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War King(戦王)  作者: チャラン
第七章 新たな旅立ちとエルフの浄石

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第三十二話 陰険な兄たち

 ホーク達は鳳雅亭というレストランに移動した。この店はオストガルド随一の高級店で味も評判がいい。皆で話しあった結果、話の種に食べに行ってみようということになった。


「本当に大丈夫なんですか? サリアさん? ここは高いらしいですが……」

「大丈夫、大丈夫。任せなさい。あなた達は美味しいものを食べることだけ考えてればいいから」

「そうですか。じゃあ入りますよ」


 ホーク達は店の扉をくぐった。


「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

「五人です」

「それでは、こちらの席にご案内します。どうぞ」


 店に入ると受け付け係の店員が席へ案内してくれた。席は円卓だった。


「ご注文がお決まりになりましたら、お呼び下さい」


 円卓の椅子に座ると、ホーク達は備え付けのメニューを見始めた。メニューはご馳走ばかりでサリア以外はどうしたものか迷っていた。


「遠慮はいらないわよ。お金は沢山持ってきたから、いっぱい食べなさい」


 サリアは四人を見ながら笑みを浮かべていた。


(俺も一応この国の王子なんだがなあ。一般の候補生と同じ扱いだったから確かに金はあまりないが…まあサリアさんの好意に甘えよう)


 カイトはそんなことを思いながらメニューを選んでいた。メニュー選びにとまどっているのはカイトも同じだった。


「僕は決まりましたよ」

「よし! 俺も決めた」

「同じく俺も」

「僕も決まったよサリアさん」


 ホーク達四人はそれぞれメニューを決めたようだった。


「皆、決まったようね。それじゃ店員さんを呼ぶわよ」


 そう言うとサリアは円卓に備え付けてあった鈴を鳴らした。チリチリーンと良い音がなった。


「ご注文はお決まりですか?」

「ええ、私は……」


 サリアから順々に思い思いのメニューを言ってゆき、ホークが言う番になった。


「ローストチキンとコーンポタージュ、ロールパンとミルクを下さい」

「かしこまりました……?」


 ホークの注文を聞いて、皆なんとも言えない顔でホークを見た。ホーク自身はきょとんとしている。


「ん? 何か変なこと言った?」

「変なことは言ってないけどさあ。せっかくこういうお店に来たんだから、もっと豪華なものを頼んだら?そのメニューじゃ普通のランチとあんまり変わらないじゃない」


 カイトも暫く何とも言えない顔をしていたが、苦笑の表情に変わった。


「どうしたのカイト君? 苦笑いなんか浮かべて?」

「いやいや。ホークらしいなと思って。こういう奴なんです」

「欲があんまり無いのね。まあ好き好きだし、それでいいんならいいわ。店員さん、以上でお願い」

「はい。かしこまりました。暫くお待ち下さい」


 店員はそう言うと厨房にメニューを伝えに下がって行った。


「やっぱり面白い人だね君は。友達になってからの付き合いは二年間だけどまだまだ僕が知らない面があるんだろうな。君には」


 アベルも笑みを浮かべながら、そうホークに話し掛けた。


「いやーそう面白い人間でもないと思うんだけどなあ」


 ホークは頭をかきながらそう答えた。


 そんな風に雑談をしているうちに料理が運ばれてきた。豪勢なものが来た。


「どうぞごゆっくり」


 店員は料理をすべて運び終えると下がっていった。


「さあどんどん食べてよ。足りなかったら追加で注文してもいいからね」

「はははっ。それじゃあサリアさんの気前の良さに感謝して頂きます」


 ホーク達は料理に手をつけ始めた。


 食べ始めてから暫くして、不意に店の扉が開き、何人かの客が入って来た。


(……まあレストランだから他の客も入ってくるよな)


 ホークはそう思っていたが、ホークの隣に座っていたカイトは顔色が変わっていた。その様子を見てホークは小声でカイトに声をかけた。


(どうしたんだ?)

(……兄達だ)

(なんだって? あの客が?)


 ホークはチラッと入って来た客を見直した。ニ、三人の取り巻きの中に、身なりのよい二人の客がいた。ただ、よい雰囲気は感じなかった。


(気付いていない振りをしておこう)

(分かった)


 ホークとカイトはあえて、カイトの兄…第一王子、第二王子の方を見ずに食事に専念した。カイトが兄達と不仲なのは、前述している。


「……? おい」


 第一王子の方がカイトに気付いたようだった。第二王子に目配せしている。


(気付かれたな……)

(仕方ない……)


 カイトは観念したようだった。カイトの二人の兄達がこちらに近付いて来た。


「ようカイト。久しぶりだな。珍しいじゃないか、こんな高級店で食事とは」

「お久しぶりですウオルフ兄さん、バリル兄さん」


 二人の兄はにやにやしながらカイトに話しかけてきた。角のある言い様といい、からかってやろうという魂胆が見え見えだった。


「そういえば今日は士官学校の卒業式だったな。まあ卒業おめでとうと言っておこうか」

「有難う御座います」

「だがな。お前は第三王子だ。お前は父上には可愛がられているかも知れないが、この国を動かしていくようになるのは俺たちだ。そこをよく覚えておけ」

「……!」


 カイトは第一王子のウオルフの言葉に怒りがこみあげてきたが、それを側にいたホークが手で制した。


「で、ここの支払いは高いんだぞ? お前が払うのか?」

「……いえ。ここにいる先輩のサリアさんのおごりです」


 それを聞いた、ウオルフとバリル達は大笑いした。他の客も何事かと注目し始めた。


「やれやれ、そうだよな。お前は貧乏王子だ。金がないんだよな。先輩にたかるしかないか。女のな。なんならお前らのぶんも俺たちが払ってやってもいいんだぞ。どうする、カイトよ~」

「結構です! それに彼らは私にたかっているわけじゃありません! 私からおごってあげようと言ったんです!」


 やり取りを聞いていたサリアは頭にきたらしく、激しい口調でウオルフ達に言い返した。


「おおこえ~サリアさんよ? 言うじゃねえか? 父上の直属の士官になってるからって調子にのってんじゃねえか?」

「調子にのっているのはあなた方の方です! 失礼でしょう! いくら王子とはいえ!」

「こわいね~。じゃあここはサリアちゃんの言う通りにしておくかな。おい! お前ら奥の部屋で食うぞ!」


 ウオルフ達は店の奥に入って行った。


 ホーク達が座っている円卓には、気まずい雰囲気が流れていた。その雰囲気をなんとかしようとサリアが口を開いた。


「カイト君って王子様だったのね。さっきのウオルフ王子達との話でやっと気付いたわ。カイト王子と呼ばないといけないわね」

「僕は本国で育てられたのは七歳の頃までですからね。気付かないのも無理はないですよ。それと、王子はやめて下さい。今まで通りカイト君とでも呼んで下さい」


 サリアはそれを聞いてふふっと笑った。


「じゃあ今まで通りそう呼ぶわ。食べなおしましょう。ってホーク君!」


 ホークはあのやり取りの間でも何事もなかったように食べ続け、ほとんど平らげていた。


「いやーやっぱり高いだけありますね。ローストチキンもおいしかったです。ご馳走様」

「本当に君は肝が太いというか、何と言うか……」


 アベルが半ば呆れ気味にホークにそう言うのに、皆笑ってしまった。

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