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少年はいずれNになる  作者: 猫飯
控えめな誕生
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「とりあえず、化け物です。細胞になって、人間の体に寄生してます。……寄生してる人間の気持ちがウワーってなると、細胞もウワーってなります。それで、細胞が……ええと、発症? したら、人間が化け物になってしまいます」


「よく覚えてるじゃねえか」


 鬼がパチパチと拍手をした。「どうもどうも」と大介は無表情で片手を挙げて応える。蛙は「ざっくりしすぎじゃね?」と少し呆れた様子だったが、聞こえなかったふりをした。


「その通りね」と桃が深く頷く。



「じゃあ、ここで大介君にクイズよ」


「クイズ。クイズは得意」


「俺も!」



 大介と蛙が勢いこんで言う。「難しいわよ」と桃が胸を張った。



「難しくても正解します。クイズは余裕です」


「言うわね、じゃあ出題するわ。……大介君の言う通り、亜人細胞は人間に寄生しています。ではここで問題です。亜人細胞は、何故人間に寄生しているのでしょうか」


「おいおい」


 鬼がぎょっとした。


「解るわけねえだろ、そんなモン」


「いいじゃん、クイズ形式にした方が面白いでしょ」


「絶対“理不尽だ”って言われるぞ」


 理不尽なのが正解なのか、と大介は懸命に考える。しかし、どうにもそれらしきものが出てこない。「人間が亜人細胞にとって寄生しやすかったから」――では、理不尽な答えとは言えないだろう。

 懸命に思案した大介は、とりあえずあえて突拍子もない答えを出してみた。


「ええと……亜人細胞が人間を好きだから」


「お前、馬鹿かよ」


 隣で蛙が馬鹿にした目で大介を見た。見えないくせによく話し掛けて来るマスコットだ。「あってるかもしれないじゃないか」と大介は内心ふて腐れたが、しかし桃はあっさり「ぶっぶー」と強気に否定する。跳ね退けられてしまった。


「ヒフティヒフティとかテレフォンとかないの」と口を尖らせると、桃は「ありません」と笑う。


「じゃあ、正解を発表します」


 桃は、勝者の余裕で胸を張った。


「正解は……亜人と人間が、戦争中だからでした」


「戦争」



 大介は目をぱちくりとさせた。桃が頷く。



「それこそ、第一次世界大戦とかと同じよ。今人間は、亜人と戦争してるの。それも、三百年も前からずっとね」



 大介は呆気にとられた。四百年前――といえば、大介が生まれるどころか、大介の母だって祖母だって生まれてない。


 鬼が笑う。


「な? 理不尽だろ?」


「冗談とかではないんですか」


「こんな意味不明な冗談言わないわよ」



 膨れ面になった桃だが、すぐに「それで、話を続けるけど」とすぐに切り替える。



「大介君は、亜界についてもう聞いてる?」


「亜界。聞いてないです」



 蛙も隣で「赤い? 何が?」と首を傾げていた。桃は白板に、“亜界”と書き付ける。



「亜界っていうのは、名前の通り“亜人の世界”よ。亜人しかいない世界なの。私達は今、そこと戦争してる。


いわば、“国家間をこえた人間”対“亜人”の戦いって感じかな」


「亜界っていうのが、どこかにあるんですか」


「うん」



 桃の首肯に、大介は首を傾げた。亜人しかいない世界――そんなものがあるなんてなかなか信じられないが、仮にあるとするならば、何故大介達は、人間の世界で亜人細胞を相手に戦っているのだろうか。


「戦争はよくないけど、でも、どうせ戦うならこっちから攻め込んだ方がいいんじゃないですか。


その、“亜人しかいない世界”ってところに行って、あっちで戦った方がいいと思うんですけど。


人間に寄生した亜人細胞を相手に戦ったって、こっちが勝利ってわけではないし。また寄生されたら同じではないんですか。だったら、大元を絶たないと終わらない気がします」


「その通り」



 桃は大きく頷いた。


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