第15話 二つ目の接続点を調べたら、七年前のパソコンが見つかった
《エルグランド・サーガ接続形式》
ノアが表示した文字を見て。
俺は、しばらく言葉を失った。
サービス終了したゲーム。
《エルグランド・サーガ》。
その接続形式と似た反応が。
地震の瞬間。
俺から何百キロも離れた場所で確認された。
「別のプレイヤーがいるのか」
「分からない」
ノアは即答した。
「魂の反応までは取れてない」
「俺の門とは違う?」
「弱い。すぐ消えた」
画面には。
俺の身体とアステリアを繋ぐ太い線。
そして。
遠く離れた場所に、一瞬だけ現れた小さな赤い点。
「地震で門が開きかけた可能性は?」
「ある」
「その向こう側は?」
「アステリアじゃない」
ノアが画面を操作する。
「少なくとも、今の王国領内には繋がってない」
「別の国?」
「それも分からない」
ゲーム時代。
《エルグランド・サーガ》には。
俺以外にも多くのプレイヤーがいた。
自分の国を作り。
都市を育て。
NPCを仲間にし。
同盟を組み。
時には争った。
俺が育てたアステリアが。
本当に存在した世界だったのなら。
他のプレイヤーが築いた国も。
同じように存在していた可能性がある。
「すぐ調べます」
リゼルが立ち上がる。
「王国偵察局より、追跡に長けた者を二百名ほど」
「送らない」
「では百名」
「人数の交渉じゃない」
「地球側の反応地点を確認しなければ」
「日本国内だ」
勝手に人を送る。
魔法で調べる。
それは。
せっかく作り始めた地球側との信頼を、一度で壊す行為になる。
「政府側で確認します」
水城さんが言う。
「まず、反応地点がどのような場所か。公開されている情報の範囲で調べます」
「公開情報だけ?」
「はい」
「建物の中へ入ったりは」
「正当な理由と所有者の許可が必要です」
ノアが。
少し不満そうに画面を見る。
「魔力だけなら、遠くから調べられる」
「無断では駄目」
「地球側の人には何も見えない」
「見えないからやっていいわけじゃない」
「でも、危険な門だったら?」
それは。
俺も心配だった。
別の異世界から。
危険なものが出てくる可能性。
俺のように。
誰かが突然、元部下たちと再会するだけならいい。
だが。
向こう側が。
今も平和だという保証はない。
「周辺に危険があるかどうかは、日本側で確認します」
アルノルトが答えた。
「ノア殿は、政府から要請を受けた範囲のみ解析を」
「時間が掛かる」
「規則を破り、調査そのものを中止されるより早い」
アルノルトは。
既に地球側のやり方を理解している。
「ノア」
俺も言う。
「今は待ってくれ」
「陛下が言うなら」
「如月さん」
「今は勤務時間外」
「では、陛下」
ノアは。
大人しく画面を閉じた。
「でも、もう一回反応したら?」
「その時は記録だけ」
「追跡は?」
「水城さんへ確認」
ノアが水城さんを見る。
「自動で反応位置と強さだけ記録する装置なら、使用を認めます」
「地球側を調べる魔法は使わない?」
「接続反応そのものだけ」
「個人や建物の内部情報は取得しない?」
「取らない」
「では、その条件で」
正式な許可が出る。
ノアの角が。
僅かに光った。
「設置した」
「早い」
「許可を待ってた」
以前なら。
先に設置してから報告していた。
本当に。
少しずつ変わっている。
◇
地震発生から二時間後。
政府側の調査結果が届いた。
「反応地点は、地方都市の郊外です」
水城さんが地図を表示する。
住宅街から少し離れた場所。
大きな道路。
倉庫。
小さな工場。
商業施設。
「現在は、電子機器の保管と再資源化を行う企業が使用しています」
「電子機器?」
「中古パソコンや家電を回収し、再利用可能な部品を選別する会社です」
「ゲームの接続反応と関係ある?」
「まだ分かりません」
施設の所有者。
運営会社。
過去の利用状況。
公開情報の範囲で確認される。
「以前は、インターネットカフェだったようです」
水城さんが続けた。
「閉店したのは、八年前」
「八年前?」
「その後、建物と残された設備を現在の会社が取得しています」
インターネットカフェ。
古いパソコン。
ゲーム。
嫌なほど。
話が繋がって見える。
「店の名前は?」
《ネットカフェ・ナイトアウル中央店》
俺は。
表示された名前を見た。
「知ってる」
全員が俺を見る。
「行ったことがあるんですか」
「一度だけ」
正確には。
二度だったかもしれない。
七年以上前。
《エルグランド・サーガ》を遊んでいた頃。
会社の研修で。
数日間、その都市へ行ったことがある。
「その時」
俺は記憶を探る。
「アステリアで、襲撃イベントがあった」
「襲撃」
リゼルの表情が変わる。
「どの戦いでしょうか」
「ゲームでは、《黒月獣群迎撃戦》って名前だった」
「建国暦二十七年」
リゼルが即答した。
「北方より魔獣が侵入し、陛下御自身が防衛指揮を執られた戦いです」
「そう、それ」
俺にとっては。
期間限定の防衛イベント。
リゼルたちにとっては。
本当に起きた戦争だった。
「研修先のホテルの回線が、ゲームを止めてて」
「それで、ネットカフェに?」
「ああ」
夜。
店へ入り。
空いていたパソコンからゲームへ接続した。
「陛下は」
リゼルが。
静かな声で尋ねる。
「地球側の御仕事で遠方へ赴かれている最中も、我々のために戦ってくださったのですか」
「イベント報酬が欲しかっただけだけど」
「御謙遜を」
「本当に」
その時は。
魔獣に襲われる都市も。
守っている兵士も。
全部データだと思っていた。
「どの端末を使ったか、覚えていますか」
水城さんが尋ねる。
「番号までは」
「店内配置などは」
「七年以上前ですよ」
だが。
場所そのものには覚えがある。
窓のない個室。
黒い壁。
古い椅子。
店の奥。
受付から見て左側。
「たぶん、奥の方です」
「如月さんが使用した端末に、接続の痕跡が残っている可能性があります」
ノアが。
再び画面を開く。
「ある」
「分かるのか」
「陛下が、ゲームへ接続した端末には魂座標が残る」
「ログイン情報みたいなもの?」
「近い」
普通のゲームなら。
アカウント名。
パスワード。
端末情報。
接続履歴。
だが。
《エルグランド・サーガ》は。
現実の異世界へ繋がっていた。
ログインした機械に。
目には見えない接続痕跡が残っていても、おかしくない。
「どうして、今まで反応しなかった」
「電源が入ってなかった」
「地震で入った?」
「停電して、復旧した時に何か動いた可能性がある」
水城さんが。
施設の運営会社から届いた情報を確認する。
「地震の直後、倉庫内の非常用電源が一度作動しています」
「古いパソコンにも電気が?」
「一部の保管区域で、誤って通電した可能性があるそうです」
偶然。
地震。
停電。
非常用電源。
七年前に俺がログインしたパソコン。
それらが重なり。
眠っていた接続痕跡が、一瞬だけ動いた。
「施設側には?」
「既に連絡しました」
「異世界の門があるかも、って?」
「地震後に、保管されている電子機器から異常な信号が確認された可能性があると」
「嘘ではないけど」
「無用な混乱を避けるためです」
施設の所有者は。
政府による安全確認へ協力すると答えた。
「現地へ行く人は?」
「電気設備の専門家。警察。自治体職員。政府の技術担当者」
「アステリア側は」
「現時点では行きません」
水城さんが。
はっきり答える。
「ノアさんには、遠隔で必要な助言をお願いします」
「現物を見たい」
「日本側が安全を確認した後です」
「触っても?」
「所有者の許可を得た場合に限ります」
「分かった」
以前なら。
瞬間移動で現地へ行っていたかもしれない。
今回は。
待った。
◇
最初の現地確認は。
日本側の担当者だけで行われた。
俺たちは。
政府施設で映像を見ている。
大きな倉庫。
棚に積まれたパソコン。
モニター。
部品。
ケーブル。
閉店した店舗から引き取られた機器だけでなく。
企業や個人から回収した物も多い。
「ナイトアウル中央店の機器は、どの区域ですか」
現地の担当者が尋ねる。
『第三保管棟です』
会社側の責任者が案内する。
『まだ一部が未処理のまま残っています』
「八年間も?」
『所有権の整理や、データ消去の確認に時間が掛かった物です』
顧客が使用したパソコン。
個人情報。
契約。
簡単に廃棄できない事情があったらしい。
『こちらです』
金属製の扉。
鍵を開ける。
中には。
何十台もの古いパソコンが並んでいた。
埃。
外されたケーブル。
番号が書かれたシール。
「ノア」
「見てる」
「分かる?」
「映像だけじゃ無理」
ノアが。
画面へ近づく。
「魔力を流せば」
「まだ駄目」
「分かってる」
現地担当者が。
一台ずつ。
機器の番号を確認する。
ネットカフェの店内図も残っていた。
「如月さん」
水城さんが尋ねる。
「使用した席の位置を、できる範囲で」
「受付から見て、左奥」
店内図を見る。
個室が並ぶ。
左奥。
喫煙席。
禁煙席。
シャワー。
ドリンクバー。
「喫煙席ではない」
「当時から?」
「吸わないので」
「では、この区画ですね」
候補は。
十二台。
「一台ずつ通電しますか」
現地の技術者が尋ねる。
「いきなり電源は入れません」
政府担当者が答える。
「まず外部検査を」
発熱。
バッテリー。
電源装置。
破損。
危険がないか調べる。
次に。
電源を繋がず。
内部の記憶装置を確認する。
「所有者の許可は?」
「確認済みです」
「保存データは?」
「内容へはアクセスしません」
個人情報が残っている可能性がある。
異世界の調査だからと。
勝手に中身を読むわけではない。
「ノアさん」
水城さんが言う。
「機器内部の情報を読み取らず、接続反応だけ確認することはできますか」
「できる」
「遠隔で?」
「小さな測定具を置けば」
「地球側へ持ち込めますか」
「危険はない」
「検査を受けた物を一つだけ」
「分かった」
王城側から。
小さな透明な結晶が一つ。
正式な通関。
物品申告。
魔力検査。
日本側の確認。
全てを経て。
現地へ送られた。
以前なら。
ノアが勝手に百個ほど送り。
倉庫全体を一瞬で調べていただろう。
今日は。
一個だけだった。
◇
測定具が。
一台目のパソコンへ近づけられる。
「反応なし」
二台目。
「なし」
三台目。
四台目。
五台目。
何も起きない。
「本当に、この区画ですか」
「覚えてる範囲では」
七年以上前。
自信はない。
「六台目」
結晶が。
僅かに光った。
「待って」
ノアが身を乗り出す。
「反応した?」
「弱い」
現地担当者が。
結晶を離す。
光が消える。
近づける。
再び光る。
「これ」
古い黒色のデスクトップパソコン。
前面には。
ネットカフェ時代の資産番号。
《NA―C―047》
「四十七番」
店内図を見る。
俺が覚えていた席より。
二つ隣だった。
「使ったかもしれない」
「この機器で間違いない?」
「魂座標は陛下と同じ」
ノアが答える。
「別のプレイヤーではありません」
全員から。
小さく息を吐く音が聞こえた。
少なくとも。
この反応は。
別の元プレイヤーの門ではなかった。
「俺の接続痕跡?」
「そう」
「どうして、アステリアじゃないって」
「今は繋がってないから」
「痕跡だけ?」
「門の入口だった跡」
七年前。
俺は。
このパソコンからアステリアへ接続した。
ほんの数時間。
それでも。
端末には。
俺と異世界を繋いだ痕跡が残った。
「危険は?」
「今のままならない」
「電源を入れたら?」
「分からない」
正直だった。
「施設から移動できますか」
水城さんが尋ねる。
「所有者からは、政府の研究施設への搬送許可が出ています」
「記憶装置の内容は」
「司法および個人情報担当者と協議します」
俺が使った可能性は高い。
それでも。
その前後に。
別の客も使っている。
勝手に中を見ることはできない。
「俺のゲームデータだけ確認することは?」
「技術的に分離可能か調べます」
「ノアは?」
「接続痕跡だけなら見られる」
「中のファイルは読まない?」
「読まない」
「なら、お願い」
正式な許可が出る。
パソコンは。
厳重に梱包され。
政府の研究施設へ運ばれることになった。
◇
翌日。
俺たちは。
再び医療研究施設とは別の、技術検証室へ集まっていた。
中央の台。
七年以上前のパソコン。
外部ネットワークとは繋がっていない。
記憶装置の内容も。
まだ開いていない。
「まず、電源を入れずに接続痕跡を調べます」
ノアが説明する。
「パソコン自体へ魔力は流さない」
「壊れない?」
「触れない」
周囲へ。
小さな結晶を四つ置く。
地球側の研究者たちが。
電磁波。
電圧。
熱。
未知の反応。
全てを記録する。
「開始」
ノアの角が光る。
結晶の間に。
薄い赤い線が浮かぶ。
パソコンの内部。
正確には。
機械と重なるような位置に。
小さな門の形が現れた。
「俺の部屋の門と同じ?」
「もっと古い」
「古い?」
「七年前に一度開いて、閉じたまま」
ノアが。
赤い線を拡大する。
その中へ。
複数の情報が浮かぶ。
《接続所有者――レグナ》
《接続世界――エルグランド》
《接続領域――アステリア》
《端末登録――有効》
「まだ有効なのか」
「サービス終了しても、魂座標は消えない」
地球側のゲーム会社は。
サーバーを止めた。
クライアントも使えなくなった。
それでも。
本当の異世界との接続情報は。
端末の中に残っていた。
「地震の時、何が起きた」
「非常用電源で、端末が一瞬起動した」
「それだけで?」
「陛下の本門が開いてたから」
俺のマンション。
安定した世界間転移門。
そこから流れた力が。
七年前に使った別の端末へ届いた。
「同じアカウントだから、反応した?」
「そう」
「では、他のパソコンも」
「陛下がログインした端末なら」
俺は。
自分がゲームへ接続した場所を思い出す。
自宅のパソコン。
壊れて買い替える前の古いパソコン。
このネットカフェ。
それと。
「他にもあるかもしれない」
「何台?」
「正確には」
七年間。
いや。
ゲームを遊んでいた期間は、それより長い。
「ノア」
「何」
「この端末に、他の登録数は残ってる?」
「調べる」
赤い線の内部へ。
新しい情報が浮かぶ。
《王権接続端末》
《登録数――三》
「三台」
自宅の現在のパソコンではない。
世界間転移門が開いたのは。
ゲームサービス終了時に使っていた端末と。
俺の魂そのものが繋がったから。
「一台目は?」
《主登録端末――状態不明》
「サービス終了時に使ってたパソコンだ」
七年前。
その後。
故障して処分した。
「どこへ捨てた?」
「家電回収」
「追跡できる?」
「七年前の記録が残っていれば」
水城さんが担当者へ指示する。
「二台目は、このパソコン?」
《副登録端末一――現在確認》
「そう」
「三台目は?」
《副登録端末二――状態不明》
俺は。
記憶を探る。
「他の場所で遊んだことは?」
水城さんが尋ねる。
「たぶん」
友人の家。
会社。
実家。
だが。
会社のパソコンへゲームを入れるようなことはしていない。
「ノートパソコンは?」
「持ってなかった」
「別のネットカフェ?」
「一度くらいは、あったかもしれない」
長く遊んだゲームだ。
細かいことまでは覚えていない。
「端末の場所は分からない?」
ノアが首を横へ振る。
「電源が入らないと」
「地震のようなことが起きれば、また反応する?」
「本門が強く動けば」
次の地震。
大規模な停電。
世界間転移門の変化。
その時。
三台目が。
どこかで動くかもしれない。
「この端末を起動すれば、何が起きる」
俺は。
目の前の古いパソコンを見る。
「弱い門になる可能性がある」
「どこへ繋がる?」
「アステリア」
「俺のマンション以外に、第二の出口が?」
「調整すれば」
政府側の研究者たちが。
一斉に反応する。
「マンション以外に、管理可能な門を作れる?」
「この端末が壊れてなければ」
今の門は。
俺の自宅へ固定されている。
住民。
管理会社。
周辺地域。
多くの人へ負担を掛けている。
もし。
政府施設の中へ。
正式に管理された第二の門を作れるなら。
マンションの門を。
日常的な通行に使わずに済むかもしれない。
「起動試験を行いたい」
研究者の一人が言う。
「待ってください」
水城さんが止める。
「何が起きるか分かりません」
「外部ネットワークから完全に切り離し」
「異世界との接続は、ネットワーク回線に依存していません」
普通のパソコンとは違う。
「ノアさん」
「何」
「安全に起動できますか」
「準備すれば」
「どれくらい必要ですか」
「アステリア時間で三日」
地球側では。
数時間ほど。
「では、今日は準備だけ」
「電源を入れない?」
「はい」
以前なら。
俺も。
すぐ起動して確かめたいと思っていたかもしれない。
今は。
待つことの意味を知っている。
「分かりました」
俺も頷く。
「安全確認を先に」
ノアは。
少しだけ残念そうだったが。
「分かった」
受け入れた。
◇
検証作業を終え。
古いパソコンは。
電源を入れないまま、隔離保管されることになった。
俺たちは。
部屋を出る準備をする。
その時。
研究室の照明が。
一度だけ点滅した。
「停電?」
「違います」
地球側の測定装置へ。
一瞬。
異常な数値が表示される。
「ノア」
「触ってない」
古いパソコン。
電源ケーブルは繋がっていない。
バッテリーもない。
それなのに。
前面の小さなランプが。
淡い赤色に光った。
「電源を切って!」
「最初から入っていません!」
研究者が答える。
モニターも。
接続されていない。
だが。
パソコンの前に置かれた。
ノアの測定結晶へ。
文字が浮かび始める。
《王権接続を確認》
《登録端末二番を認証》
「勝手に動いてる」
ノアが。
すぐに結晶を停止しようとする。
「待って」
新しい文字。
《主登録端末――応答なし》
《副登録端末一――認証完了》
《副登録端末二――微弱応答》
「三台目が動いてる?」
「今、一瞬だけ」
地図が表示される。
今度の反応は。
昨日と違う。
日本国内ではなかった。
「どこだ」
水城さんが尋ねる。
座標。
地球側の地図では。
海の上。
陸地から遠く離れた場所。
「海中?」
「違う」
ノアが。
反応の深さを調べる。
「地球側の座標じゃない」
「では」
「世界の間」
俺のマンションとアステリア。
二つの世界の狭間。
そこに。
三台目の端末反応が浮かんでいる。
「パソコンが、世界の間にあるのか?」
「端末そのものじゃない」
ノアの顔から。
いつもの好奇心が消える。
「接続した何かが」
赤い点が。
ゆっくり動く。
俺たちのいる地球側へ。
「こっちへ近づいてる」
表示が変わる。
《副登録端末二》
《所有者情報――レグナ》
《最終接続日時――サービス終了後》
「待って」
俺は。
最後の一行を見る。
「サービス終了後?」
ゲームは。
七年前に終わった。
その後。
俺は一度もログインしていない。
できるはずもなかった。
《最終接続》
《地球時間――サービス終了から三日後》
俺ではない誰かが。
俺の王権接続情報を使い。
サービスが終了した三日後に。
《エルグランド・サーガ》の世界へ接続していた。
そして今。
その接続痕跡が。
世界の間から。
地球へ近づき始めていた。
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