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War King(戦王)  作者: チャラン
第九章 翼竜のいたずら

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第三十八話 カイトの結婚

 一年が過ぎた。


 ホーク達は十九歳になっていた。


「カイト、入るよ」


 ホークはいつものように、カイトがいる城の執務室に入った。ただ、呼ばれた用はいつもの通りではないものだった。


「来てくれたなホーク」


 カイトはホークやアベルなどから提出された、内政関連の書類を見ながらホークを待っていたようだった。ただ、様子がいつもと若干違っていた。


「何か特別な用があると言っていたな。なんだ?」

「ああ。実はな……」


 カイトはもったいづけている。


「何からしくないな。スパッと言ってくれよ」

「分かった。じゃあ言おう。俺に縁談がきていてな。結婚することになった」


 ホークは驚きと共に、喜びも表情に浮かべた。


「めでたいじゃないか! そうかそうか! 国王からそういう通知が来たんだな!」

「ああ。父上から手紙を受け取っている。相手はオストガルド国内の名家のお嬢さんだ」

「いやーおめでとう! 何だそういうわけか!」


 ホークは喜んでいるが、カイトは照れ臭そうにしている。そして何か考え込んでいるようだった。


「どうしたんだ?」

「いや。俺は一応王子だから仕方がないことなんだが、面識がないお嬢さんと結婚するというのがどうもな……」

「なるほどな。政略結婚とまでいかないまでも、それに近いのかもな。気にしているのはそこだろう?」

「その通りだ。俺もいざ結婚するとなってもピンとこない」

「なあに、お前の人柄なら大抵の女性は好きになってくれるだろうし、お前もその女性を大切にできるはずだ。何とかなるさ」


 ホークのその言葉にカイトは力を得たようだった。


「有難う。お前にそう言われるとそんな感じがしてきたよ」

「大丈夫なはずだよ。気を大きく持てば」


 カイトはうなずいた。自分の意志を固めるようなうなずき方だった。


「それで結婚式なんだが、オストガルドでやるようになっている。来てくれるか?」

「もちろんだ。ただ、リゾレッタを空にするわけにもいかないな」

「ラークおじさんに残ってもらおうか? おじさんにも祝って欲しいところなんだけどな」

「そうだな。父さんが残ってくれるなら安心だ」


 二人は執務室でかなり話し合った。アベルやシェラにも式に出席してもらおうという話になった。




 そして、カイトの結婚式の日になった。


 式は城内の広間で行われた。第三王子とは言え、オストガルドの王子の結婚式でもあることから、城下町は全体的に祝賀のムードが高まっていた。


「おめでとうカイト」

「有難うホーク。そうだ、式中にも紹介したけどあらためて……シア。ここに来てくれ」


 カイトが呼ぶと、妻となった名家の娘、シアがカイトの隣に来た。


「妻のシアです。これから夫と共に宜しくお願いします」

「こちらこそ宜しくお願いします。良い夫婦になって下さい」

「はい」

「はい」


 ホークの言葉に、カイト夫妻は口を揃えて返事をした。


「いや、そんなに僕の言ったことに二人共かしこまらなくても……」

「いやいや、お前の助言は何時でも的確だからな。かしこまってしまうよ。これからも頼む」

「そうかあ。何の気なしに言ったんだがなあ」


 ホークがそう間延びをした言い方をすると、カイト夫妻は声を出して笑った。


「よう。仲良くやってるな。おめでとう」

「おめでとうカイト君」


 結婚式に出席していたシェラとアベルもカイト夫妻を祝いに来た。


「二人共有難う。これからも頼むよ」

「僕に出来る限りのことはするよ。これからも宜しく」


 アベルはそうカイトに返事を返していたが、シェラはなぜか周りを見回していた。


「どうした? シェラ?」

「いや、お前の兄貴連中は今日はいないようだなと思ってな」

「嫌いな弟の結婚式には立ち会いたくなかったんだろう。その方が俺としても良かったよ」

「あのお二方は僕もどうも好きになれないな……」

「僕達は皆そう思っているよ。ただ、あまりそれを面に出してはいけない。僕達の損になるだけだからね」

「そうだな。ホークの言う通りだ」


 ホークの忠告を聞いて、ホーク以外の四人はうなずいた。その後、カイトはため息をつきながらこう漏らした。


「母上は名目上、式に出てくれたが、早々に退席されたからな……。結婚式の時くらい普通に祝って欲しかったよ……」

「大変だよな……。お前の所は……」


 少し重苦しい空気が漂ったが、それを払うようにシェラが言った。


「なあに。俺たちが祝いまくってやるよ! まあ、とりあえず皆、飲もう! 食おう!」


 そう言いながら、シェラはグラスにシャンパンを注ぎ始めた。


「よし! カイト! 皆! グラスを取ってくれ!」


 皆、シェラが注いだグラスを言われるままに取った。


「二人の新たな門出を祝って乾杯!」

「乾杯!」


 シェラの乾杯の音頭で皆、グラスのシャンパンを飲み干した。


 皆に笑顔が戻った。

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