合同演習・後編
僕は目を見開いた。
(どうしてここに? ロワン……ダリアン……)
宮殿を発った日の記憶が蘇った。あの時、彼らもどこかへ向けて出発しようとしていた。
(結局、兄さんたちは自分たちの道を選んだんだな)
彼らのところへ行き、元気だったか、どこへ行っていたのかと聞きたかった。だが、何かが僕を引き止めていた。今もまだ僕の中で生々しく残っている、あの出来事が。
(あの広間にいた父上……そして、あの追放令)
彼らの背後に見慣れない他の者たちの姿が見え、ある疑問が湧いた。
(合同演習……もしかして、セバスが言っていた『特別な訓練』と関係があるのか……?)
「立て、クソガキども!」ゾルタンの怒声が轟いた。
「今日、兵士であるということがどういうことか、てめぇらに教えてやる。これより合同演習を開始する! 列を作れ! 新入りどもは覚悟しておけ! 一対一だ。奴らはてめぇらに攻撃の仕方を教え、てめぇらは生き残ろうとするんだ。動け!」
(何だって!?)
僕はため息をついた。
(楽な訓練はこれでおしまいか)
ゾルタンは笑いながら背を向けると、貴族の教官と話すために少しの間だけ柵の外へ出て行き、僕たちだけが残された。彼がいなくなった途端、張り詰めた緊張感が爆発した。僕の視線は、ロワンとダリアンに釘付けになった。彼らは年上たちの輪から離れ、僕から数歩の距離で立ち止まった。彼らの完璧に磨き上げられた甲冑と、泥のこびりついた僕のボロ着とのコントラストは、あまりにも無慈悲だった。
何か声をかけるべきタイミングだったのかもしれない。だが、言葉は出てこなかった。体が震え始めた。
(どうして……どうして一言も、言葉が出てこないんだ?)
永遠にも感じられるほどの視線の交差があった。
「ロ……兄さんたち……」僕は疲れ切ったような、引きつった笑みを浮かべて囁いた。
ほんの一瞬、なぜかは分からないが、何かが今までとは違うような気がした。しかし、すぐにまた全てが元通りになった。ロワンは深く息を吸い込み、その顔つきを硬くした。
「本当にこいつだったのか」ロワンは嫌悪に鼻をひくつかせながら言った。
「どうやってこんな豚小屋に行き着いたんだ?」ダリアンが一歩前に出て、たたみかけた。
「哀れみか? それともアイゼンハルトの名を持つ者を、皆の前で路頭に迷わせるのは見栄えが悪いからか? 父上は本当にお前を容赦してくださったんだな。感謝すべきだぞ」
僕はうつむき、頬が熱く燃えるのを感じた。
(どうしてそんなことを言うんだ? 僕が望んだわけじゃ……)
「金輪際、俺たちを兄と呼ぶな」ダリアンは冷酷に言い放った。「平民どもに、俺たちが同じ身分だと思われかねないからな」
胸が締め付けられた。僕は声なき涙を必死にこらえた。ロワンが僕の横を通り過ぎようとした。彼の肩が、微かに震えた。だが次の瞬間、急に体を強張らせると、僕に思い切り肩をぶつけた。僕はバランスを崩し、凍てつくような泥の水たまりに背中から倒れ込んだ。冷たい水がすぐに服を通り抜けて肌に染み込み、背後では数人の正規の訓練生たちが吹き出して笑う声が聞こえた。僕は歯を食いしばった。
そこに割って入ったのは、テオだった。
「おおっ! ロワン貴族様!」彼は僕の兄に近づき、その磨き上げられた甲冑を撫でるように触れた。「すっげえ、これ目が飛び出るほど高価だったんじゃない!? 僕も小っちゃい頃、街のパレードで似たようなの着たことあるよ! いやー、あの頃は良かったなぁ!」
ダリアンが激怒して彼を黙らせようとしたが、ロワンがそれを制止した。
「てめぇのような平民に、本物の甲冑の何が分かる?」
「チッ! 行くぞ、ダリアン。ここはドブの臭いがする」
僕は彼らに向かって手を伸ばし、呼ぼうとした。
「兄――」
だが、声にならなかった。
(見捨てないで……兄さんたちだけは)
テオが笑顔で僕の前にしゃがみ込み、手を差し伸べてきた。
「あんな奴らを兄って呼んでるなら……まぁ、総合的に見たらそこまで悪くなかったんじゃない?」
(テオの言う通りかもしれない。たぶん……)
テオは動かず、僕を見つめたままだった。またしても彼に助けられた。なぜ彼がこんなことをしてくれるのか、僕には分からなかった。
「あ、ありがとう……」
僕は彼を見つめた。テオが本当にそこまで図太いのか、それとも自分がどれほど危険な状況に首を突っ込もうとしているのか分かっていないだけなのか、判断がつかなかった。
ゾルタンが大股で広場に戻ってきた。彼は周囲の者を無視し、僕の方へ真っ直ぐに向かってきた。まだ近くにいたダリアンはすぐさま表情を変え、無邪気な笑い声を装った。
「あはは……ドジだなぁ。一人で泥に転ぶなんて……」
隊長は僕の腕を掴むと、いとも簡単に宙へ吊り上げ、無理やり真っ直ぐ立たせた。
「立て、『姫』! その泥の中が随分とお気に入りのようだが、くつろぎすぎだ。全員、位置につけ!」
全員が広場の中央へと移動した。僕も泥だらけの服のまま、服の中に入り込んだ泥や汚れを払い落そうとしながら、他の奴らと一緒に列に戻った。ゾルタンは僕たちが全員揃うのを待ってから口を開いた。
「今回、てめぇら新入りは、相手の攻撃に十回耐えなければならない。十撃目を凌ぎ切り、地面に倒れていなければ合格だ。もしそれより前に倒れたら……まあ! 負けってことだ」
新兵たちの間にどよめきが走った。僕は他の奴らを見た。
(十回の攻撃……それに『ただ耐える』だけ?)
僕は今まで一度も戦ったことがなかった。こんな状態で十回の攻撃に耐えるなど、僕の能力を遥かに超えていた。
その時、テオに気がついた。彼はゆっくりと僕の後ろへ移動し、何かから隠れようとしていた。その肩は葉っぱのように震えている。
(テオ?)
少しだけ振り向いた瞬間、背筋に悪寒が走った。勢いよく振り返ると、隊長がまさに僕を見つめていた。思わず唾を飲み込んでしまうほど、不気味な笑みを浮かべて。
(あの顔……全然笑えないんだけど……)
広場の反対側で、もう一人の教官が自分の訓練生たちを集めているのが聞こえた。ゾルタンが全員の注意を引いた。
「あっちで『金靴野郎』が参加者を選んでいる間に、第十三宿舎の奴らはこっちへ来い」
列から八人の新兵が次々と前に出た。そして、ゾルタンが僕を指差した。
「そしててめぇだ、『姫』。何ができるか見せてもらう時間だぜ!」
僕は目を見開いた。
(え!?)
無意識のうちに、自分自身を指差していた。
(僕が?)
彼が顎でしゃくるのを見て、その視線の先を追った。彼の背後、彼の背後、倉庫の方から、正規の訓練生たちがすでに進み出てきていた。
(待って……)
彼らの体格を見て、再びゾルタンに視線を戻した。
(まさか……)
唾を飲み込んだ。
(僕が戦うの……? あの中の誰かと?)
ゾルタンは僕を指差したまま、笑みを浮かべて見つめていた。
「隠れてんじゃねえぞ、テオ。 ケツを動かしててめぇも来い」
(え……何? どうして?)
再びゾルタンの後ろにいる訓練生たちを見た。
(待って……本当に彼らの誰かと戦うの?)
彼らの方が年上で、体も大きかった。そして動きを見る限り、明らかに僕たちより遥かに鍛え上げられている。
(一体どうやって十回の攻撃に耐えろっていうんだ?)
テオは一瞬、その場にへたり込んだ。
「僕たち……終わった……」
ゾルタンは兵舎に入ると、剣のような形をした木刀の束を抱えて出てきて、僕たちの前の地面に放り投げた。
「さっさと動け、向こうはもう準備ができてるぞ。てめぇらも一列に並べ。こいつを使って身を守れ。第十三宿舎から順に番号を振って始め、テオともう一人で最後だ」
僕たちは全員一列に並んだ。僕にとって、それはまるで死刑宣告のように思えた。前にいる奴らは誰しもが目に見えて怯えていたが、ある一人がすぐに僕の目を引いた。彼は僕たちの列の先頭にいた。
誰のことも見ていなかった。ただ真っ直ぐ前を見据え、微動だにせず、まるで周囲で起きていることなど自分には全く関係ないかのように振る舞っていた。彼こそ、初日に僕を標的にしたあの少年だった。
傷跡のある少年だ。
今日は様子が違っていた。ここしばらく、彼の姿を見ていなかった。普段の訓練では、ゾルタンは僕たちをグループに分けていた。かといって、その間に僕が他の奴らに特別な関心を持ったわけでもない。あの日以来、僕は一人でいることを選んでいた。それは僕自身の選択だった。
奇妙な感覚を覚えた。彼の拳がどれほど重かったか、僕は今でも覚えている。ほとんど本能的に、自分の脇腹に触れた。
(何とかして五体満足で乗り切る方法を見つけないと)
僕はテオの方を振り返った。彼がまだどこかに隠れているものだとばかり思っていた。しかし、彼は地面にあぐらをかき、目を閉じて座っていた。
(……え?)
僕は立ち止まって彼を見つめた。今にもまた文句を言い始めるんじゃないかと待ち構えていた。
だが、何も起こらなかった。少し近づき、触れないようにしながら彼の顔の前に手をかざしてみた。彼の呼吸はゆっくりと規則的で、広場の喧騒が彼に一切触れることなく滑り落ちていくかのようだった。
(さっきまで葉っぱみたいに震えてなかったっけ?)
今度は軽く触れようとしてみたが、それでも彼は目を開けなかった。
(一体何をしてるんだ?)
突然、耳をつんざくような鋭い笛の音が鳴り、僕はビクッと体を震わせた。ゾルタンが合図を出し、傷跡の少年の試合が始まった。
彼の向かいには、緑色の髪をした背の高い少年が、ニヤニヤと笑いながら立っていた。二人は何か言葉を交わしていたが、僕の位置からは聞こえなかった。
緑髪の少年が前に踏み出し、木刀を真っ直ぐに突き出した。
(速い……)
一撃はもう彼に届く寸前だった。それなのに、傷跡の少年は身動き一つしなかった。
(どうして反応しないんだ?)
本当に最後の最後、ギリギリの瞬間になってから、彼は体をわずかに傾け、木刀を肩から数センチのところをすり抜けさせた。次の瞬間、その場でクルリと回転し、相手の脇腹を打ち据えた。緑髪の少年はバランスを崩し、ドスンと重い音を立てて地面に倒れ込んだ。
信じられなかった。今まで見たこともないような技だった。
(あんなに無駄がなくて……あんなに速い。一体どこでこんな戦い方を学んだんだ?)
ゾルタンが大声で笑い出した。
「アースの息子にしちゃ、悪くねぇな!」彼がもう一人の教官の背中に平手打ちを食らわせ、危うくバランスを崩させるのが見えた。僕はその光景に目を丸くした。
(貴族の教官すらあんな風に屈してしまうなんて……ゾルタンは……一体どれほど強いんだ?)
僕の視線は、信じられない思いで傷跡の少年に戻った。緑髪の訓練生は木刀を杖代わりにして、何とか立ち上がった。彼らが何を話しているのか聞きたくて、僕は数歩だけ近づいた。
「……カシアン隊長! 奴はズルをしてます、絶対に!」
貴族の教官は手で制し、彼を黙らせた。
「持ち場に戻れ、クレイ!」
「しかし……」
彼が言い訳を続ける前に、今度はゾルタンが乱暴に話を遮り、勝った少年に直接労いの言葉をかけに行った。
列に戻る直前、彼は振り返り、一瞬だけ僕を見た。彼の目は冷ややかで、他の奴らに伝染していた熱狂とは完全に無縁だった。背筋に悪寒が走り、無意識の反射で、彼の拳の記憶が肋骨をズキズキと痛ませた。彼は恐ろしいほどに落ち着いていた。
「忘れてたが、勝った奴には明日一日の休みをやる」新兵たちは皆、まるで自分がすでにその褒美を手にしたかのように歓声を上げ始めた。テオはまだあぐらをかいたまま、一人で瞑想を続けていた。
試合は続いたが、少なくとも僕たちの側に、これ以上の勝者は出なかった。こちら側の新兵たちは、次々と容赦なく叩きのめされていった。相手は明らかに、あらゆる面で上回っていた。
もしこうやって学んでいくのだとしたら、これから先、気が遠くなるほど長い戦闘訓練が待っているに違いない。
ゾルタンは次第に落ち着きを失っているように見えた。そして、大股でテオの方へ向かっていった。テオの肩を掴んで持ち上げると、案山子のように地面に立たせた。
ゾルタンがテオの顔に顔を近づけ、聞き取れない声で何かを囁くと、テオはその場で嬉しそうに飛び跳ねた。
「えっ!? 本当にいいの!?」彼は右を見て左を見ると、急ぎ足で、相手が待つ広場の中央へと向かった。
「テオ!……」木刀を持って行くように思い出させようとしたが、彼はすでに決闘の場に立っていた。
彼はまず僕を見て微笑み、それから最後にもう一度ゾルタンを見た。
(あの笑顔はどういう意味だ? それに、武器も持たずに素手で何をするつもりなんだ?)
その朝初めて、テオは全く怯えていないように見えた。彼が何を考えているのか確かめたくて、僕は少しずつ前へ進み、新兵たちの最前列に入り込んだ。
「隊長、約束ですよ!」ゾルタンの笛の音と同時に、テオの相手が構えをとった。
「お前、本気か? 武器すら持ってないじゃないか」相手は鼻で笑った。「一体どうするつもりだ?」と続けて挑発した。テオは答えなかった。
「チッ! お前みたいな奴は虫が好かないんだよ。この勝負、ここで終わ――」
何が起きたのか理解する暇すらなかった。その少年は、その場で突然、崩れ落ちたのだ。僕は目を見開いた。それと全く同じ瞬間、不自然なほど冷たい風が僕の顔を撫でた。広場は静寂に包まれた。
(どういうことだ……? テオがやったのか?)
僕には何も見えなかった。ゾルタンが腹を抱えて大笑いし始めた。テオは勝利を祝うようにピョンピョンと跳ね回り、それから僕の隣に戻ってきた。
(何が起きたんだ? 魔法を使ったのか? でも何も見えなかったし、おまけに、ほんの一瞬の出来事だった……テオ……)
「えへへ! ルス! 僕、勝ったよ! 見てた、ねえ見てた!?」
僕は彼を見つめた。いつもの、落ち着きがなくおしゃべりなテオだった。ついさっきまで葉っぱのように震え、僕の後ろに隠れようとすらしていた、あの少年だ。それなのに、たった今僕が目にしたものは、僕が抱いていた彼のイメージとは全く噛み合わなかった。
(君は本当は……何者なんだ、テオ?)
彼は僕の手を強く引っ張って揺さぶっていた。僕はまだ信じられない思いのまま、必死に状況を呑み込もうとして、その場に立ち尽くしていた。
「え、えっと……うん、おめでとう……」僕は引きつった笑みを返した。
「さあ、次は君の番だよ! 頑張ってね!」




