第五十話 喜ばしい知らせ
フェジーナを見送った後、ホークは執務室でずっと内政計画を練っていた。その日は終始一人で、やがて日が落ち家に帰った。
「ただいま」
「お帰り。ホーク」
家に戻るとレンが迎えてくれた。ホークが仕事から帰ると、いつも優しく迎えるが、今日は優しさに加えて嬉しさが混じっているようだ。
「今日はちょっと違うな。何かいいことでもあったのか?」
「ありました! 何でしょう?」
レンはいたずらっぽく言った。微笑を浮かべている。
「見当がつかないな。何だい?」
「分かんない? じゃあ御飯を食べながら教えてあげる。お義父さんもお義母さんも、もうテーブルについてるわよ」
「何だろう? 気になるな。まあとりあえず御飯を食べようか」
そう言って、ホークは食卓のある居間に行った。ご馳走が並んでいて、ラークもメイシャも何とも言えない、嬉しそうな表情でホークを待っていた。
「おかえり」
「帰って来たか。まあ座りなさい」
ラークとメイシャの二人は帰宅してきたホークをそう言って迎える。
「ただいま。父さんも母さんも嬉しそうだね。気になるなあ」
「はははっ。まあ、まず食事をしよう。おいおいレンちゃんが話すだろう」
「じゃあそうしようか。頂きます」
四人は食事を始めた。ホークは敢えて今日、フェジーナと会ったことは話さなかった。
「で、レン。何があったんだい?」
「うん。あのね、今日ちょっと具合が悪くなっちゃたんだ」
「えっ! いいことじゃないじゃないか! 大丈夫か!」
「大丈夫よ。それでね、夕方前頃お城から帰って来たリジャ先生に来てもらったの」
「具合が悪くなったら、リジャ先生かシージャに診てもらうしかないからな。どうだった?」
「おめでただって」
「えっ!」
ホークは一瞬きょとんとした。その後、満面の笑みを浮かべて、レンの手を握った。
「やったな! 有難うレン!」
「おめでとう。ホークはお父さんになるのよ」
レンはホークの手を自分のお腹にそっと置いた。
「ここに赤ちゃんがいるの。何か不思議な感じよね」
「そうだな。そうか、僕は父親になるのか……」
ホークはレンのお腹に手をあてたまま、そう言った。嬉しさも、もちろんあるが何か複雑な心境を感じている。
「俺と母さんはお祖父さんとお祖母さんになるな。楽しみだな。あれとあれを買ってやってと……」
「お父さんったら、気が早すぎるわよ」
既に孫のことで頭がいっぱいになっているラークをメイシャは軽くたしなめた。
「これからも頑張ってね、お父さん。あと、体には気をつけてね」
レンはホークに優しくそう言った。
「有難うレン。頑張るよ」




