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War King(戦王)  作者: チャラン
第十章 開戦

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第四十五話 厄介な好敵手

「一日経った。もう少しだな……」


 カルザスは砦で増援が来るのを待っていた。


「敗戦は響いていますが、交代交代に休息を取らせたことで、かなり士気も回復してきているようです」

「そうか。増援が来れば巻き返せるかも知れんな」

「ラグフェルトからの挑発に対するお怒りは収まりましたか?」

「ああ、それは収まったが……。とにかく、ここは勝って帰る!」


 カルザスがようやく冷静さを取り戻したのを見て、サルファイは少し安心した。


「申し上げます! 本国から増援が到着いたしました!」


 番兵が陣営に入って来て、カルザス達にそう伝えた。


「誰が来た?」

「フェジーナ様です!」


 カルザスとサルファイは顔を見合わせた。気まずい雰囲気が流れた。


「ここに来てもらえ」

「はっ! それではお呼びします!」


 番兵が下がり、暫くしてフェジーナが入って来た。何とも言えない表情をしていた。


「フェジーナ。よく来てくれた」

「……カルザス様。あなたという人は……」


 フェジーナは怒りとも呆れとも言えない表情でカルザスにそう言った。カルザスは流石にいたたまれない。


「挑発に乗ってしまったことはすまないと思っている。申し訳ない」

「……言いたいことはありますが、まずはこの戦場を何とかするのが先決です。作戦を練りましょう」

「頼む。どう軍を動かす?」


 そう言うと、カルザスは事前に用意していたこの近辺の図面を広げた。


「やはり、ここが重要地点になると思います。敵もそう考えているはずです」


 フェジーナはある地点を指差した。そこは、ホークが重要視した両側が山になって、通り道が狭くなっている地点だった。


「ここを簡単に突破されたら、もうどうにもなりません。我々はここまで進軍します」

「こちら側が攻めた時は、ラグフェルトは敢えてここを捨てていたな。ここにまわす兵がなかったんだろう」

「敵側もオストガルドの救援が来て、兵力と士気に余裕が出てきているはずです。この地点まで進軍してくるでしょう」


 カルザスはそこで沈思した、サルファイは黙って二人の軍議を聞いていた。


「訊くんだがフェジーナ?」

「なんでしょうか?」

「連れて来た兵数はいくらだ?」

「一万です」

「そうか……。俺の軍は、兵数の三分の一を失って、今は一万だ。だから合計で二万になるな」

「敵に分がありますが、作戦次第ではなんとかなるはずです。ただ……」

「ただ……?」


 フェジーナは暫く図面を見ていた。そしてこう言った。


「オストガルドの救援が来ているということは彼がいるはずです。甘く見ていると、いっぺんに足元をすくわれてしまいます」




 指揮官達が軍議を終えた後、オストガルドとトリネアスの連合軍は陣形を整え、進軍し始めた。キルスとカイトの部隊が先頭に立っている。後詰はバリルが気に入らない顔をして受けた。


「ホーク。お前が言った地点までもう少しだな」


 馬上のカイトがそう言った。ホークも馬に乗っている。


「うん。ケルトに斥候に行ってもらっていたけど、敵側もこちらを目指して進軍しているらしい。恐らく、僕が言った辺りで戦闘になるだろう」

「敵側も軍師殿の言った地点を重要と見ているということですな」


 同じく馬で行軍しているキルスが話に加わってきた。


「ええ。それに、援軍に来たのはやはりフェジーナ君のようです。彼はあなどれません。僕と同じ地点に目を着けたのは流石だと思います」

「ほう。軍師殿が一目置きますか……。これは初戦のようにはいきませんな」

「はい。そういう心づもりで戦って下さい」

「どうやら、その地点のようだ」


 カイトはそう言って、先方を指差した。確かに図面で見たのと同じ地形が広がっていた。


「この地点で一旦、陣を張りましょう。今回は僕達が攻め側です。恐らくあちらから、あの地形を越えて攻めてくることはないはずです」

「よし、分かった。陣を張れ!」


 カイトの指示で輜重隊は陣を張った。


「陣を張ったと言っても休むのは後です。今、素早く攻撃に移らないと、相手に防御の猶予を与えてしまいます」

「そうだな。では、どう攻める?」

「先陣は小回りの効く強力な部隊を持っているキルスさんにお願いします」

「いつでも行きますぞ」

「それとシェラ、魔道兵を率いてキルスさんと一緒に行ってくれ。今回は君が鍵になっている」

「俺が鍵か……。ということは……」

「そうだ。あの魔法だ」

「あれだな。よし! 腕の見せ所だな」

「第二軍はカイトと僕、それにサリアさんです。何をするかは、先陣の成果次第です」

「で、俺は蚊帳の外か? 軍師さんよ~」


 一応、軍議に参加していたバリルが嫌味たっぷりに言ってきた。それを聞いたサリアは嫌悪感を隠さなかった。


「バリル王子は第三軍として動いて頂きます。ラグフェルト国王の黒騎士団と一緒に居て下さい」

「じゃあ、そこで暫く軍師さんのお手並み拝見といくか。精々頑張んな」

「まあ、いざとなったら嫌でも動かないといけなくなりますよ」

「……どういう意味だ」

「戦闘が始まれば分かります。では、作戦を開始しましょう。各自の御武運を祈ります」

「じゃあ行くか! 出陣!」

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