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War King(戦王)  作者: チャラン
第十四章 再会

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第六十話 無理難題

 ホークはリゾレッタに戻り、家には戻らず城に向かった。


「ホーク! 帰って来たか!」


 心配していたカイトが出迎えに城門まで出て来ている。そして、そのままホークと執務室に向かった。


 執務室には主だった士官が勢ぞろいしている。皆、ホークの出頭のことを心配していたようだった。


「ああ、皆、心配かけたね」

「いや、それはいいんだが、出頭して何て言われた?」


 ラークがそう訊くのに、ホークはため息混じりに答えた。


「僕は裏切り者だとさ……」

「何だそりゃ……?」


 皆、訳が分からないという顔をしている。


「皆には話していなかったけど、数年前にグランドパレスのフェジーナがここに来たことがあったんだ」

「えっ! そんなことがあったのか!」


 皆、初耳で驚いていた。


「皆、それぞれ出払っていて、僕一人だったからね。今、聞いて驚いただろう」

「驚いた。それで何をしに来たんだ? フェジーナは?」

「僕を引き抜きに来た」

「ええっ!」


 さらに皆は驚いた。


「もちろん断ったけど、フェジーナと話しているのを、どうやらウオルフの間諜に聞かれていたらしい。それで出頭しろということになったようだよ」

「なるほど……始めから父上も兄上もホークを疑ってかかっていたわけか……。フェジーナと会っていたという報告を聞いて」


 カイトは肩を落としてそう言う。


「それで裏切り者だというわけさ……。何を言っても無駄だろうと思って、出された要求を聞いて帰って来たよ。それを実行すれば、信じてくれるらしい」

「何をやれって言われたんだ?」

「エルフィンをグランドパレスとの戦争に参加させるか、それができないのなら攻め取れとさ……」

「無茶苦茶な……」


 皆、沈みこんでしまった。


「要するに僕を取り除きたいんだろうな。特にウオルフは。もうここまで来たら取り除かれるしかないさ」

「取り除かれるって……どうするつもりだホーク?」


 ラークがホークに訊いてきた。ラークには大方ホークがどう答えるかは分かっていた。


「使者を送ってもエルフィンが要求に応じるわけがない。ましてや攻め取ることなんかできるわけもない。だから、形だけ攻めるのさ。そうすればウオルフも納得するし、オストガルドにも損害はほとんど出ないはずだからね」

「命を捨てるつもりだな?」


 ラークはずばり言った。


「信じてもらうにはそうするしかないだろうからね」

「駄目だ駄目だ! そんなことはするなホーク!」


 カイトがかぶりを振りながらホークの前に立ってそう言う。


「お前に死なれたらどうすればいいんだ俺は! 絶対に駄目だ!」

「僕だって死にたくない。でも他に最善策がないんだ」

「いや、他にも方法があるはずだ! 死ぬのだけは駄目だ!」


 取り乱しながら言うカイトをなだめるようにホークは言った。


「カイト、皆が見ている。お前はオストガルドの王子でここの領主だ。落ち着け」

「……」

「どっちにしろ策がないんだ。僕が攻めた結果、僕は死ぬかも知れないし、生き残るかも知れないが、オストガルドには戻って来れない可能性が高い」


 ホークはアベルの所に行き、その肩に手を置いて話し掛けた。


「アベル。カイトとリゾレッタのことを任せたよ」

「……帰って来てくれることを祈るよ。一応受けた」


 それを聞いて安心したホークはカイトの所に戻って言った。


「兵を千程借りるよカイト」

「もういい……。好きにしろ……」

「ごめんな……」


 そう言ってホークは執務室を後にした。ホークが去った後の執務室は重く暗い雰囲気が漂っている。




 ホークがエルフィンへ出兵する当日の朝、ホークはいつもと変わらない様子で朝食を取っていた。


「レンの実家のパンは美味いなあ。何回食べても」


 ホークは明るく振舞っていたが、レンもメイシャも涙をこらえて黙っている。


「ホーク」

「何、父さん」

「皆でどこかに逃げるか?」


 ラークの突然の提案にホークは驚いてミルクを落としそうになった。


「そうよホーク! 皆でほとぼりが冷めるまでどこかに隠れて暮らしましょう? カイトに頼んだらきっと手引きしてくれるわ!」


 レンは身を乗り出してラークの意見に賛成した。必死だった。


「僕を助けてくれようとしている気持ちは分かるけど、それじゃ皆に迷惑がかかるよ」

「迷惑じゃないわ! ホークに生きてて欲しいの!」

「そうだ。みすみす自分の息子を死にに行かせられる親がどこにいると思う?」


 ホークはそう言われて、少し困ったような顔になった。


「僕達はそれでいいかも知れないけど、それじゃカイトにも嫌疑がかかって、オストガルドがガタガタになっちゃうよ。それはできない」

「いいじゃないガタガタになっても! あなたが生きれば!」

「ごめんなレン……。できないんだ……」


 側で黙って聞いていたメイシャが立ち上がって台所から何かを持って来た、お弁当だった。


「ホーク。これを持って行きなさい。お前は昔から頑固な所があったからねえ。そう言うと思ってたよ」

「有難う母さん」

「なるべくなら、無事に帰って来るんだよ」


 ホークは黙ってうなずく。そして、食事を済ませまだ眠っている息子のファルコンの様子を見に行った。


「すやすや……」


 ファルコンは可愛い寝顔でよく眠っている。

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