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サービス終了したゲーム世界から、元部下たちが現実へ帰ってきた  作者: てへろっぱ


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2/22

第2話 三百年ぶりの最初の命令

書き直し消去予定


 深夜一時過ぎ。


 賃貸マンションの廊下に開いた光の門。


 その向こうには、白い石造りの広間が広がっていた。


 天井から下がるアステリアの国旗。


 赤い絨毯の両側を埋め尽くす人、人、人。


 一万二千人もの民が、こちらへ向かって跪いている。


 どう考えても、俺の一人暮らし用の部屋へ招き入れられる人数ではなかった。


『レグナ陛下』


 重なった声が、狭い廊下を震わせた。


 直後、隣の部屋から壁を叩く音が響く。


 当然だ。


 午前一時に、一万二千人分の声が聞こえてくれば、誰だって苦情を入れる。


「全員、その場から動くな」


 反射的に声を張った。


 門の向こうが一瞬で静まり返る。


 一万二千人が、まるで時間を止められたように動きを止めた。


 リゼルもすぐに姿勢を正し、胸へ右手を当てる。


「御意」


「声も出さなくていい。とにかく静かにしてくれ」


 リゼルが門の向こうへ振り返った。


 声を出したわけではない。


 片手を上げ、指を僅かに動かしただけだった。


 それだけで、一万二千人の気配が消えた。


 姿は見えている。


 呼吸もしている。


 それなのに、咳払いどころか衣擦れの音すら聞こえない。


 統率が取れているという言葉では足りなかった。


 俺が知っているアステリアの兵士たちも、命令には忠実だった。


 けれど、ここまでではない。


 三百年という時間は、彼らを俺の知らない何かへ変えていた。


「リゼル。この門は閉じられるのか」


 俺が尋ねると、彼女の表情が僅かに曇った。


「閉じることは可能でございます。ただし、再び同じ場所へ接続できる保証がございません」


「開いたまま、小さくすることは?」


「ノアであれば可能かと」


 その名が出た直後、門の向こうで小さな影が立ち上がった。


 床へ届きそうな黒い外套。


 額の両側から伸びた短い角。


 見た目だけなら十五歳ほどにしか見えない少女だった。


 魔導技師ノア。


 俺がゲーム内で建設した魔導研究所の責任者だ。


 技術的な問題が起きるたび、最後には彼女へ丸投げしていた記憶がある。


 ノアは周囲へ目配せすると、一人で光の門をくぐった。


 境界を越えた瞬間、長い外套の裾がマンションの床へ広がる。


 小さな体には不釣り合いな杖。


 顔には何枚もの薄い魔導眼鏡が重なっていた。


 ゲーム時代とほとんど変わっていない。


 だが、俺の姿を見たノアは、その場で固まった。


「ノア?」


 呼びかけると、魔導眼鏡の奥にある紫色の瞳が潤んだ。


 それでも彼女は泣かなかった。


 大きく息を吸い、何度か瞬きをしたあと、深く頭を下げる。


「お久しゅうございます、陛下」


 三百年ぶりの再会にしては短い言葉だった。


 けれど、その声は隠しようがないほど震えていた。


「久しぶりだな」


「はい」


「その……外見は変わってないんだな」


「種族特性です」


 返事の速さまで変わっていなかった。


 少しだけ安心する。


 ノアはすぐに門の周囲を調べ始めた。


 杖の先で床や壁をなぞり、空中に何枚もの光る板を浮かべる。


 見たことのない文字と図形が、板の上を高速で流れていく。


 ゲーム時代には存在しなかった魔法だった。


「どうだ」


「縮小可能です。ただし、完全に閉じることは推奨いたしません」


「理由は?」


「陛下を、再び見失う可能性がございます」


 ノアは作業の手を止めず、淡々と説明した。


 彼女たちは三百年間、俺の行方を探し続けた。


 世界の境界を調べ、異なる空間への干渉方法を研究し、数え切れないほどの失敗を重ねた。


 その末に完成したものが、今開いている門だった。


 だが、接続先はまだ安定していない。


 一度完全に閉じれば、再びこの世界へ到達できる保証はないらしい。


「このままでは困るんだ」


「承知しております」


 ノアが杖を軽く振った。


 廊下を塞いでいた巨大な光の門が、音もなく縮み始める。


 天井近くまであった裂け目は、やがて一般的な玄関扉ほどの大きさになった。


 向こう側にいた一万二千人の姿も見えなくなり、代わりに王城の壁だけが映る。


「この状態で維持します」


「ずっと開けておけるのか」


「こちらの世界に存在する力を利用できれば、問題ございません」


 ノアの視線が、廊下の天井へ向いた。


 正確には、照明を見ている。


「電気か?」


「その名称は存じません。ただ、建物全体に弱い雷の力が流れております」


 嫌な予感がした。


「まさか、もう使ってないよな」


「接続済みです」


 玄関の内側から、電子レンジが停止する音が聞こえた。


 続いて照明が消える。


 冷蔵庫の動作音まで途切れ、部屋が暗闇に包まれた。


「ノア」


「はい」


「戻せ」


「しかし、門の維持が」


「今すぐ戻せ」


 ノアは不満そうに唇を尖らせた。


 その表情だけは、三百年前と何も変わっていない。


 杖を動かすと、部屋の照明が戻った。


 同時に、光の門が僅かに揺らぐ。


「危険はございません」


「そういう問題じゃない。勝手に電気を使ったら、料金を請求されるのは俺なんだ」


「料金」


 ノアが聞き慣れない言葉を確かめるように繰り返した。


「この力は、陛下へ献上されているものではないのですか」


「違う。この部屋で使った分を、毎月俺が払ってる」


「建物そのものも、陛下の所有物ではないのでしょうか」


「借りてるだけだ」


 ノアが部屋の中を見回す。


 狭い玄関。


 靴が二足だけ入った下駄箱。


 奥に見える六畳ほどの居間。


 彼女の眉間に、深い皺が寄った。


「陛下が、他者の所有する建物の一室を借りて生活しておられるのですか」


「普通の会社員だからな」


「会社員とは」


「会社っていう組織に雇われて、働いた分の給料をもらって暮らす人間だ」


 リゼルとノアが顔を見合わせた。


 二人とも何か言いたそうだったが、すぐに表情を戻した。


 納得してくれたらしい。


 少なくとも、この時の俺はそう思っていた。


「とにかく、ここで話し続けるのはまずい。二人とも部屋へ入ってくれ」


 リゼルとノアを室内へ入れ、玄関の扉を閉める。


 光の門も、ノアの術で居間の壁際へ移された。


 数メートル程度であれば、接続を保ったまま動かせるらしい。


 白い壁の前に、縦長の光が浮かぶ。


 向こう側から、誰かが何度もこちらを覗いていた。


 獣人の耳が現れたと思えば、すぐに引っ込む。


 次は緑色の髪が見え、また消えた。


 一万二千人全員が、門の向こうで待っている。


 そう考えるだけで落ち着かなかった。


 リゼルは部屋へ入るなり、生活環境を確認し始めた。


 窓。


 玄関。


 台所。


 風呂場。


 収納。


 一通り見終わった頃には、顔から表情が消えていた。


「陛下」


「何だ」


「この部屋には、護衛の待機場所がございません」


「護衛はいらない」


「寝室と執務室が同じ場所にございます」


「一人暮らしなら普通だ」


「調理場も狭く、食料の備蓄場所も見当たりません」


「冷蔵庫がある」


 リゼルが冷蔵庫を見る。


 白い箱の前に立ち、警戒するように剣の柄へ手を添えた。


「こちらが備蓄庫ですか」


「武器から手を離せ。ただの冷蔵庫だ」


 扉を開ける。


 中に入っているのは、ペットボトルの水、卵、調味料、昨日買った総菜。


 リゼルは無言になった。


 国王の食料庫としては少なすぎると思ったのだろう。


「今日は買い物へ行っていないだけだ」


「陛下」


「普段から、大体こんな感じだけど問題なく暮らしてる」


 リゼルの目が更に険しくなった。


 余計なことを言った気がする。


 ノアは居間の中央へ座り込み、門を維持する術式を組み直していた。


 床に光る文字が広がっている。


 賃貸物件の床へ焦げ跡が残らないか不安になる。


「ノア。それ、床は大丈夫なんだろうな」


「物理的な損傷はございません」


「ならいい」


「ただし、周辺空間へ多少の歪みが発生します」


「よくない」


 ノアは杖を止めた。


 詳しく聞くと、近くに置かれた物が数センチほど移動したり、稀に別の場所へ転移したりする程度らしい。


 程度ではない。


 隣人の部屋へ俺の家具が現れたら、大問題になる。


「空間の歪みもなくしてくれ」


「条件が多すぎます」


「こっちの世界では、それが普通なんだ」


 ノアは納得していない顔をしながら、術式を作り直した。


 リゼルもようやく冷蔵庫から離れ、居間へ戻ってくる。


 その動きが僅かに不自然だった。


 右腕をかばっている。


「リゼル。その怪我を見せてくれ」


「問題ございません」


「さっきから、ずっと腕をかばっているだろ」


 リゼルは従おうとしなかった。


 視線を逸らし、傷のある腕を背後へ隠す。


 俺が近づくと、ようやく諦めたように腕を差し出した。


 包帯は血で固まっている。


 外そうとしても、布が傷口へ張りついて剥がれない。


「これ、いつの怪我だ」


「門を開く直前です」


「戦ったのか」


「大した相手ではございません」


 その言い方は、明らかに何かを隠している。


 包帯を少しずつ剥がす。


 現れた傷は、思っていたより深かった。


 二の腕から手首近くまで、何かに切り裂かれた痕が続いている。


「治療はできないのか」


「治癒術を受ければ、すぐに塞がります」


「だったら、どうしてそのままなんだ」


 リゼルは少し黙ったあと、最初に門を越えられる人数が一人に限られていたのだと説明した。


 治癒術師を同行させれば、門が不安定になる可能性があった。


 だから、傷を負ったまま一人で来た。


「怪我をした状態で?」


「陛下をお迎えすることが、最優先でした」


 腹が立った。


 誰に対してなのか、自分でも分からない。


 三百年も待たせた自分か。


 怪我を隠して平然としているリゼルか。


 彼女にそんな無茶をさせた状況か。


「俺が最後に何と言ったか、覚えているか」


「もちろんでございます」


「自分たちのために生きろと言ったはずだ」


 リゼルが俯く。


「俺を迎えるために、自分の命を粗末にするな」


「命を粗末にしたつもりはございません」


「俺から見れば同じだ」


 少し強く言いすぎた。


 リゼルの肩が僅かに揺れた。


 三百年ぶりに再会した相手へ、最初にする話ではないのかもしれない。


 それでも、ここだけは曖昧にしたくなかった。


「国を守れとも、俺を探せとも命令していない。お前たちが自分の意志でここまで来てくれたことは嬉しい。でも、そのために誰かが死ぬのは違う」


 リゼルはしばらく黙っていた。


 やがて胸へ右手を当てる。


「申し訳ございません」


「謝ってほしいわけじゃない。次から気をつけてくれ」


「御意」


 その返事を聞き、救急箱を取りに立ち上がった。


 当然ながら、異世界人の傷をどう治療すればいいのか分からない。


 中に入っているのは、消毒液とガーゼ程度だ。


 それでも、何もしないよりはましだった。


 救急箱を持って戻ると、光の門から白い腕が伸びていた。


 続いて長い緑色の髪が現れる。


 一人の女性が、門を潜って部屋へ入ってきた。


 深緑の長衣を身にまとった、細身のエルフ。


 宰相セレフィナだった。


 ゲーム時代と比べ、外見にほとんど変化はない。


 長命種である彼女も、三百年を生き延びたらしい。


「ノア」


 セレフィナは部屋へ入るなり、床に座っている少女を見下ろした。


「陛下の許可なく、通過人数を増やしましたね」


「緊急事態です」


「どこが緊急事態なのですか」


「リゼルが陛下に叱られています」


 どうやら、門の向こうへ会話が筒抜けらしい。


 セレフィナは小さく息を吐き、俺の前で深く頭を下げた。


「御前へ馳せ参じる許可を得ず、申し訳ございません」


「もう来てしまったものは仕方ない。久しぶりだな、セレフィナ」


 彼女が顔を上げる。


 ゲーム時代と同じ、穏やかな表情。


 だが、その目は赤かった。


「はい。三百年ぶりに、陛下の御尊顔を拝することが叶いました」


 セレフィナはそれ以上、何も言わなかった。


 すぐにリゼルの隣へ膝をつき、傷口へ手をかざす。


 淡い緑色の光が広がった。


 深く裂けていた傷が、ゆっくり塞がっていく。


 数十秒もすると、血の跡だけを残して傷は完全に消えていた。


「すごいな」


「この程度の治癒術であれば、私でも扱えます」


「宰相だったよな?」


「三百年もあれば、多少の心得は身につきます」


 その三百年がどれほどの時間だったのか、俺には想像もできない。


 ゲーム時代のセレフィナは、戦闘能力をほとんど持たない文官だった。


 今では、深い傷を一瞬で治療できる。


 リゼルも、俺が知っていた頃より遥かに強くなっているはずだ。


 国も。


 技術も。


 そこに暮らす者たちも。


 俺がいない三百年の間に、大きく変わっていた。


 治療を終えたセレフィナは、部屋の中へ視線を巡らせた。


 狭い居間。


 壁際に置かれた仕事用の鞄。


 テーブルの上に放置された社員証。


 棚の端に置かれた公共料金の請求書。


 一つひとつを確認するように目を動かし、最後に俺へ向き直る。


「陛下はこちらの世界では、どのようなお立場なのでしょうか」


「さっき説明した通り、普通の会社員だよ」


「こちらの札に記された組織へ所属しておられるのですか」


 セレフィナが、テーブルの上にある社員証へ目を向ける。


「ああ。平日はそこへ働きに行ってる」


「陛下を雇用している者が存在するのですね」


「そういう言い方をされると妙だけど、普通のことだ」


 セレフィナは小さく頷いた。


 次に、棚の上に置かれた賃貸契約書の封筒へ視線を移す。


「この住居を所有する者も、別に存在していると」


「大家がいる。不動産会社が管理してるけどな」


「承知いたしました」


 ただ確認しただけらしい。


 それ以上、セレフィナが追及することはなかった。


 リゼルとノアも黙っている。


 三人とも、この世界の仕組みを理解しようとしているのだろう。


 俺は深く考えなかった。


「それより、アステリアは今どうなっている」


 問いかけると、部屋の空気が僅かに変わった。


 セレフィナはすぐには答えなかった。


 リゼルとノアが、同時に彼女へ視線を向ける。


 三人の反応だけで分かった。


 何も問題がないわけではない。


「隠さず話してくれ」


「陛下をお迎えしたばかりです。まずは御身体を休めていただくべきかと」


「俺は七年しか経っていない。三百年待ったのはそっちだろ」


 セレフィナの表情が僅かに揺れる。


「何が起きている」


 しばらくの沈黙のあと、彼女は静かに口を開いた。


「アステリアは現在、大陸最大の国家となっております」


 それ自体は悪い話に聞こえなかった。


 だが、セレフィナの表情は硬い。


「人口は?」


「国内におよそ一億八千万人。属領と保護地域を含めれば、三億を超えます」


「一億?」


 ゲーム時代の人口は十万人だった。


 三百年で千倍以上に増えている。


 先ほどの一万二千人が、僅かな先遣隊にすぎないという意味がようやく分かった。


「待ってくれ。さっきリゼルは、全員で俺のところへ来ると言っていたよな」


 俺の問いかけに、リゼルが頷いた。


「はい」


「三億人で?」


「国民の大半が、陛下のお迎えを望んでおります」


「無理だ」


 考えるまでもなかった。


 三億人どころか、一万二千人でも現実世界へ入れる場所はない。


 戸籍もない。


 住居もない。


 食料も仕事もない。


 そもそもエルフや獣人、魔族が突然現れたら、世界中が大混乱になる。


「全員で来る計画は、一度止めてくれ」


 三人の顔が固まった。


「しかし、陛下」


「状況を整理する必要がある。こっちの世界には、こっちの法律や仕組みがあるんだ」


 リゼルが何かを言いかける。


 俺はその前に続けた。


「これは、三百年ぶりの俺からの命令だ」


 部屋の空気が変わった。


 リゼルが片膝をつく。


 セレフィナも続いた。


 ノアは床に座ったままだったが、杖を横へ置いて頭を下げる。


 光の門の向こう側でも、無数の人影が一斉に跪いた。


「現実世界へ渡る者は、俺の許可を得ること。アステリアに残る者の生活を優先しろ。俺を迎えるために、国も民も捨てるな」


 誰も言葉を発しない。


 三百年間待ち続けた者たちへ、また待てと命じている。


 そう考えると胸が痛んだ。


 それでも、今ここで止めなければならない。


「俺は逃げない」


 リゼルが顔を上げた。


「門がある限り、急にいなくなったりはしない。だから焦らなくていい」


 七年前。


 俺は何も知らず、一方的に彼らの前から消えた。


 今度は違う。


「お前たちが三百年間守ってきたものを、俺を理由に壊すな」


 長い沈黙が続いた。


 最初に頭を下げたのは、リゼルだった。


「御意」


 セレフィナとノアも、それに続く。


 門の向こう側からも、低く重なった声が届いた。


 その瞬間。


 棚の上に置いていた金属製の指輪が、淡い光を放った。


 サービス終了記念として送られてきた、アステリアの国章入りの指輪。


 七年間、一度も反応したことなどない。


 俺は箱から指輪を取り出した。


 中央に刻まれた国章が、赤く輝いている。


「ノア、これは何だ」


「分かりません」


 ノアが立ち上がり、指輪を覗き込む。


 リゼルが持つ《主従の銀環》も、同じ光を放っていた。


 二つの指輪が、共鳴するように明滅する。


 やがて、俺の指輪の上に小さな文字が浮かび上がった。


《領主権限の再接続を確認》


 日本語だった。


 俺にしか読めないはずの文字。


 続けて、もう一つの表示が現れる。


《アステリア統治機構を再起動します》


 部屋にいる三人には、意味が分かっていない。


 俺だけが、表示を見つめていた。


 その背後で、セレフィナが僅かに指を動かす。


 門の向こうに立っていた文官が、一度だけ頭を下げた。


 リゼルが社員証へ視線を送り、ノアが棚の上に置かれた封筒の文字を魔導眼鏡へ記録する。


 俺はその動きに気づかなかった。


 新たな表示が浮かび上がっていたからだ。


《緊急統治案件が一件あります》


《王都防衛結界の残存時間――七十二時間》


 三百年ぶりに戻ってきた俺を待っていたのは、臣下たちの歓迎だけではなかった。


 アステリアは今も、滅びかけていた。


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