↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰陽師の名家のイケメンなのに霊力ゼロな俺。全部マネージャーの女が祓ってるけど、アイツ全然可愛くない  作者: かにえR
【第四章 天禍為福】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/53

第三十四話 クソジジィすぎる


朝、御影家の事務所で事務処理をしていた。


菅原の仕事を減らすために最近やり始めた。


「ん? なんかメール来てんな」


あの寺を売ってる外資系からのメールだ。


「なんだ? 勧誘か?」


メールを開く。


「……は?」


♢ ♢ ♢


「おはようございます。本日もよろしくお願いします」


そう言って助手席に乗り込む菅原。


「か、菅原、ヤバい。あの、て、寺。買い手が付きそうってメールが来てて」


「……はい?」


「いや、あの寺。菅原の故郷の。買い手が付きそうって、売れちまうかもしれねぇって、メールが来たんだよ!」


「……なんで紫門さんにメールが来るんですか?」


「こないだ! ほら、繋がったって言っただろ。あの時、金額を問い合わせたんだよ」


「……なるほど」


「ど、どうすんだよ」


「えーっと、もう一度言ってください?」


菅原もパニックになってるっぽい。


もう一度説明する。


「……ど、ど、どうしよう。ど……」


真っ青な顔でそう呟く菅原。


必死で脳みそを回転させる。どうする? どうしたらいい?


「ろ、ローンを組むとか」


「無理でした。勤務年数も足りない。奨学金もある」


「カッ……無理か……」


「ど……どうしよう……」


頭を抱え、項垂れる菅原。


大丈夫だとも言えない。


「お、俺が、俺が買うとか!」


「それだけは無理です。本当に。それだけはできません」


「お、俺に返せばいいだろ! 俺に返せば! 俺に返して、返し終わったら、寺に帰る、とか……」


最悪だ。最後の方は俺の欲じゃねぇか。


「いや、無理です。そんなことはできない。できません。絶対に」


だろうなとは思う。思った。こいつはそういうヤツだ。


「じゃあ、どうすんだよ……」


「とりあえず、依頼をこなしましょう。それから考えます」


「わかった……」


依頼を何件かこなした後、菅原が口を開く。


「そのメール、見せてもらってもいいですか?」


「あー、事務所のパソコンだ。このまま行くか」


「お願いします」


事務所に到着し、パソコンを開く。


「これだ」


「全然読めない」


「は!? あー、えーっと、こんにちは! 紫門さん、いかがお過ごしですか?」


「さすがにそのへんは読めます」


「あ!? あークソ! 本当お前ってヤツは!」


菅原に一通り説明する。


「……なるほど」


店長の言う通り、俺の英語力が役に立っている。役に立っている!!!


その事実に、口元が緩む。


「何をニヤニヤしているんですか」


「いや、何でもねぇよ。そんで、どうすんだよ」


「……わかりません」


二人で考えていると、事務所の扉が開く。


顔を上げると、親父が立っていた。


「お疲れ様です」


菅原がそう言うと、チラリと菅原を見て頷く。


そして怒ったような顔で口を開く親父。


「おい、紫門。お前、何をしようとしている? メール見たぞ。何を買おうとしている?」


「……は? メール?」


「寺だか何だかわからないが、何か買おうとしているだろ」


「は? 何勝手に見てんだよ!」


「当たり前だろ! 何をしでかすかわからない。勝手にやらせておくわけにはいかないだろ」


「何もしてねぇだろ! 今までも!」


「そうだ。お前は何もしていない。祓っているのはひかりちゃんだしな」


ブチギレそうになるのを必死に抑える。


「それで? お前は何を買おうとしている? 投資か? だとしたら、センスがなさすぎるな。リゾート計画が失敗した土地? しかも、ボロい寺付き。いわくつき。バカなのか? どこまでもどこまでも、センスがない」


菅原を見ると、目を見開いて親父を見ている。当たり前だ。大事な場所を侮辱された。


「おい!!!」


生まれて初めて親父を怒鳴った。もう、止まらなかった。


「センスがねぇのはてめぇだろうが。投資でもなんでもねぇよ。金、金、金。なんなんだよマジで。うぜぇんだよ。お前になんてわかんねぇだろうな! この寺の価値なんて!!!」


「お前、誰に何を言っているのかわかっているのか?」


そう言って、俺を睨みつける親父。


「わかってるよ。わかってんだよ。わかって言ってんだよ!!!」


そう怒鳴った瞬間、菅原が俺の腕を掴む。


「紫門さん、落ち着いてください」


「ひかりちゃん、マネージャーなんだからさ、もっとちゃんとこいつを見ておかないと」


「おい!!!」


そう叫んだ瞬間、喉から血の味がした。菅原が俺の腕を引っ張る。


「俺とオメェの問題だろうが!!! 菅原は関係ねぇだろ!!!」


わざとらしくため息をつく親父。


「どこまでも、どこまでもポンコツだな。視えない、祓えない。顔だけだな。母さんと同じで」


怒りで眩暈がした。それと同時に何かがガラガラと崩れていく。


「あ、あ、あ、謝ってください! 紫門さんと、お母様に!」


菅原が震える声で叫ぶ。


「ひかりちゃん、何を言っているんだい。いや、誰に何を言っているんだい?」


そう言って、優しい顔で微笑む親父。


鬼だ。多分こいつは鬼だ。そう思った。


「あなたに、言っています。あなたに、謝れと言っています」


俺の腕をぎゅっと握り、震える声でそう言う菅原。


「紫門さんは、頑張っています。視えないし、祓えない。でも、頑張っています。お母様も、あなたに尽くし、あなたの息子を生んでくれました」


「ひかりちゃん、なんか失望したな。君はもっと、なんだろう、感情に左右されない子だと思っていた。まぁ、でも。君がいないと紫門はただのポンコツだからね。まぁ、これからも頼むよ。もっとちゃんと、マネージャーとしての自覚を持ってね」


そう言って、部屋を出て行く親父。


崩れ落ちるように椅子に座る。


「クソジジィすぎる……」


立ち尽くした菅原がそう呟いた。


思わず、ははと笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。