episode16・サムライ飯(2)
シャワールームの前で服を脱ぐ1人の少女、全体的に筋肉質だが、胸や腰つきなど女性らしさを全く損なわない均整の取れた体つきであった。その少女、若菜は脱いだ服を洗濯機に入れるとシャワールームに入っていく。
それからしばらくして、勢いよく水が流れる音が聞こえてくる。若菜は鼻歌を歌いながら、体や髪を洗い流していた。
達也と柏木が帰ってきた食事の席では、飲み物のオーダーを達也が聞いており、それをメモにとっていた。
「乾杯!」
グラス同士が当たる音が響き、部員たちの夕食が始まる。楽しい雰囲気のなか、部員たちは「サムライ飯」の料理を堪能している。
達也が経営する「サムライ飯」は創作日本料理の店、日本文化を世界に発信するをコンセプトに、日本料理の味を尊重しつつ、日本料理で最大の問題点である塩分過多を抑える健康志向で、国内外で高評価を得ていた。
「あ、若菜おかえり」
食事会も中盤に差し掛かる頃、ついにウエイトレス姿の若菜が戻ってきた。その登場に部員たちのボルテージは最高潮に達する。
「待ってましたー!!」
食事会は最高の盛り上がりを見せていく。大笑いするときもあったり、歌を披露したり、若さとボルテージに導かれるがままにしていけば、勝手に盛り上がるのだ。
「えー、それではこの辺にてお開きにしたいと思います、ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
楽しかった食事会も終わる時間になり、キャプテンの今井が挨拶をしてそれに全員が追随する。
「それじゃあ、明日は疲れをとるために練習は休みにする。各自英気を養って明後日以降からの練習に励んでほしい、解散!」
柏木が今後への練習指示を出し、ついに部員たちは帰路につくことになった。若菜は部員たちを見送って、自室へと戻ると、部屋がノックされる。
「若菜、ありがとうございマス」
部屋を開けた若菜に達也がそういって礼を言う。いくら娘に萌えを求める彼でも、嫌がる中でムードを利用して押し切らせるのはさすがに後ろめたさがあったようで、彼女のパジャマの胸ポケットに札を差し込んだ。
「今日のところハこれで免ジテくだサイ」
達也の言葉に若菜は次回があるのかと思いつつも、やれやれと言う感じでそれを受け取る。それから翌日の身支度を済ませると、彼女は眠りについた。
暦の上ではもうすぐ6月、球児にとってはものすごくうっとうしくもあるが、その後の夏を輝かせるためにはどうしても必要な梅雨の季節がすぐそこに迫っていた。




