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暁と宵の星空 ~One star in the Blue Moment~(群青色の空の星)  作者: フニカ


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8/8

2章-3

もっと早くアップ出来るかと思っていましたが、この章はなぜか文章作成に手間取りまして・・・

まあ、自分の未熟さですね(泣)

なので、続きはもっと早くアップ出来ればと思っています。


 

その麗しい顔の金髪碧眼男性は、瑠璃の首元を囲っていた腕を再度、瑠璃の肩と腕周りから包み込むようにして、もう一段階自分の方へと引き寄せた。

 瑠璃を引き寄せることが上手くいったのか、その麗しの男性は瑠璃を抱きしめながら目を細め微笑みを浮かべている。

 この様子を見かけた何人もが、この麗しい金髪碧眼美形男性から目が離せなくなって足を止めている。

 人を魅了するとはこういう場面かと思うほどである。

当の瑠璃は目を閉じていたこともあって、あっという間にその男性に自由を奪われて身動きが取れなくなっていた。

 この男性の行動は、傍目にはこのフロアで久しぶりの知り合いの女性を見つけ、少々驚かせようと後ろからハグをしたと周りに思わせたい様である。

 瑠璃としては、声を掛けられた時から相手が誰であるか気付いたけれど、ここで会うとは全く頭になかったことなので、面食らったと言う事だろうか。

 なので、思い切り顎を引いて俯いたが、後ろから囲まれた時の鎖骨あたりにある美形男性の腕が邪魔で大して下を向けられ無いでいる。

 何かしらの面倒な事に巻き込まれた?と、眉間に皺をよせて目を閉じていた。


 野々宮と水無瀬は最初に瑠璃がハグされた時には、何が起きたのかという表情をのままで固まっていた。

 2度目に瑠璃が美形男性に引き寄せられていった時も、野々宮達はさすがにここは公の場でもあるのですぐに解放されるだろうと思ったが、更に囲われてしまったのをただ見ているだけになってしまった。

 今、目の前でその美形男性は瑠璃をまるで自分の胸にしまい込もうかとするように、瑠璃の頭に自分の頬を寄せて軽くスリスリしている。

 金髪碧眼美形男性のその様子は、瑠璃は私の物だと誰かに見せつけているのではと感じられる。

 そんな風に感じてしまった野々宮は、瑠璃が遠ざかって行くのを見ているだけで、引き止めることが出来なかった自分がふがいないと思えていた。

 ほんの少し前に、野々宮は瑠璃と話しをしようと、比較的空いていたこの場所まで引っ張って来た。

 先日の、会社の廊下で気分を悪くしていた御室瑠璃を副嶋医師の病院まで送って行った、その後の話を聞こうとしたのに。

 ようやく話始めたところで、訳のわからない邪魔が入って距離が空いてしまった。

 近くで向き合って会話していたはずの御室瑠璃が一瞬にして距離を空け、いつの間にか金髪碧眼男性が後ろからとはいえ瑠璃を抱擁している。

 その場から動けずに距離が空いたが、野々宮と水無瀬は瑠璃と金髪男性と真正面に向き合う立ち位置に立っていた。

 そこから野々宮は下向き加減で目を閉じている瑠璃の難しい表情が垣間見えて、先日会社で気を失った時の瑠璃の顔を思い出した。

 病院で点滴を受けていた瑠璃の青白い顔さえ浮かんで来た野々宮だった。


 すると、その麗しい男性が声を上げた。

「るりぃ、会いたかったよ、何年ぶりかなぁ?」と。

 但し瑠璃を抱き締めている腕の力をを緩めること無く。

 瑠璃はそれに答えず(ううう初動を誤った 泣)と思いながら、顎を引いて下向き加減を維持していた。

 最初に抱き付かれた時は緩かったので、その時にしゃがみ込むか、首元の手を払いのけて脱出すればよかったと後悔していた。

 その後、再度抱き引き寄せられた時には、もう逃れられない体勢にされていて、自力で身動きが取れない状態になっていた。

 出来る事といえば下を向くしか無いと顎を引くが、相手の腕が邪魔で中途半端な角度にしか向けないので恥ずかしさが止まらない。

 早く解放されるには、どうしたら良いかと、何かここから逃れる手はないかと、下を向くのに必死になるのを止めて周りの状況を確認しようと頭を上げた。

 薄目を開けて見ると、正面には表情が固まったまま立っている野々宮と水無瀬の姿が見えて来た。

 こんな場所で水無瀬部長と野々宮部長と会う事が出来て、先日のお礼が言えるチャンスとなったのに、自分がらみの変な邪魔が入ったのが申し訳ないと思えてくる。

 今のところ、ここから逃れる方法に繋がる物が見つけられず、そのまま徐々に目を開けて顔を上げて行った。

 少しづつ野々宮達二人の後景に焦点が合ってきて、沢山の人がこちらを向いて居る様子も視界に入って来た。

 瑠璃はその人達が、この麗しい美形男性が次にどう行動するのかという期待のこもった視線を向けているんだと思ったその瞬間。

 瑠璃はこの場所から離れたいと切実に思うと、腕に力をいれた。


 金髪男性から逃れるには自分の腕に力を込めて、鎖骨下にある囲われている男性の腕を広げようと脱出を試みた。

 が、しかし、びくともしない。

 表情を変える事無く瑠璃を抱き留めているこの金髪碧眼男性は、麗しい顔で繊細そうに見えるのだが、細身の割に体幹がしっかりしていて腕力もあって、瑠璃は諦めて力を抜いた。

 それと同時にすぐに下を向き、絞り出すような声で

「リチャード、去年会ってるわ」と瑠璃が言った。

 

 もう一度、瑠璃は二の腕周りを押さえられている男性の腕を振りほどこうと、再度自分の腕に力を入れるが、やはりびくともしない。

 疲れたとばかりに力を抜いたが、今度も顎を引き下を向いた。

(なんでこんな場所で?恥ずかしくて仕方ない!)と腕力で対抗するのを諦めるしか無いのかと考える。

 瑠璃にリチャードと呼ばれた金髪碧眼男性は瑠璃が力を抜いた途端、嬉しそうに

「じゃあ一年ぶりですねぇ、るりぃ、僕を見てください」というと、

「嫌よ」と瑠璃は即答した。

(リチャードの方に向きを変えたら、最悪じゃない、今回は絶対拒否)と瑠璃は何を思い出したのか、下を向いたまま眉間に皺を寄せつつ顔を赤くするという変な表情になっている。

「でもるりぃの顔が見たいですよ」と瑠璃の拒絶さえも楽しんでいるような笑顔で、再度リチャードが言う。

 多分、瑠璃はどう転んで逃げようとしても、抱きかかえる口実を与えるだけになるだろうと、

「だったら、私を放して」と下を向いたまま訴える。

 この美形男性はこの過剰なハグをしても、瑠璃が騒ぎ立てる気が無い事をわかって、わざと大げさな外国人のハグとして周りに見せつけていた。

「せっかく会えたのに淋しいですねぇ」と麗しい男性は残念そうに返事をする。

 顔を見せてくれないなら離さないと言っているように。

 それにこの外国人は誰に突っ込まれてもどうとでも言い訳が出来ると、最初からこれを計算済みでやっているのも瑠璃にはわかっていた。


 ホテルのフロア担当者達も、ここを取り囲むギャラリーが多くて実際何が起きているのかは見えないらしい。

 この会に来ている来客は西洋人も多く、男女の立ち位置が近いしい人達も多数見受けられ、今ここをp取り巻いている人の数が増えているのを注視はしているが、その様子は静かに関心を寄せているだけなので、今のところはトラブルでは無いと判断しているようだ。

 瑠璃としては悔しい気もしながら、頭の中はこの状態から早く抜け出すにどうしたらいいかを改めて考えていた。

 今となってだが、最初の時に靴を踏むか臑にケリを入れれば良かったと、今度があれば必ず実行すると決めた。

 が、今、リチャードに再度引き寄せられた時、両二の腕をリチャードの腕で締め付けて押さえられ、多分身体全体に体重をかけられているので、瑠璃の下半身までも動かしにくくなっている。

 ここで自分が片足でも上げようものならバランスを崩して倒れそうになる、そうしたら多分抱きかかえられるだろうからこの男の思うつぼになる。

 こんなところで抱き上げられたら、もっと恥ずかしくてどうしようも無くなると、何も対処が浮かばない。

(リチャードめ、う~んだからバックから来たのか~)と瑠璃は増えていく周りの注目度には、そろそろ恥ずかしさの限界だと思えてきた。

 それにしても、瑠璃の腕から肩にかけられているリチャードの体重のかけ方にも段々重く負担に感じてきて何処まで持つかと。

 それとは別に、自分の非力差に自由になったら絶対筋力強化始めようと誓った。


 瑠璃がリチャードに捕まってからの時間経過はそれほど過ぎているわけでは無く、この経済会議のセレモニーが始まって10分と経ってはいない。

 セレモニーフロアは音楽や有名政財界人の紹介などのプログラム通りに進んでいって、音量はフロア内によく響いている。

 セレモニーが見たい人はセレモニーフロアでとなり、他フロアにあるディスプレイはその周辺のみに聞こえる位の音量に設定されている。

 交流会を促進するためなので他フロアは来客同士の会話の為のフロアとなっていた。

 セレモニーが始まって以降、他フロアではそれを映すディスプレイの為にフロア内の明かりは明度を下げていた。

 来客同士が会話をするのには相手を比較的見やすいと感じる明るさだが、足元に下がるほど暗めで、移動する人の為の壁際のフットライトの明かりが床に落ちていて暗さを実感する。


 野々宮と水無瀬は、瑠璃と金髪碧眼男性を正面で捉えているのはいいが、相変わらず動けずにいた。

 ただこの周りを取り囲む人は、美形男性に視線集中しているので話声が少ない。

 おかげで瑠璃とその美形男性の会話は野々宮達にも聞こえている。

 野々宮と水無瀬は、最初捕らわれた瑠璃の様子ばかり気になっていたが、瑠璃にとりついている男性の顔に段々思い当たる気がしてきていた。

 そして、瑠璃がその男性の事をリチャードと呼んだ事で、決定的になったと野々宮と水無瀬は二人顔を合わせてうなずいた。

 この金髪碧眼男性は、ここで自分たちが待っていた商談相手だと。

「くっつかれると暑いんだけどリチャード」と瑠璃が言って、もう一度自分の首と肩回りを押さえられている男性の腕をつかんではがそうとする。

 しかし、相変わらず思いっきり力をを入れてもびくともしない。

 が、瑠璃はこのリチャードの腕を剥がそうと腕をつかんでいるのは、傍から見ればどう見られているんだろうと考える。

(私から抱き付いているように見えてたら?)と。


 瑠璃とその金髪碧眼男の二人だけのやりとりが続いている間、野々宮も水無瀬も自分たちのビジネス関係者と確信してどう対応するのが良いのかと、こちらも眉間に皺を寄せる。

 それ以上に、水無瀬は周りに居る人達がこの4人を取り囲むように増えつつあって、金髪碧眼の男性への関心度が上がり始めていることが気になってきた。

 

 水無瀬は仕事相手だと気付いた時から、あまり周りに注目されないうちに何とかしなくてはと、とうとう思い切って声をかけた。

「ミスター レノックスですね、お待ちしておりました、私は野々宮コーポレーショングループの・・」と言いかけると、瑠璃がリチャードと呼んだ男はチラリと水無瀬を一瞥しただけですぐに視線を瑠璃へ戻した。

 すると、水無瀬に返事をするわけでは無く瑠璃の耳元近くで

「るりぃ暑いですか、場所移動しますか?」と優しい声を出す。

 瑠璃は仕事をしていた時と同じ水無瀬の声が聞こえて、顔の赤さは引いたものの、気むずかしい表情のままでリチャードには返事をしない。

(何、リチャードは水無瀬部長と、ううん会社と関係がある?)とは思った。


水無瀬と野々宮はこの会場で待っていたのは、この金髪碧眼のこの男であることは間違いないと、改めて認識した。

 過去に一度会って挨拶程度の面識はあったが、取引関係者としてのビジネスで相対するのは今回が初めてだった。

 それに、このMr.レノックスを今回の取引先担当者として調べられる限り把握してきたが、御室瑠璃がいてこんなシチェーションになるとは思ってもいなかったと。

 ゆえに二人とも面食らってはいるのだが、この場をなんとかしなくてはと思うばかりの水無瀬の話かけも、リチャードの先ほどの強い視線に自分の言葉の続きは途切れてしまった。


 

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