僕がすでに知っているものだった。 最初は、彼から目を逸らすことができなかった。 レイナルドがそこにいる。 貴族が。 アイゼンハルトの人間が。 ついさっきまで、あんなにも僕を見下す態度をとっていた彼が。 自分の中で何かが膨れ上がるのを感じた。 認めるのもためらわれるような、かすかな悦び。


(ようやくか)


僕の心の一部は、長い間こんな光景を見ることを待ち望んでいた。 泥と血にまみれて膝をつき、自分の脆さを露呈させられる貴族の姿を。 おそらく、こんなものを目の当たりにすることは二度とないだろう。 ほんの一瞬だけ、僕はその光景を味わった。


だが、自分でも理由が分からないまま、その感覚は消え始めた。 悦びは徐々に弱まり、後には空っぽの空間だけが残った。


(どうして?)


つい数秒前までは、この時間がもっと続いてほしいと願っていたはずだ。 なのに今は、その味を感じることすらできなくなっていた。


(僕はついに、これらの感情に打ち砕かれた魂を満たしてくれるものを見つけたわけじゃなかったのか?)


「このクソ野郎があああ!!」彼の絶叫が、雨音を切り裂いた。


僕は黙っていた。


(どうしたんだ? 僕は……何も感じない……どうして少しも怖くないんだ?)


僕は彼の顔を見た。 今にも、彼のような人間を前にすると、いつも頭を下げてしまっていたあの感覚が戻ってくるのを、ほとんど待ち構えていた。 胃の結び目、消えてしまいたいという願望、彼に逆らってはいけないという強迫観念。 待ったが、それはやって来なかった。僕はついに、彼のありのままの姿を見ていた。


ゆっくりと両手に視線を落とす。手を開き、冷たい雨粒が手のひらを打つのに任せ、指の間に水が溜まり、泥を洗い流していくのを観察した。傷跡。タコ。すべてがまだそこにあった。 それなのに、何かが欠けていた。


ゆっくりと拳を握りしめ、そして理解した。


母についての彼の言葉を聞いていた時に僕を喰い荒らしていた、あの虚無感が消え去っていたのだ。 僕をいつも彼らに縛り付けていた、あの見えない鎖が消えていた。拒絶されることへの恐怖。十分ではないという思い。アイゼンハルトの名に値すると決して認められないという苦悩。


あの恐怖が……もう、なかった。


水滴が目に入り、思わずまばたきをした。再び目を開け、レイナルドの視線を見据えた時、すべてが変わっていた。 もうアイゼンハルト家の人間には見えなかった。


服従しなければならない貴族には見えなかった。そこに見えたのは、ただの一人の少年だった。孤独で、傷つき、怯えきった。彼には血があり、名があり、僕が欲しいと思っていたものをすべて持っていた。それなのに彼は今、泥の中で打ちのめされ、彼らの期待に応えられないことに絶望している。


これまでずっと、僕はシュタール家から見捨てられたことが最大の呪いだと信じていた。 今なら分かる。それは僕の救いだったのだ。 あの檻から遠く離れ、僕が僕自身になることを許してくれた唯一のものだった。


レイナルドが僕に飛びかかってきた。絶望的な怒りとともに僕の胸ぐらを掴み、拳を振りかぶって、僕の頬をまともに殴りつけた。


「てめぇ……この忌々しいクソ野郎が! あいつと同じ血を引いているくせに……それなのに……!」


「あのさ……」低く穏やかな声が、僕の口から漏れた。


もう一発の拳が頬に叩き込まれ、顔が横を向いた。


「そんな目で俺を見るな!」彼は叫んだ。


僕は血の塊を泥の中に吐き捨てた。奇妙なことに、痛みは感じなかった。ただ冷たい明晰さだけがあった。再び彼を見据えた時、自然と笑みがこぼれていた。


「母についてのあんたの言葉は、本当なのかもしれない」


レイナルドは息を切らしながら体を強張らせた。


「でも、もうどうでもいいんだ」彼の顔が引きつった。


彼は再び腕を振りかぶった。


「黙れ!」 また一撃が飛んできた。


雨に打たれるままにして顔の血を洗い流し、僕はゆっくりと息を吸い込んだ。


「むしろ……」僕はつぶやいた。


「僕は幸運だったのかもしれない」


「黙れと言っただろ! お前なんかに――」


「見捨てられて幸運だったよ」僕は彼の言葉を遮り、彼の目を真っ直ぐに見つめた。


「今のあんたを見てると……心底、そう思うんだ」


数秒間、世界が停止したかのように感じられた。聞こえるのは激しい雨音と、レイナルドの荒い息遣いだけだった。 僕の胸ぐらを掴んでいた彼の手が震え始めた。そして、ゆっくりとその指が緩み、僕を解放した。 言葉を紡ぐこともできず、彼の唇が震えているのが見えた。雨が彼の顔を伝い、涙と混ざり合って流れていく。


「お前……」彼は辛うじて囁いた。


彼は無力に両手を握りしめ、そのまま顔を覆った。そして、泥の中に膝から崩れ落ちた。 レイナルドは僕を見つめ続けていたが、その眼差しには何かしらの変化があった。 一瞬、何かを言おうとしたように見えたが、やがて彼は目を伏せ、言葉を飲み込んだ。 地面にへたり込み、虚空を見つめる彼を最後にもう一度だけ見た。土砂降りの雨の勢いが、ゆっくりと弱まり始めていた。


僕は背を向け、カエルの厩舎へと歩き出した。


「ちくしょう……」 背後から彼の声が聞こえた。


彼は泣いていた。 何かが、僕を振り向かせないように引き止めた。 あれは彼の時間だ。彼だけの瞬間であり、誰にも、僕にさえも、それを奪う権利はないのだから。



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