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サービス終了したゲーム世界から、元部下たちが現実へ帰ってきた  作者: てへろっぱ


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33/51

第33話 ログアウト中の俺を調べたら、地球で寝ている間だけ異世界で元気だった


《建国王地球語私的備忘録》


《内容――洗剤、乾電池、ゴミ袋、コーヒー等》


 三百年間。


《建国王極秘暗号》


 として研究されていた紙は。


 ただの買い物メモだった。


「これで一件落着」


 俺は思った。


 思っていた。


「如月さん」


 翌日。


 高城さんから。


 連絡が来るまでは。


『追加で分かったことがあります』


「嫌な予感しかしない」


『今回は、買い物内容ではありません』


「じゃあ何」


『紙を書いた時間です』


「時間?」


 政府施設。


 共同研究室。


 画面には。


 三百年前の。


 四枚の紙。


『紙そのものに、アステリア側で作られた時刻記録が残っていました』


「紙に?」


 ノアが。


 アステリア側から通信へ入る。


「王宮用紙には製造魔法印がある」


「何それ」


「紙を作った工房と時期が分かる」


「三百年前から?」


「偽造防止」


「進んでるな」


「今はもっと細かい」


 紙。


 インク。


 保管記録。


 そして。


 王宮勤務日誌。


「照合すると」


 高城さんが言う。


『この四枚を書いた時刻を、かなり狭い範囲まで推定できます』


「どのくらい?」


『二時間以内』


「十分細かい」


 表示。


《地球語私的備忘録・第一紙》


《推定作成時刻――建国暦十年・夜間》


《第二紙――同夜》


《第三紙――翌日未明》


《第四紙――翌日早朝》


「夜中に買い物メモ?」


「陛下」


 リゼル。


「はい」


「この日は」


 王宮夜間日誌。


《建国王レグナ》


《二十一時四十分――寝室へ》


「寝てる?」


「はい」


「紙書けないじゃん」


「ところが」


 高城さん。


 別記録。


《二十三時十二分》


《建国王、起床》


《執務室へ移動》


《紙四枚へ何かを記す》


《二十三時四十九分》


《再び就寝》


「夜中に起きて書いてる」


『はい』


「俺、夢遊病?」


『まだ判断できません』


「地球側は?」


 高城さん。


 画面を切り替える。


『ここからが面白いところです』


     ◇


 七年前。


 地球側。


 俺の生活記録。


「何で残ってるの」


『全部ではありません』


「良かった」


『旧ゲームランチャーの接続記録』


「はい」


『当時使っていたスマートフォンのバックアップ時刻』


「それは俺が提供したやつ?」


『今回、本人同意を頂いた範囲のみです』


「ならいい」


『そして』


 一件。


《午前〇時十四分》


《スマートフォン・充電開始》


「これ?」


『この時刻』


「うん」


『如月さんは、おそらく就寝直前です』


「たぶん」


《午前〇時二十一分》


《画面操作停止》


《午前六時三十八分》


《最初の操作》


「六時間くらい寝てる」


『はい』


「アステリア側は?」


 時間換算。


 特殊。


 一定ではない。


 だが。


 当時の接続揺らぎから。


 対応時間帯を推測できる。


 結果。


『アステリア側のレグナが』


「うん」


『日本語のメモを書いた時間は』


 一度。


『地球側の如月さんが眠っていた時間帯と、ほぼ重なります』


「……」


 ノア。


「やっぱり」


「何が?」


「寝てる時」


 向こうの俺。


「動きやすかった」


     ◇


「待って」


 俺は。


 すぐ聞く。


「今も?」


 重要。


「今、俺が地球で寝たら」


「うん」


「アステリア側に」


「俺がもう一人出る?」


 全員。


 すぐ否定しなかった。


「怖いんだけど!」


「確認する」


 ノア。


「今まで出てない」


「本当に?」


「今の王宮に陛下が増えてたら、とっくに問題になってる」


「それはそう」


 高城さんも。


『現在の接続構造は、当時と大きく違います』


「何が」


『旧ゲームシステムが稼働していた時代は』


 地球側。


 アカウント。


 王権端末。


 アバター。


 アステリア。


 四つ。


 それらを。


 ゲーム会社のシステムが。


 無理やり一つに繋いでいた。


『現在』


「はい」


『旧ゲームサーバーは存在しません』


「うん」


『如月さん自身が世界門の主接続点です』


「じゃあ」


『昔のような、独立したレグナの身体が維持される仕組みはないと考えられます』


「考えられます?」


『確認はします』


「お願いします」


     ◇


 その日の夜。


 まさかの。


《睡眠中レグナ再出現確認試験》


「名前が怖い」


「暫定」


 ノア。


「もっと普通にして」


《睡眠時接続挙動確認》


「それで」


 俺。


 政府医療施設。


 ベッド。


「ただ寝ればいいの?」


 黒田医師。


「はい」


「何時間」


「普段通り」


「試験だからって起こさない?」


「医学的理由がなければ」


「八時間寝ていい?」


「むしろ寝てください」


 ノア。


「七つの基本、四」


「休む」


 もう。


 完全に定着している。


「アステリア側は?」


「旧王城」


「はい」


「帰還樹」


「はい」


「王権施設」


「はい」


「全部観測」


「国民は?」


「何も知らない」


「大騒ぎしない?」


「しない」


 仮に。


 俺そっくりのレグナが。


 突然現れても。


 まず。


 本人確認。


 安全確認。


 勝手に国家元首扱いしない。


「そこまで手順あるの」


「作った」


「準備いいな」


     ◇


 午後十一時。


「じゃあ」


「おやすみなさい」


「おやすみ」


 普通に。


 寝る。


     ◇


 翌朝。


 目を開ける。


「……朝?」


 時計。


 七時十二分。


「八時間以上」


 黒田医師。


「よく眠れていました」


「向こうは?」


 俺。


 起きて最初に聞いた。


 ノア。


 画面。


「陛下、増えてない」


「良かった!」


 本気で。


 安心。


「異常は?」


「なし」


「魂が向こうへ抜けたり」


「なし」


「夢遊病みたいな」


「なし」


「完全に普通?」


「かなり普通」


 黒田医師。


「ただし」


「何」


「睡眠中の世界接続値には、少し変化がありました」


「やっぱり」


 表示。


《覚醒時接続値》


《睡眠時接続値――約一・八倍》


「上がるの!?」


「危険値ではありません」


「何が繋がってる?」


 ノア。


「今は」


 一度。


「身体を作るほどじゃない」


「じゃあ」


「情報だけ」


「夢とか?」


「たぶん」


     ◇


「昨夜」


 黒田医師が尋ねる。


「夢を見ましたか」


「うーん」


 夢。


 覚えている。


「市場」


「どこの?」


「分からない」


 石畳。


 店。


 焼いた何か。


「あと」


「はい」


「リゼルがいた」


 通信画面。


 リゼル。


 固まる。


「何してた?」


「俺に」


 一度。


 思い出す。


「靴履けって怒ってた」


 沈黙。


「何」


 ノア。


 アステリア側の記録を見る。


「昨夜」


「うん」


「リゼル」


「はい」


「王都北門市場の警備確認してた」


「本当に?」


「本当」


 リゼル。


「ただし」


「何」


「私は」


 一度。


「靴を履けとは申しておりません」


「じゃあ夢か」


「ですが」


「うん」


「三百年前には」


 一度。


「何度か申し上げました」


「俺、裸足で歩いてたの?」


「寝室から出てこられた際」


「最悪」


「靴を履いてください、と」


「昔の記憶が混ざった?」


「可能性」


 ノア。


「今の王都映像と」


「うん」


「昔の記憶」


「夢になった」


「たぶん」


 断定。


 しない。


 でも。


 現在も。


 接続は。


 眠っている間。


 少し強くなる。


     ◇


「じゃあ」


 高城さん。


「過去のログアウト中レグナも」


「はい」


「如月さんが地球で眠っている時に、活動が増えていたか」


「調べられる?」


「一部」


 地球側。


 七年前。


 完全な生活記録など。


 ない。


 でも。


 旧ゲーム接続ログ。


 スマホ。


 PC。


 会社の勤怠。


 本人提供分。


 それらから。


 寝ていた可能性が高い時間帯を。


 ある程度。


 推測。


 一方。


 アステリア側。


 王宮勤務日誌。


 異常に。


 細かい。


「俺の人生」


「はい」


「向こうの方が記録されてない?」


 セレフィナ。


《王ですので》


「怖い」


     ◇


 照合。


 三十七件。


《ログアウト中レグナ活動》


 そのうち。


 地球側睡眠時間と。


 重なる可能性が高い。


《三十一件》


「多い」


《不明――五件》


《明確に起きていた可能性が高い――一件》


「一件ある」


 高城さん。


「これです」


《建国暦七年》


《レグナ、王都市場で焼き菓子購入》


「俺が地球で起きてた?」


《地球側》


《勤務日》


《推定午後二時》


「会社いる」


「当時の如月さん」


「はい」


「休憩中だった可能性があります」


「何で?」


 スマホバックアップ。


《十三時五十八分――画面停止》


《十四時十二分――操作再開》


「昼寝?」


「記録だけでは」


「会社で寝てたのかな」


 俺。


 覚えてない。


「十四分」


 ノア。


「地球の陛下、休んだ」


「たぶん」


「向こうの陛下、市場行った」


「連動してる」


 高城さん。


「かなり強い相関です」


     ◇


「つまり」


 俺は。


 ホワイトボードを見る。


「地球側の俺が」


「はい」


「意識を休める」


「はい」


「向こう側へ」


「接続リソースが回る?」


 ノア。


「その言い方が近い」


「PCみたい」


「王権接続自体が、地球のゲームシステム経由だったから」


「変な形になった?」


「たぶん」


 地球側。


 俺。


 起きている。


 仕事。


 生活。


 意識。


 こちらに強い。


 アステリア側。


 レグナ。


 ぼんやり。


 最低限。


 地球側。


 睡眠。


 意識活動。


 弱くなる。


 すると。


 魂接続。


 向こう側へ。


 少し強く出る。


「だから」


 リゼル。


「はい」


「夜の陛下は」


「うん」


「昼より、よく話してくださる日があった」


「そうなの?」


「はい」


「夜型だった?」


「当時は不思議に思っておりました」


 俺。


 地球では。


 寝ている。


 向こうでは。


 少し。


 鮮明になる。


「ややこしい」


     ◇


「セレフィナ」


「はい」


「ログアウト中の俺」


「はい」


「一番違ったことって何?」


 少し。


 考える。


《決断が遅い》


「へえ」


《大きな政策判断を求めても》


「うん」


《専門家へ聞け》


「俺っぽい」


《明日でいい》


「俺っぽい」


《後で》


「俺っぽい」


《という返答が増えました》


「ただの面倒くさがりでは」


《その可能性も》


「否定して」


《できません》


「セレフィナ!」


 一方。


 リゼル。


「私は」


「うん」


「好きでした」


「何が?」


「夜の陛下」


 俺。


 止まる。


「どういう意味」


「普段より」


 一度。


「よく雑談をされました」


「雑談?」


「今日の訓練はどうだった」


「うん」


「食事は食べたか」


「うん」


「眠くないのか」


「……」


 ゲーム中。


 俺は。


 政策。


 戦争。


 資源。


 効率。


 やることがある。


 ログイン時間。


 限られる。


「ログアウト中の方が」


 リゼル。


「陛下は」


「うん」


「王ではない時間が、多かったのかもしれません」


 少し。


 胸に。


 残った。


     ◇


「ミーナは?」


「はい」


「違い」


《夜食の要求が増えました》


「台無し!」


《事実です》


「俺、地球で寝てるのに向こうで腹減るの?」


《よく》


「何食べてた?」


《焼いた肉》


「夜中に」


《パン》


「太る」


《甘い菓子》


「太る!」


《当時の陛下の肉体は》


「うん」


《ほとんど体型が変化しませんでした》


「羨ましい!」


 三百年前の俺。


 ずるい。


     ◇


「ノアは?」


「夜の陛下」


「うん」


「研究室に来る」


「何で」


「暇」


「邪魔」


「かなり」


「ごめん」


「でも」


 一度。


 ノア。


「一緒にいた」


「何を」


「私は研究」


「俺は?」


「椅子に座ってる」


「それだけ?」


「たまに寝る」


「研究室まで行って寝てる!」


「うん」


「迷惑」


「少し」


「追い出せば」


「嫌だった」


「俺が?」


「私が」


 ノア。


 さらっと。


「来なくなる方が」


「……」


「嫌だった」


 それ以上。


 何も言わない。


     ◇


 俺は。


 少し。


 理解した。


 彼女たちが。


 三百年。


 待っていた。


 王。


 レグナ。


 それは。


 ゲーム中の。


 俺が知っている。


 国を操作していた姿だけではない。


 俺の知らない。


 夜。


 食事。


 雑談。


 昼寝。


 研究室で邪魔。


 訓練後のリゼル。


 仕事中のセレフィナ。


 夜食を作るミーナ。


 そういう。


 何でもない時間を。


 向こうの俺は。


 彼女たちと過ごしていた。


「だから」


 俺は。


 小さく言う。


「三百年も覚えてたのかな」


 リゼル。


「三百年程度で」


「うん」


「忘れるほど」


 一度。


 まっすぐ。


「短い時間ではございませんでした」


「重い」


「はい」


 自覚あるんだ。


     ◇


 高城さん。


 研究結果をまとめる。


《ログアウト中レグナ現象・第二次中間報告》


《一》


《当該現象は、地球側如月蓮の睡眠・休息時間と高い相関を示す》


《二》


《活動内容は、主として日常行動》


《三》


《重大な政策・軍事判断は極めて少ない》


《四》


《地球側の短期記憶・生活予定が、アステリア側へ断片的に伝達された痕跡あり》


《五》


《アステリア側経験も、地球側へ夢・既視感として残った可能性》


《六》


《別人格・複製人格を示す証拠は現時点で確認されない》


《七》


《現代では旧アバター自律活動は確認されない》


「七番重要」


「はい」


「俺、増えない」


「増えません」


「たぶんじゃなく?」


「現在の観測範囲では」


「慎重だな」


 でも。


 科学。


 研究。


 そういうもの。


     ◇


 そして。


 王立記録院。


 問題。


「何」


《ログアウト中という語を》


「うん」


《王国史へ、どのように記載するか》


「ログアウトでいいんじゃ」


《王国民には意味が伝わりません》


「じゃあ」


 候補。


《地球側休眠期》


「壮大」


《低接続状態》


「研究用」


《王権微睡期》


「格好良くするな!」


《建国王半覚醒状態》


「病気みたい」


《非顕在接続期》


「分かりづらい」


 俺。


 考える。


「普通に」


 一度。


《地球側でログアウト中だった時期》


「説明付きで」


 セレフィナ。


《最も正確ですね》


「変に伝説化しない」


《承知いたしました》


 もう。


《王権微睡期》


 とか。


 絶対に。


 後世で妙な意味が付く。


     ◇


 その日の夜。


 自宅。


「さて」


 風呂。


 歯磨き。


 ベッド。


 王権端末。


《個人》


「ノア」


『何』


「今日も寝るけど」


『うん』


「向こうで俺が出たら」


『知らせる』


「怖いからやめて」


『出ない』


「たぶん?」


『観測上は』


「研究者だなあ」


 通信。


 切る。


 俺は。


 電気を消す。


 そして。


 ふと。


 思った。


 三百年前。


 地球の俺も。


 毎日。


 こうやって。


 眠っていた。


 その間。


 向こうの俺は。


「肉食いたい」


 とか。


「セレフィナ働きすぎ」


 とか。


「ノアの研究室暇だから行く」


 とか。


 そんなことを言って。


 暮らしていた。


「……そりゃ」


 一度。


「王様っぽくないわ」


 眠る。


     ◇


 翌朝。


 夢。


 覚えていた。


 小さな部屋。


 古い。


 王宮。


 机。


 窓。


 外。


 朝。


 セレフィナ。


 若い。


 今より。


 ずっと。


 まだ。


 肩に力が入っている。


『陛下』


『ん』


『本日の御裁可ですが』


『朝から?』


『既に八件』


『明日にしよう』


『しかし』


『明日でも国はあるだろ』


『……ございます』


『なら寝る』


『陛下』


 そこで。


 目が覚めた。


「……」


 スマホ。


 六時四十分。


「夢」


 たぶん。


 ただの夢。


 でも。


 妙に。


 鮮明。


     ◇


 午前。


 政府施設。


「この会話」


 俺は。


 覚えている範囲で話した。


 セレフィナ。


 完全に。


 止まった。


「ある?」


《……ございます》


「本当に?」


《建国暦六年》


「何月」


 王宮日誌。


《早朝》


《宰相セレフィナ、裁可書類八件を持参》


《建国王》


《明日にしよう》


《宰相》


《しかし》


《建国王》


《明日でも国はあるだろ》


「……」


 俺。


 高城さん。


 ノア。


 リゼル。


 全員。


 画面を見る。


「完全一致?」


 高城さん。


「ほぼ」


「俺」


「はい」


「この記録、昨日見てないよね」


「閲覧履歴上は」


 確認。


「見ていません」


「セレフィナから聞いた?」


《お話ししておりません》


「じゃあ」


 夢。


 アステリア側。


 三百年前の。


 記憶。


「戻ってきた?」


 ノア。


「断定しない」


「分かってる」


 ただ。


 一つ。


 変わった。


 俺は。


 三百年前の。


 知らない自分を。


 記録だけではなく。


 ほんの少し。


 夢として。


 見るようになり始めていた。


     ◇


 でも。


 俺が。


 一番気になったのは。


 そこではなかった。


「セレフィナ」


《はい》


「この時」


《はい》


「結局、八件どうした?」


 セレフィナ。


 目を逸らす。


「まさか」


《翌朝までに》


「全部?」


《処理いたしました》


「俺が明日にしろって言った意味!」


《翌日には回してございます》


「その日のうちにじゃなく翌朝までだろ!」


《はい》


「寝てないだろ!」


《二時間ほど》


「少ない!」


 ノア。


「国家休息基本法違反」


 セレフィナ。


《当時はまだ存在しておりません》


「今なら?」


《違反です》


「良かった」


 俺が。


 七年前。


 地球で寝ている間。


 向こうの俺は。


 三百年前から。


 セレフィナへ。


 休めと言っていた。


 そして。


 三百年後。


 偶然俺が作らせてしまった法律が。


 ようやく。


 彼女を。


 本当に休ませ始めている。


「遠回りすぎる」


 俺が言う。


 セレフィナは。


 少しだけ笑った。


《ですが》


「うん」


《届きました》


 その一言に。


 俺は。


 何も返せなかった。


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