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War King(戦王)  作者: チャラン
第十三章 リゾレッタ防衛戦

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第五十五話 軍師と軍師

 出兵前のホークの家では、レンを始めとしてホークやラークを見送りに出ている。


「……何回やっても嫌ね、戦争の見送りは」


 レンは顔には不安を努めて出さなかったが、心の中は当然ながら不安と心配でいっぱいだった。


「ごめんな。そういう仕事だからな。僕も百姓でもしてれば良かったと思うよ。前にも言ったけど」


 間延びをしたようなホークの言い方に、レンの表情が少しほぐれたようだった。


「もし平和になったら、士官を辞めてお百姓さんになる? 私はそれでもいいよ?」


 ホークはそれを聞いて少し笑ってこう言った。


「母さんが父さんに昔、似たようなことを言ったんだよ。それで父さんはリゾレッタで百姓を始めたんだ」

「ああ、そうだったな。なあ母さん」


 側で聞いていたラークがそう言った。


「そうだったわね。でも、父さんも百姓を休んでまた士官になったから、結局二人とも戦場に出るようになっちゃったわね……」


 メイシャは孫のファルコンの頭を撫でながら、心配そうに言った。


「パーパ、パーパ」


 ホークは自分を呼ぶ息子の所に行ってファルコンを抱きかかえる。


「まあ何とか上手いことやって父さんと一緒に帰って来るさ。ファルコンも待ってるし、百姓もやりたいからね」

「キュルルルオ!」


 ククが少し高く鳴いた。


「クク。今回はお前にも働いてもらうよ。頼んだよ」

「キュルルルッ」

「お守りは持ってるわね。二人ともちゃんと帰って来てよ」

「ああ。行って来るよ」


 ホークはファルコンを降ろして、ラークとククと共にグランドパレスとの国境へ向かった。家の前の畑では、雇った人が植えてくれた麦の穂が風で揺れている。




 ホーク達が兵と共に移動を開始して、一日半程で国境に着いた。今回は、全兵力の九千を全て動員した。


「敵は流石にまだ来ていないようだな。こんなに早く来てもらっても困るがな」


 カイトは戦場となる予定の土地の景色を見渡してそう言う。


「グランドパレス本国から四万を動かしているんだ、あっちもそんなに早くは着かないはずだ」

「こちらの援軍はどのくらいで来るかなあ? ホーク?」

「オストガルド本国からの救援は、恐らく敵が来る頃か、それより少し前に到着するだろう。トリネアスからの救援はそれより少し時間がかかるはずだ」

「そうか。援軍が間に合わないということはなさそうだな。それなら何とかなるか」

「何とかしないといかんだろう」


 ホークはそう言うと連れてきた、ククに乗ろうとした。それを見たカイトがホークに訊いた。


「どうする気だホーク?」

「ここら辺の地形を上から見て頭に入れておくつもりさ」

「そうか。それはいいが、ククから落ちないでくれよ」

「大分練習したから大丈夫だ。じゃ頼むぞクク」

「キュルルルオ!」


 ククに乗ったホークは大空に舞った。


 ククはどんどん上昇したが、ある程度の高さになった所でホークは止めた。


「なるほどな……。平地が多いが、兵を隠せる所もかなりあるな……」


 戦場の予定地は広かったが、林や森も多い。ただ、土地の起伏はあまりない所だ。


 ホークは土地の様子を暫く見ていたが、その後、自陣に戻って行った。ホークは援軍が到着するまでそれを繰り返した。


 四日後、オストガルド本国からの援軍が到着した。兵数は二万である。


「爺、お疲れ様」

「なに。国の一大事ですからな」


 キルスはカイトのねぎらいにそう答えた。他の主だった指揮官はサリアとそれに、ウオルフだった。


「来てはみたが、何か作戦を考えてくれてたんだよな、軍師さんよお」


 ウオルフの相変わらずの悪態のつき方にカイトは嫌悪感を抱いたが、ホークは意に介さず作戦を説明し始めた。


「ええ、考えてますよ。まず先陣はキルスさんと父さん……いやラークさんにやってもらいます。キルスさんの部隊は何名で編成されていますか?」

「今回は六千程連れてきております」

「かなり多いですね。助かります。ラークさんの部隊、三千と一緒に部隊を分けて、こことここの二つの森に潜んでもらいます」


 そう言うといつの間にか卓上に広げていた戦場予定地の図面を指し示している。指し示した森は、オストガルド軍側から見て、手前側はやや西に位置し、奥側はやや東に位置していた。奥に行くほど、北に位置することになる。


「……伏兵ですな」

「そうです。ただ、見破られる可能性もあります」

「それじゃ駄目じゃねえか、軍師さんよ」


 ウオルフの言い様に皆むっとしたが、ホークは表情を変えず説明を続けた。


「見破られた時にどうするかをこれから伝えます。それにまだ、説明の途中です。先陣に出てもらうのはキルスさんとラークさんだけでなく、シェラにも出てもらいます」

「俺が出るということはあれだな?」

「そう。あれだ。まずあれを使ってもらう」

「ようし! 腕が鳴るぜ!」


 シェラは一つ大きく手を叩いた。


「その後ですが、さっき言ったように伏兵が見破られる場合と、そのまま成功する場合があります。その二通りの場合を説明しましょう」


 ホークは一同にあらためて説明を始めた。




 オストガルド本国からの援軍が到着してから一日半が経ち、敵側のグランドパレス軍が到着した。


「かなりかかったな」


 クーガーはフェジーナにそう話しかけた、フェジーナは面目なさそうだった。


「申し訳ありません。コルギスに兵を駐屯させていれば、ここまでの大軍を移動させることもなく行軍もスムーズだったのですが……」

「仕方あるまい。コルギスは攻め取ったばかりで、まだ拠点として使うのが精一杯だろう。お前が気に病むことはない」

「はっ。お気遣い有難う御座います」

「それで、どう作戦を練る? フェジーナ?」

「……兵数ではこちらが今の所、一万強上まっていますが、敵は戦場に到着してからかなりの日数が経過しております。地の利はあちらにあると考えた方がよいでしょう」


 クーガーは黙って聞いている。コルギスから合流してきたウィンダムもおり、同じく作戦を聞き入っていた。


「敵は既に何か策を敷いていると考えてよいでしょう。油断せずに慎重に進軍することです」

「どういう策が考えられる?」

「伏兵が考えられます。それを考えに入れた、作戦を説明しましょう」


 フェジーナは図面を広げ、クーガー達に詳しく作戦を説明し始めた。

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