↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年はいずれNになる  作者: 猫飯
控えめな誕生
PR
59/137

「これ、“地球侵略戦争”って言われてる戦いなんだけど……この戦争の当時いた人間には、亜人細胞の発症は見られなかったんだって。

亜人細胞があらわれはじめたのは、当時の人類から五世代目以降みたい。人によるけど、大体は私達のひいおじいちゃんくらいがこれにあたるかな」


「五世代目」


 ええと、と大介は指折り数える。戦争当時にいた当人が一代目として、子供、孫、曾孫、玄孫――で五代目となる。つまり、当時の人類の玄孫の代以降が、亜人細胞の発症が見受けられ始めた世代ということなのだろう。


「ずいぶん後で出てきたんですね」

 大介が言うと、桃も頷いた。


「そうね。あんまり間があったものだから、研究者も他の可能性を考えたみたいなんだけど――“地球侵略戦争”時に撮影された写真に、亜人と似たような姿がたくさん映ってたらしくて。


だから今のところ、その宇宙基地での戦いによって、亜人細胞が地球に現れるようになったって考えられてるの。他に考えられる原因――たとえばウイルスの発生とかもなかったしね」


「それがきっかけになって始まった戦争が、今も続いてるってことですか」


「そう。まあ、まだ次の亜空洞が開いた時に、また襲撃があるかどうかは解らないけど……どちらにせよ、人間の体に亜人細胞が残ってるうちは、戦争は終わってないってことになるわ」


 成る程、と大介は頷いて、頭の中で話をまとめる。


 ――約三百年前、宇宙空間に空洞が空いた。その空洞は亜界――亜人の住む世界と繋がっており、その穴から湧いた亜人により、米国の宇宙基地が襲撃された。


 米国は亜人をなんとか退けはしたが、その戦争から人類を五代経て以降、人間の体に亜人細胞が宿り、発症する事態となった――。


 ここで大介は、おや、と思った。話が荒唐無稽なのは今更としても、少し気にかかることがあったのだ。


「桃さん、質問です」


「何?」


「約三百年前って、具体的には何年前なんですか」


「えっ」


 桃が呆気にとられた声をあげた。ポテトチップスをかじっていた鬼が、大介に目をやる。すでに理解力の限界をこえていたらしい蛙は、腕組みをして目を閉じている。寝ているようだ。


 大介がまっすぐ桃を見据えると、桃は困ったようにうんうんと唸っだ。しかし、最終的に「わかんないや」と快活に笑う。


「でも、気にすることなくない? 三百年前って言ったら、そりゃだいたい三百年前なんでしょ、多分」


「今から三一三年前だ」


 鬼がきっぱりした口調で口を挟んだ。そうなの? と桃は感心したような声をあげている。


 大介は、「ふむ」と呟いて考えた。それならば、大介が気にしている点は解決される。


 じゃあいいや、と納得した大介は思考を放棄した。しかし、その時鬼が気になる言葉を付け足した。


「――って、米国は言ってるな」


「え」


「襲われた年代を言ったのも、写真を提出したのも、全て米国側だ。

それを否定する証拠もねえが、米国以外の肯定材料もねえ」


 大介は沈黙した。その言い方は、大介の疑念をますます強くするものだった。桃は不思議そうに、鬼と大介を見比べている。


「何? 何の話?」


「それは三原に聞けよ。……三原、気になることがあるんだろ?」


 大介は頷いた。色々と考えながら、返事をする。


「今から三百年前っていえば」


「うん」


「確か米国では、“研究改革”がありましたよね」


 何それ、と桃が素っ頓狂な声をあげた。鬼が嘆息する。


「……米国のあらゆる研究分野が、軒並み大発展したんだよ。今から三二十年前の話だ。当時では考えられないくらいに各分野が伸びまくっててな。ただでさえ世界的に強者の位置にいた米国は、それを機に世界でトップの先進国になったんだ」


「へえ。そんなことあったんだ」


 学校で習ったっけ? と桃は不思議そうにしている。机に頬杖をついた鬼は、「で?」と話の続きを急かした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。