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success!  作者: kimberlite
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episode31・テスト大作戦(1)

「……」

 ベンチに下がった若菜は普段以上に帽子を深くかぶり、誰とも目を合わせないようにしていた。

--私が、もう少し踏ん張っていれば--

 ベンチで悔しそうに右拳を握りしめるが、疲労で握力も落ちており、そのことがなおさら、彼女を悔しくさせた。部員たちもその様子を見ていると、なかなか声がかけられない。


「よく頑張ったけど、やはりチーム力の差をひっくり返すにはいたらなかったか」

 スタンドでは神楽坂が試合を総評する。一般的な目線としては、この試合内容は予想以上の善戦であった。試合が終わって引き上げてくるラムタラナインの、想定外の善戦ぶりはスタンドから生まれる拍手がそれを物語る。

 そんな神楽坂に影山がビデオを片付けながら話しかける。

「いや、神楽坂くん。いいものをみたよ。八代と本田、山根も十分な活躍だったが、氷室も成長次第では……面白いかもしれないな、それでは失礼する」

 影山はそう言って、球場をあとにした。


「試合そのものは悪くなかった。みんな頑張ってくれた」

 柏木は帰りのバスのなか、試合をそうまとめ、ねぎらう。そして、来年への決意を語りはじめる。

「今年は力量のある部員がたくさん入ってくれた。来年以降はもっといいところまでいけるはずだ。だから、また一年間俺についてきてほしい」

 その言葉に部員たちは涙ながらに応える。

「「はい!」」

 バスはそのまま、ラムタラ学園校舎に到着すると、そのまま部員たちは解散した。


「野球部の1年生は至急職員室へ」

 試合の翌日、青山先生の校内放送が入り、若菜、真弓、ケンは職員室へと呼ばれていた。

「お疲れ、といいたいところだが……。分かってるよな?」

「……」

 心当たりしかない若菜たちは言葉少なに頷く。青山が突きつけたのはテストの答案であった。その数値は決して芳しくなく、彼の表情も厳しい。

「大会の時期で、勉強に身が入らなかったのは分かる。だが、夏休みに今以上の野球漬けで、秋以降の勉強に支障が出たら、本末転倒だ」

 青山の発言に若菜たちは当然のごとく押し黙ってしまう。学生の本分は「学びに生きる」と書くように勉強である。学校側としても成績に問題を残す生徒はなるべく減らしたいのが本音だろう。


「中森商業……といったか、昨日の試合を見た学校側はお前たちにかなり期待しているから、夏休みの補習と課題は出来る限り免除させたい方針とのことだ」

 青山の発言を聞いて、さっきまで暗かった若菜たちの表情が一気に明るくなる。しかし、そんな彼女たちに突きつけられたのはプリントの束であった。青山はこう付け加える。

「免除とは言ったけど、夏休みに勉強しなくていいという訳ではないぞ」

 この次の発言、若菜たちはそれに絶句してしまった。


「しょうがないですね、私も手伝います」

 クラスに帰ってきた若菜たちは舞に早速事情を話す。若菜たちは補習と課題を免除されるかわりに一週間後の臨時試験で高得点を出さなければならなくなったのである。舞はあっさり了承。


「でも、舞一人じゃ大変だろうから、もう一人呼んでおくよ」

 しかし、舞一人で三人分の勉強を見るのは大変だろうとのことで、ケンがもう一人呼ぶことを提案する。

「分かりました。明日、勉強会を開きましょう」

 こうして、野球部の夏をかけた勉強会が、舞の家にて開かれることとなった。



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