2章-2
ようやく続きをアップ出来ました。
本当に文章作成の難しさにアップアップしております。
いずれ修正改訂出来ればと思っておりますが・・・今はそれより書き進めたいと思っております。
東京都心、金曜日の午後3時を過ぎたくらいで気温は23℃くらいなところ。
爽やかな風がビル街を吹き抜け、歩道の街路樹に日が当たり木漏れ日がキラキラと路面に届いている。
地球温暖化と言われる異常気象予報の中、今日の天気予報が良い方にはずれた。
そこを往来する人々は、いつも紫外線を避ける様いろんな装備を付けて歩くが、久しぶりの心地良い風につい日傘を閉じて帽子もバッグにしまいそうになる。
今日は本当に気持ちの良い日だけど、紫外線量だけはいつもより多く浴びちゃいますよと紫外線注意報だけが出ている。
しかし、この陽気は今日一日だけで、明日は今日よりも10℃以上気温が高くなり午後にはゲリラ雷雨?の予報も出ている。
それに、春先からの長期予報においても今年の夏も猛暑以上になるだろうと。
四季は二季?になると言われる様になって久しいが、産業界は対温暖化向け・生活仕様の利便性追求・宇宙開発関係等にエネルギー問題等と相変わらずの課題は変わらないよう。
そんな中で今日から3日間、都心にある大規模ホテルのイベントフロアをほぼ貸し切りにして政府主催の産官学連携の国際会議等が開かれる。
主にビジネス目的の経済分野が中心で学会発表に近い会議など、各国の企業や大学関係者、海外の在外公館からと日本の各省庁の担当者も集まり、交流会も多数開催される事となっている。
要は日本の政府が、あらゆる分野でビジネスを広げ発展させてほしいので、国と各業界の垣根を取っ払った対話が出来る場を作るから参加してくださいといった会である。
既企業レベルでのビジネス関係の会話をするのに、やっぱり対面で話す機会を欲するようで、その中からビックビジネスにつなげる可能性は高いだろうと主催者側で思う人が多いらしい。
併せて、そういう場所を日本政府が提供したと言うのが大事らしい。
会場となるホテルの正門入り口からロビーの間に、本日16:00過ぎから始まる多くの来賓を呼んでのオープニングセレモニーの為に参加者専用の臨時入り口を作り、受付を始めようとしていた。
ホテル内では今日の午前中から学会発表や、各界それぞれの交流会と銘打った会議などがプレオープンしていて、すでにかなりの数の参加者がすでに集まって来ている。
これから始まるオープニングセレモニーに向けても、まだまだ相当な人数が集まって来る事になっていて、迎えるホテル側の一番大変な時間が始まろうとしていた。
御室瑠璃は今、今日の爽やかに過ごせる陽気を感じながら、このホテルでのイベントに参加する専用入り口の受付の列に並んだところである。
今日は先日体調を崩した日から数日後で、すっかり体調も戻って退職期日前の有給消化中ということになる。
この列に並んでいると、ホテルの入り口のガラス張りの壁に自分の姿が映っているのに気付き、ガラス壁に映る自分の格好をチラチラ横目で見ていた。
(久しぶりにワンピースなんか着てみた)と、この催事のT.P.O.に合せようと、紺色を基調にして所々差し色に白を使った清楚ぽいワンピース選んでいた。
先日の体調不良からは元気を取り戻し、久しぶりのお出かけだからとT.P.O.を考える余裕もあったと思ったところで、ついそのガラス壁をガン見してしまった。
自分は周りの人にこういう風に見えてるんだとわかったと同時に、ガラスに映っている自分の体型はバストとウエストの凹凸の差が少な過ぎると、小さなショックを感じてしまった。
せっかく気候も良く体調も良く気分も良かったのに、こんな所でコンプレックスを刺激される事を知っちゃうんだなと軽く落ち込みそうになる。
が、今日は美味しい物にありつけるんだからと、久しぶりの外出が自分の予定していた通りに進んでいる事に気を取り直した。
なぜ?瑠璃がこの仰々しい会に参加か?となるが、瑠璃本人はこのビジネスがらみに参加する事が目的では無い。
この催事の会議に叔父の瑛が参加しているので、このホテルを待ち合わせ場所にしただけである。
瑛の参加する会議は時間通りに終わらない可能性があり、ただ待ってるのもつまらないだろうから有名人もチラホラ来るらしいし、色々見て回る?と言われて招待状をもらった訳である。
この大型の老舗ホテルはVIPの扱いには慣れているだろうが、その政財界と世間に名前知られている有名人が出席する会となればセキュリティのレベルの高さは半端ない。
今もオープニングセレモニーに参加するだけの有名人をめがけての野次馬客に、ちらほらマイクやカメラを担いだテレビ取材者らしき人達も見受けられる。
瑠璃がホテルに到着した頃には多くの人がすでに並んでいて、受付の開始時間は過ぎたようだったが列は進まずしばらく待たされていた。
受付開始の案内から15分ぐらい過ぎたところでようやく人の列が動き始めた。
どうも押しかけて並んだ大人数を整理順序立てるのに戸惑ったようで、受付も徐々にさばき慣れてゆっくりとはいえ止まること無く進み始めた。
手荷物のX ray検査と金属探知ゲートも順次来客が流れにそって歩き、検査にひっかっかった人へのピックアップもホテル対応が上手く、確認の為の動線も示されていてスムーズに動いているようだった。
ゆっくりと進んできた瑠璃も受付前から待たされた事もあり、やっと受付入り口に辿り付いた~と一呼吸、そこから受付会場内を見渡した。
受付対応用のロボットタイプのホテリエが多く配置されていて、入場証明発行の機械との組み合わせで事務的な無機質感を、AI搭載?ロボット型のホテリエが補っているようだった。
招待状の確認とかX ray検査とかのへの誘導にもロボット型が置かれていて、来客とのやりとりも上手にこなしているように見える。
というかこれだけの来客を裁くのは、人間だとものすごい人数必要になるだろうから、このホテルのおもてなし機械化の使い方は良く考えられてるんだと瑠璃は思った。
自分が仕事をした中で、物流AIのアップデートに参加した時の事を思い出した。
機械は多くを捌く能力と正確性は高いけど、AIにしても急を要する出来事に対応する事を入れ込むにはなかなか大変だったなあと。
それでも、何が起きても対応出来る様に人間のホテリエも数人ここから配置されてるようには見受けられる。
と、瑠璃の前に並んでいた人が受付に進んだ。
次が私かなと受付場所を見渡しながら、もし今度参加する事があったらもっと早く簡単に受付出来る様になってるかもと想像していた。
すると、お次の方と呼ばれ床の矢印が光って誘導されたので瑠璃が受付カウンターに進んだ。
ロボットのホテリエが相手をしてくれる様で、そのロボットを見るとネームプレートがついてて、アルファベットと漢字でTakezawa(竹沢)と書いてあった。
一目でロボットとわかる姿をしているホテリエの竹沢さんの声は若い女性の声に設定してあるみたいで、瑠璃を日本人と判断し、日本語で快活に
「本日は当ホテルにお越しいただきありがとうございます。それではご招待券を拝見させていただきます」と瑠璃に話しかけてきた。
瑠璃は興味深くその受け付けロボットを見ながら、招待入場券をロボットホテリエ竹沢さんに差し出した。
招待状を両手で受け取ったロボットの竹沢さんを見ながら瑠璃は、なんか妙に笑えてきそうになる自分が不思議で、吹き出さないようにと唇にぎゅっと力を入れた。
招待状には既入場者(瑛)の家族枠入場で希望、滞在は本日のみと記載済みにしてある。
Rホテリエ竹沢さんは瑠璃の招待券を受け取ると、横にある家庭用コピー機のような大きさのbox型機械に招待状を入れスキャンをしている様だった。
するとR竹沢さんは瑠璃の方にむき直すと
「入場許可証はご自分のスマホに入れますか?それとも紙に印刷したものにしますか?首にかける用のタグもございます。」と聞かれ、瑠璃はスマホにと言ってバッグからスマホを取りだした。
「スマホの画面をこちらに向けてしばらくお待ちください」と言ったR竹沢さんは瑠璃のスマホに指をつけるとデータ送り込んだ様だった。
「入館証明書添付完了です、今日の23時には自動消滅いたします、どうぞ手荷物検査の方にお進みください」とR竹沢さんの左手が進行方向を示した。
瑠璃はありがとうと言って、ついR竹沢さんに会釈したら、R竹沢さんも小首をかしげるように会釈をかえしてくれたと思ったら、
「充実した良い時間をお過ごされますように」と返事を返してくれて、なんか瑠璃はちょっと良い気分に感じながら示された方に進んでいった。
沢山ある受付ゲートではおおよそこのやりとりの日本語が多い中、英語等各国語も飛び交っている。
R受付さん達は聞き直す人にも優しく答えている様だ。
瑠璃は、各検査もスムーズに通りホテルの中央ロビーを抜けてイベントフロアの方へと入っていった。
瑛兄様とは先日の体調不良を起こす前から、瑠璃の退職お疲れ様会で外食しようかと誘われて、待ち合わせにはちょうど良いからと今日を予定としていた。
それにしても、人人人だかりで瑠璃に取っては、気分が悪くなりそうでもあり、頭の中は徐々にもしもの場合の対応も考えないといけないかもと頭の中にちらつき始めていた。
(瑛兄様の招待状で入って来たけどもの凄い人出で、このホテルのレストランも混むよね、会ってからの相談するかな)と考えながら更にホテル内へと進む。
もちろんこの会が経済関係の集まりなのはわかるけど、仕事を辞めたばかりの瑠璃にとっては、ただ美味しい物に有り付く事だけが目的となっている。
それに、先日の体調不良であまり食べられ無かった事もあり、余計に美味しい物が食べたいと思っていた。
今日の午前中には、瑠璃の唯一の友と言える松田樹里に直に会う事だった。
久しぶりに直に会えると表参道近くのカフェで美味しい女子会ランチを楽しみ、おしゃべりに花を咲かせてきた。
14:00過ぎ頃には樹里の都合で切り上げなくてはいけなかったが、二人ともまだ話し足りないと次回の約束をしつつ名残惜しかったが、瑠璃は公共交通機関利用でホテルに辿り付いた。
松田樹里は小学生の時からの付き合いで友人で、親友である。
最初の出会いは小中高大の一貫教育の小学生の入学時に同じクラスになった事からになる。
この頃、地球上ではコロナの流行が一番大変になりかけたこともあり、マスク着用、人との距離を取るなど、何においても距離を取らなければいけない時だった。
瑠璃は9歳、樹里は7歳のコロナ下で学校が休みになったりと、学校に来てもマスク越しの顔を合わせ程度で、すぐに親密になったわけでは無かった。
当時、瑠璃は身体も小さく2年入学が伸びているとは誰も気が付くことは無く、9歳と言えど、小学1年生としてもすんなり溶け込んでいた。
そして、コロナが沈静化していくのと、学年が上がっていくところでクラスメイト達は敏感に何かしら瑠璃との違和感に気付きだし、その違和感に途端に距離を取る子もいた。
しかし、静かに離れてくれれば良いが、気にして指摘してくる子も徐々に現れ始めると、段々クラスの中はおだやかでは無くなってくる。
そのなかで、松田樹里はその違いをわかった上でも、周りと付かず離れずな距離を置いていてかつ、さっぱりした性格に良い悪いの指摘を上手に声に出せる頭の良さを持っている子だった。
その樹里の存在のおかげか、クラスの子達は瑠璃を始めその他の子にも個性や体格差の違いでのいじめとか、のけ者にされるという事は起き無かった。
瑠璃と樹里も小学生低学年頃はそれほど近しい関係では無かったが、高学年になった頃から気が合う友達として急速に身近な友人となって行った。
中・高校生になる頃にはお互いの日常の話題で会話が盛り上がり、悩みも愚痴も聞き合う関係となりお互いが親友と言えるようになっていた。
勉強会と銘打ってお互いの家で泊まり合う間柄にもなり、現在も瑠璃の家族状況を樹里も知っており、叔父の瑛には二人に勉強を教えることもあって樹里も瑛の事を瑛兄様と呼ぶようになっていた。
ゆっくりと時間を掛けてお互いの距離を縮めて来たと言えるが、瑠璃より樹里の方がよっぽど年上に見えると瑛はよく感想を述べるので、瑠璃は負け惜しみに
「樹里お姉ちゃん」と呼んだ。
高校卒業当時、瑠璃は社会人へ、樹里は大学進学へと別れ、直接会う機会も時間も減ったが、連絡を取り合うツールはいくらでもあって、環境が違っても良い関係を続けている。
瑠璃の仕事がつらかった時も樹里は瑠璃の愚痴も聞き人間関係のアドバイスや励ましをしてくれていた。
そして、瑠璃がこの3年間で仕事を辞めると言った時も、よく頑張ったねと言ってくれる親友の樹里で、自分も樹里が困った時は何かしら助けになれる人になれたらなと思っていた。
樹里は大学3年生でこの夏休みに海外短期留学を予定していて、実りある機会とするための事前準備で忙しく、今日のランチはたまたま時間が取れての久しぶりの逢瀬となった。
本当は瑛も一緒に3人で夕食をと思っていたが、瑠璃のお守りが終わった瑛も本格仕事復帰に向けて動き出しているので、無理にスケジュールを合わせてもらうのは難しかった。
それでこの会議に参加している瑛は多分5時過ぎには解放されるはずだから二人で夕食を一緒に楽しもうと言うことなった。
一人でこの会場に入場した瑠璃は暇つぶしもあるけれど、こういう催事に触れるのは初めてなので、キョロキョロと興味深く会場を歩き回わりはじめていた。
今日、ここに集まる企業関係者は各分野の研究機関や研究者、各省庁の関係者などに顔会わせがまとめてできるといった会で、顔を売る為の場所の提供という感じである。
今時にしてはアナログな人集めだが、不定期な開催なのに参加人数は毎回増加している。
人が多く集まるのは直接会う機会が珍しいのと、やはり人脈作りにウェイトを置いている人が多いかもと考えられる。
もちろん学会や会議をopenにしているところは、遠隔地からもwebで視聴及び参加出来る様には設営されている。
外部参加者はどちらかというとそれぞれの学会のテーマや会議の主旨に興味のある人か、構成者をすでによく知ってるとか旧知の仲とかで、知己のある人は現場に不参加という人達が多い。
初めて参加する人達も即取引に繋がる事を期待しているわけでは無く、前回参加者等の個別申し送りとか、なにかしらのきっかけ作りと言う事に主眼が置かれる会と思ってはいる。
企業側にしても特に新商品の発表でも無いので、取引の期待より産官学等への人脈作りに重きを置いている感じもある。
信用信頼関係を構築する場合アナログな出会いの方が向いていると思う人がまだまだ多く、軌道に乗りかけたビジネスの展開を考える人ほど対面での信用形成が一番かもと思うらしい。
その上で、ビジネスにつなげていく課題をどう広げるかが難しいが、ここで大きな仕事に繋がったという事例は少ないが、その先に広げたという話は少なくは無いと言われる会である。
どちらかというと資金を多くもっている大企業や団体名を背負っての個人名を紹介される事で、個人の信用を知らしめていける事を目的とする人が多いようだ。
そのせいか個人、企業担当者、取引先や関係先の見知った顔もちょくちょく見かけるらしく、そのたびの挨拶が各所で始まっている。
そうすると、人の輪で渋滞ができるので、その度にホテルのフロア担当者に促されて交通整理を受けることになる。
「なあ、この人出の多さ、ここで待つしかないのか?にしても何か目印のあるところにしないとな」と言ったのは大企業に位置づけられる野々宮グループの経営戦略室兼物流統括部長代理の水無瀬良紀である。
「まだこれからオープニングだ、受付のセキュリティは割かし早く抜けれたから良かったんじゃないか」と同社経営戦略室統括部長兼新規案件担当の野々宮真之。
この二人にドレスコードと言っても、いつもよりちょっと良い生地で仕立てたビジネススーツとなるくらいで、周りの男性らと大して変わりなく人の流れに合わせて並んでゆっくり歩いている。
「オープニングが始まって大臣クラスの挨拶が始まったら、人の流れも止まるだろうし」と野々宮。
「今回はディスプレイの数が多くて助かるよな、オープニングのフロアに入れた試しが無いんだから」
「でも社長は他社の社長とまとめられてオープニングまで控え室か?フフフ」と水無瀬。
「社長ばっかりの社長外交してるだろうよ」と野々宮。
「窮屈だろうな」となぜか笑う二人。
「ま、俺たちも明日は休日返上での客人接待だからな」
「今回はたいしてビジネスって訳じゃなくて、先方の興味のある分野へのアテンドだろ」
「本当は社長自ら接待予定だったけど、社長はこの会の後にアリッサと渡米って急に変更になったのさ」
「もしかして、碧君がらみ?」と聞く水無瀬。
「詳しい事は聞いて無いが、多分、でも本人はまだ日本に居るから」
「ま、何もかもこれからみたいだ」とため息をついた野々宮。
「それにしても、相良からはまだ連絡が無いよな」と水無瀬
「Mr.レノックスの参加してる会議だか学会?がまだ続いているんだろう、終われば連絡来るさ」
「何年か前に一度会ったことがあるよな、挨拶だけだったけど、すごい綺麗な男だった記憶だけど」
「映画スターとかそう言うのでもないイケメンよりイケメン」
「なんだそれ?」と軽い笑いが起こる。
この二人は幼なじみで、家族ぐるみの付き合いが長い事もあって、二人だけでいるときはため口OKである。
と話していると、オープニングセレモニーがもうすぐ始まると予告案内放送があったらしく人の流れもまた変わり始めていた。
ホテル内の所々にディスプレイが置いてあり、メインフロアとなるセレモニーフロアの様子が映し出され始めた。
参加人数が多いのでセレモニーフロアとは別の幾つかあるフロア内では、大きめのディスプレイに注目している人と、知り合い同士での挨拶や会話を続けている人に分かれている。
そのせいか、人の流れは所々途切れたり、話に夢中な人達の輪もできていたりと、知り合いを見つけては挨拶だけで済む人と話し込む人の差も出来ている。
すると突然、水無瀬が野々宮を置いて早足で歩き出した。
数歩先のところにいた女性に声をかけてるようだった。
突然掛けだしたような動きの水無瀬に驚いて野々宮も慌てて追った。
この人混みではぐれたら、探すのが面倒だと言う感じで。
「御室?おまえこんなところで何してるんだ?」と瑠璃に声を掛けた水無瀬。
人の流れに沿って歩いていた瑠璃の腕を取って流れに乗らない程度の場所にひっぱり出した。
「えっええっ?あっ水無瀬部長」と急に引っ張られて驚きはしたが、すぐに水無瀬部長だと認識して笑顔になった瑠璃。
「おい、水無瀬どこにい」と言ったところで野々宮も追って来て、瑠璃を認識した。
「うわぁ今日はお仕事ですか」と瑠璃は野々宮にも驚き交互に水無瀬と野々宮を見ている。
水無瀬は驚いている瑠璃のつかんだ腕をすぐに離すと、
「野々宮から聞いたぞ、身体はもう大丈夫なのか?」と話しかける水無瀬だが、人の多さに話しもできないとばかり、周りを見渡してどこか場所を探した。
ホールの出入り口に近い一角が空いていると気が付き、あそこなら話ができると水無瀬が思って場所を示して行こうとしたら、
「こっちへ」と水無瀬と入れ替わるように瑠璃の腕を引っ張って行ったのは野々宮だった。
引っ張られていく瑠璃は野々宮の行動に面食らいながらも、
「えっと野々宮部長もいらして、ああ先日は大変ご迷惑おかけしてすみませんでした」と声を発した。
「昨日にはすっかり良くなって、会社に電話したのですがお二方とも会議中とか・・・で、月曜にまたと思って」
野々宮は瑠璃の腕をつかみながら人の流れの本流から抜け出し、立ち止まって話せそうなスペースまで瑠璃を引っ張ってきた。
水無瀬も慌てて付いてくる。
会話のできそうなスペースまで来ると歩みを止めて、瑠璃の片腕をつかんだまま向き直った。
瑠璃は野々宮の勢いで引っ張られながら話して歩いてきたので息が上がって、立ち止まったところではぁはぁと呼吸を整えようとしている。
立ち止まった野々宮は真面目な顔で瑠璃を見ている、息を整えようとしている瑠璃は真之と向き合う様になっていた。
二人の後を追いかけてきた水無瀬は眉間に皺を寄せつつ野々宮の不思議な行動に声をかけた。
「おい、真之、俺を置いて行くな」と掛けられた言葉で、野々宮は瑠璃のつかんだ腕を放し我に返ったような表情をした。
そして、急に顔が火照ったようなのを自覚したのか
「すまん」といって自分の顔を片手で覆った。
瑠璃は何が起きているのかわからないまま水無瀬の方に顔を向けた。
すると水無瀬は、気づいた、わかったと言う顔を表情に浮かべて
「さっきの場所はちょっとうるさくて、ここならま、普通に会話できるって事だな」と言った。
と水無瀬に言われて、瑠璃はやっと呼吸が落ち着いてきたようで
「本当ですね、ここなら良く聞こえて会話がスムーズに出来ますね」と同調した。
野々宮はようやく片手で覆っていた顔から手を離したが、表情に少し照れが残って居るような感じだ。
「いや、すまん碧が」と野々宮が言いかけたところで、音量大きめの音楽が会場に流れ出した・・。
メインフロアに大きな舞台が設営してあり、そこに来賓や有名人にその他の各界の代表などが並び立って居る映像と共にオープニングセレモニーが始まるとアナウンスが入った。
各大小ホールや廊下のそこらかしこに置いてあるディスプレイにメインフロアの映像が写し出されると途端に話声のボリュームが下がり音楽が良く聞こえる様になった。
そのディスプレイに政治家やテレビで見かける有名人が写し出されると途端に歓声が上がったり、また静かになったりするがほとんどの人の視線がディスプレイに注がれていた。
この3人もセレモニーの始めには気を取られたが、瑠璃は碧がと聞こえた続きが気になって、
「碧君がどうしたんですか?」と言って野々宮に一歩近寄った。
「いや、碧は元気だ、ただ君が元気になったか気にしてて、君の方こそ?」と野々宮が言うと。
「あ、はい、もう全然丈夫です、本当に先日はご迷惑をお掛けしまして」と言ったところで瑠璃はマー君を思いだし会社で見かけていたのと違う印象がすると思った。
水無瀬は野々宮を仕方が無いなという顔つきで見ながら、瑠璃に向けて、
「それにしても、御室、この人混みの中大丈夫なのか?」と聞いて来た。
それに答えようと野々宮に近寄り過ぎた瑠璃は水無瀬と野々宮二人を自分の視野に入れる立ち位置まで間を開けた。
「知り合いがここに参加してるので、待ち合わせなんです、でもこんなにすごい人が集まるとは」と話して、この場所は人が少々離れてもなんなく普通のボリュームで会話ができるようだった。
「へぇ、ビジネス関係?それとも?」と水無瀬が聞くと。
「えっと、叔父の」と瑠璃は返事をしようとしたその時。
「るりぃ!?」と大きくはっきりした声がした。
その瞬間、瑠璃はえっとばかりに眉間が寄り、どう反応しようかとしたところで、いつのまにか欧米人で細身の高身長のイケメン金髪碧眼男に背後から抱きつかれていた。
と言うより、身長差がありすぎてそのイケメンが瑠璃の両肩の上に腕を回し、首から上をイケメンの胸板に抱きかかえられる事になっていた。
その付近に居た人達も注目していたディスプレイから目を離し、瑠璃というより金髪碧眼の美しい男の方に一斉に視線を向けた。
「るりぃ、会いたかった」とその金髪碧眼の男はソフトに瑠璃の顔を両腕で大事そうに囲んでいる。
水無瀬と野々宮は、瑠璃を抱き込んでいるその男の顔と瑠璃の顔を交互に視線を向けるばかりになっていた。
イケメンに抱きつかれている御室瑠璃はその場でピクリとも動かず、下向き加減で目はいつの間にか閉じていた。
やっと人物が出そろい始めてと言ったところでしょうか、まだ何人かはこれからですが、
金髪碧眼麗しの君が登場させることができました。
続きも早く作成出来る様にと思っています。




