↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
success!  作者: kimberlite
PR
33/34

episode30・3回戦(2)

 中森商業の初回、若菜がマウンドに上がった。彼女の初球はストレート。打者はこれを見送って1ストライク。

 2球目を打って打球は二遊間へ、セカンドがうまく捕球したが、送球が乱れてセーフ。ノーアウトランナー1塁。

「ドンマイ!セカンッ」


 続く打者は送りバントで1アウトランナー2塁、得点圏にランナーを迎えた状態でクリーンナップを迎える若菜は3番打者に四球を与えてしまい、1アウト1、2塁。ネクストサークルからその打者が立ち上がると、球場内に歓声が鳴り、アナウンスが流れる。


「4番、レフト山根くん」

 続く打者、プロ注目のスラッガーで4番、山根幸彦(やまねゆきひこ)。

 グラウンド内には緊張が走った。若菜の初球はストレート。山根はこれを見送って1ストライク。2球目のストレートに対して山根のバットは空を切った。

「……!」

 球場内がどよめく。最後に投じられた若菜のストレートに、山根は……手が出なかった。

「ストライク、バッターアウト!」

 見逃し三振で2アウト。次の打者は柏木が要注意と見ていた打者、本田。


「(監督が要注意といってた打者だね)」

 1年生対決となったこの打席。若菜たち1年生バッテリーは臆することなくストレートから入り、1ナッシング。

 2球目の釣り球となる内角高めを本田は空振りして2ストライク。3球目はアウトコースへ鋭く曲がるスライダー、本田はこれに対応できず、バットは空を切った。

 連続三振でピンチを切り抜けた若菜、喜びを示しながら、ベンチへと帰っていった。


 2回から6回まではお互いにヒットを許さぬ壮絶な投手戦、八代が7回に再びヒットを1本打たれたものの、若菜は6回まで、強力打線で知られる中森商業にノーヒットノーランであった。

 回を追うごとに球場内の不穏な雰囲気は確実に強くなっていき、7回の裏を迎えた。


「はぁ……」

 この回のマウンドに向かう若菜の足取りは心なしか初回より重くなっているようだった。

 ここまでノーヒットノーラン、完璧なピッチングを見せていた若菜だが、強力打線相手には心もとない1点の援護から、若菜はハイペースで飛ばしていた。

 それは中森打線も分かっており、若菜のスタミナが切れる時を待ち続けるかのように粘って球数を投げさせており、すでに前の回で球数が100球へと到達していた。


「確かにいい投手だったが、この辺りで捕まりそうだな」

 中森のベンチで、監督の高橋誠(たかはしまこと)が、若菜の投球を見てそう呟く。

 先頭の3番打者が若菜の甘く入った直球をとらえた。打球は右中間を抜ける2塁打となり、若菜のノーヒットノーランは途切れた。続く打者、山根がバッターボックスへ入る。

「(う、打たれる……!)」

 山根の放つ威圧感に押された若菜はストライクが入らず、四球となってランナー1.2塁、5番の本田がバッターボックスへ入る。

「氷室、よくやったよ。最高の形で楽にしてやる」

 若菜の初球を完璧にとらえた本田の当たりはバックスクリーンへと飛び込んだ。


「そんな……」

 逆転のスリーランホームラン、若菜がマウンドに崩れるなか、大歓声に見送られて本田は悠々とベースを回っていった。

 3-1となったこのタイミングで若菜は降板し、投手は早瀬に交代した。

「氷室、あとは任せてくれ」

 早瀬も若菜に負けじと好投を見せ、7回は無失点に抑えたが、8回に追加点を取られてしまい万事休す。


 4-1。ラムタラ学園の夏は終わった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。