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「魔物になったので、ダンジョンコア食ってみた!」 ~騙されて、殺されたらゾンビになりましたが、進化しまくって無双しようと思います~【書籍化&コミカライズ】  作者: 幸運ピエロ
第11章 修羅咲ク都 武京編

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第317話 武闘大会参加申請

 

『修羅咲祭 武闘大会参加登録所』

 そんな一際目を引く垂れ幕が下げられた巨大な武家屋敷の中は、既に大勢の武人で溢れていた。


 剣士。

 槍使い。

 弓取り。

 拳法家。

 中には背丈ほどもある大斧や棍棒を背負った大男までいる。

 どいつもこいつも一癖ありそうだ。


「この空気感、良いな」


 強そうな奴を見るとワクワクする。

 無意識に口角が上がっているのを自覚していると、隣でキヌが小さく呟いた。


「阿吽、楽しそう」


「そりゃ、こんな奴等と戦えると思うと楽しくもなるもんだろ?」


「ふふっ、子供みたい」


「そう言うキヌも、良い顔してんぞ?」


 頭を撫でると、キヌは目を細める。

 裏表なく感情を素直に出してくれるキヌを見ると、こんなピリ付いた場所でも思わずほっこりしてしまう。


「次」


 受付の声が響く。俺達の番だ。

 数歩前に進むと、長机の向こうに座る壮年の男が紙を差し出してきた。


「名前のご記入を」


「おう!」


 紙を受け取り、“百目鬼 阿吽”と筆を走らせる。

 俺とキヌが書き終えたのを確認した時、申請書を受け取ろうとした男の手がピタリと止まった。


「……百目鬼?」


 目線を上げながら小さく発したその言葉で、周囲の空気が変わり、声が届く範囲に居た参加者の目がこちらに向けられる。


「百目鬼だと?」

「まさか……」

「いや。だが百目鬼と言えば、あの一家以外には……」

「ハッ! この場に名前を偽る不届き者なんざ居ねぇよ!」

「……となると、一番注意すべきは奴という事か」

「いきなりは当たりたくねぇな……」

「馬鹿言え。こういう祭りだからこそだろ?」

「違ぇねぇ!」


 ざわりと静かなざわめきが伝播していく中、俺は首を傾げた。


「やっぱ有名なのか?」


「有名どころの話ではない」


 返答と共に受付の男が苦笑する。


「武京国で【闘神】と呼ばれる大獄様の家名を知らぬ者などおらぬよ」


「へぇ。相変わらず派手な事してたんだな、爺ちゃん」


「……お前さん、もしかして」


「あぁ、孫だ。つっても種族は違うし、育ったのも他国だけどな」


 そう答えると、一瞬だけ沈黙が訪れた。

 そして――


「はっはっはー!!」


 受付の男は、周囲も気にせず豪快に笑いはじめた。


「そうかそうか! あの方の孫か! なら種族なんぞ些細なこった!! それに、大獄様に鬼人族の血が混じってるてのは、武京じゃ有名な話だぞ!」


「……へ? 爺ちゃんって鬼人族なの?」


「おうよ! 半分らしいけどな? というか何でお前さんがそれを知らねぇんだ?」


「いや、爺ちゃんそういう事は全く教えてくんなかったからな……」


「そうかそうか! まぁ、あんな大災害起こした親子の家系だ。何があっても不思議じゃねぇわな! いやぁ、今年は本当に楽しい祭りになりそうだ!」


 大災害って、親子喧嘩で無人島吹き飛ばしたってやつだろうけど……。

 なんでこの人はこんな楽しそうに笑っているんだ?

 ……やっぱ武京人は価値観がバグってるのかもな。


「阿吽のお爺ちゃん、やっぱり凄い人なんだね。会えるの、楽しみ」


「確かに色々とぶっ飛んでる人ではあるか……。まぁ、会えば分かる」


「ん。ちゃんとご挨拶しなきゃ! 阿吽の子供の頃の話も聞いてみたい!」


「……爺ちゃん、変な事言わなきゃいいけど。まぁ、そのためにも修羅咲祭、優勝しなきゃだな」


「おうおう! 応援してるから頑張んな! んじゃ、帰る前に奥の部屋で大会の概要を読んどいてくれよな」


 参加登録を終えた俺達は、男の指示に従い奥にある掲示板へと向かう。

 人だかりの先にあるのは巨大な木板。そこには大会要綱と概要が貼られていた。



≪修羅咲祭武闘大会 要綱≫

 ・参加者は256名を上限とする。上限を超えた場合は先着順。

 ・予選突破者(本選出場者)の枠は32名。

 ・大会優勝者には優勝賞金と共に『奈落迦迷宮への挑戦権』を授与される。


≪予選概要≫

 ・開始前に1人1枚配布される『鬼札』を奪い合う争奪戦方式。

 ・会場は天音京東門の郊外に広がる白霧(はくむ)盆地(通称:散華(ざんか)の古戦場)全域。

 ・規定時間内に、自身の札と他者の札を合わせて5枚集め、天音京の東門に戻ってきた者から予選突破扱いとなる。

 ・戦闘の開始は全参加者が『散華古戦場』へと入場してから10分後。鳴らされる鐘が合図である。

 ・規定日時に入場していない参加者は失格となる。

 ・鬼札を奪われた場合でも戦闘継続可能であれば失格とはならず、他者の鬼札のみを5枚集めても良いものとする。

 ・制限時間は予選当日の日没まで。もしくは32名の予選突破者が出そろった時点で終了となる。

 ・日没時に予選突破者が32名に達しなかった場合、その時点で鬼札所持数上位から順に本選出場者とする。

 ・戦死者は失格扱いとなる。

 ・途中棄権は認められる。その際、事前に渡される赤色の手ぬぐいを頭部に巻き付けてから鬼札を地面へ置き、予選会場から退場するものとする。

 ・どのような手段、方法、魔法、武器、戦法を用いても良いものとするが、棄権を宣言した参加者への攻撃、追い打ちは禁止。違反者は失格となり、所持している鬼札は運営によって回収される。


≪本選概要≫

 ・予選突破者32名によるトーナメント方式。

 ・天音京闘技場で1対1での勝負を行う。

 ・予選終了後、突破者全員による抽選を行い、割り当てられた番号に名前が登録され対戦表が決定する。

 ・審判が試合続行不可能と判断した場合、試合を止める事がある。

 ・降参、気絶、戦闘不能、死亡した場合は敗退となる。

 ・審判が試合を止めた後の攻撃及び、降参・気絶した相手に対する追い打ちは禁止だが、それ以外の禁止事項は無し。




「おぉ……。なかなか過激なルールだな」


 思わず声が漏れた。

 要するに、予選は参加者全員が郊外に集められての『鬼札争奪戦』で、突破者の32人は先着順。本選は予選突破者がそれぞれタイマンするトーナメント。

 いずれも禁止事項は敗退者への追撃禁止のみ。極端な話、戦闘中ならブッ殺しても構わねぇって事になる。


「ん。逆に言えば、この祭りに参加するのは簡単に死なない強者ばかりって事」


「だろうな。現に、ここに居るのは死線の一つも超えてきたって(つら)した奴等ばかりだ。……それにしても、予選会場が古戦場ってのはまた何でだ?」


 参加登録を終えた禅が後ろから近づいてくると、俺の問いに対して意味ありげな笑みを浮かべながら答えた。


「散華の古戦場……。まだ武京国が統一されていなかった時代に付けられた俗称ですね。“墓標は無けれど、白霧盆地そのものが慰霊碑”という認識をされており、今でもこの地に住まうほとんどの方がその俗称で地名を呼んでいます」


「いやいや。だからさ、そんなところでドンパチしちまって良いのかよ?」


「逆ですよ、阿吽。歴史に名を刻む武人達が退屈しないよう、『大いに暴れて“祭り”とせよ』という事です。ちなみに、『修羅咲祭』という祭名も“散華の古戦場”から取ったと言われております」


 “修羅という華が咲き誇り、散りゆく祭り”って事か。マジで粋な命名じゃねぇの。

 武京という国、そこに息づく文化や思想は、俺の価値観を優に超えてきやがる。


「最高かよ。ならいっその事、死んだ武人が目覚ますくらい派手に暴れ倒してやろうぜ」


「フッ、実に阿吽らしい返答です。ならばその前に――」


 そう言いながら禅は掲示板から視線を外し、周囲を見渡した。


「まずは知っておくべきでしょう。今年の優勝候補達を……」




次話は7/10(金)投稿予定です♪

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― 新着の感想 ―
あれ? お祖父さんが鬼人の血が入っていたから阿吽が一度死にゾンビとなったことから鬼人の血が覚醒して鬼人になったのか? どうりでゾンビ先輩の様にはならなかったことの説明がつくな\(^o^)/
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