第二十七話 二人が祈る教会
夏祭りのリゾレッタ商店街……。
通りには、色々な出店が並んでいた。ちょっとした食べ物、出店ならではの玩具など売っているものは様々だった。
「ねえ! ホーク見てよ! 色々珍しい物があるわよ!」
レンは嬉しくて仕方がないようだった。ホークはレンが楽しいならいいやと思っていた。ホーク自身も楽しくないわけでもないのだが……。
「何か買ってやろうか?学校から給金が出てるからそこそこ金を持っているんだ。ちょっとした物なら買ってやれるぞ」
「無理してるんじゃないわよね?」
「してないしてない。してないけどあんまり高いのは勘弁してくれ」
「本当に買ってもらってもいいのね。じゃあ……」
ホークとレンは安価なアクセサリーを売っている出店の前に来た。
「いらっしゃい。安いし綺麗だよー。何が欲しいのかな? お嬢さん?」
レンは暫く迷っていたが、小さくて綺麗な石がアクセントになっているネックレスを選んだ。
「ホーク。これ買ってもらっていい?」
「いくら何でも安すぎじゃないか? それ?」
「いいのよ。これに決めた」
(僕よりケチかも知れないなレンは)
ホークはそう思いながら財布から金を取り出して、出店の店主に代金を渡した。
店主は代金を受け取ると、ネックレスをレンに手渡した。レンは早速つけてみた。
「有難うホーク。ホークにこういう物、買ってもらったの初めてよね。そういえば」
「安すぎるけどな。喜んでくれたのなら良かった」
「十分過ぎるよ、これで」
そう言うとレンは再びホークに手を差し出した。ホークも今度は何も考えずにレンの手を優しく握った。
二人は手を繋いだまま、教会に向かった。教会は祭りの時は夜、リゾレッタの人達が協力して、蝋燭などでライトアップされる。
教会の作りに、ライトアップが映え何とも美しい光景になっていた。
「綺麗ねー。初めて見るわけじゃないんだけど。お祭りのたびに、何回見ても飽きないわ」
「こういう時の教会っていいよな。僕も好きだよ。この眺めは」
二人が暫く、教会の美しさに見とれていると、後ろからポンとホークの肩を叩き、話かけてきた青少年達がいた。
「ようホーク。上手くやっているな」
話し掛けてきたのはカイトだった。ケルトとゾルカスもいる。
「上手くやるも何もないよ。普通にしてるだけさ」
「うん。普通に手を繋いでいるな。いいことだ。じゃあこの後も上手くやれよ」
「……後は教会に入って、お祈りして帰るだけだよ。変な気を回すな」
ホークの言葉にカイトは、はははっと笑いながら手を振ってその場を立ち去った。ケルトとゾルカスも少し笑いながらカイトの後に続いた。
「何なのあれ?」
「デートの邪魔はしたくないらしい。あいつらなりに気を回しているんだろう」
「ふーん。まあいいわ。中に入ってお祈りをしましょう」
二人は教会の中に入って行った。
中も蝋燭の光があちこちにあり、特に祈りの間には大きな燭台に光が灯っていた。その光の守りのためにシージャがついていた。
「ホーク! よく来たな。おや? レンも一緒かい?」
「デート中というやつさ」
「……デートしている本人なのに、他人ごとみたいに言うなあ。お前らしいと言えばお前らしいが」
二人の会話にレンが割って入った。
「シージャ。見て見て。ホークが買ってくれたのよ」
そう言って、レンはさっき出店で買ったネックレスをシージャに見せた。
「へえー。ホークが女の子に何かを買ってあげるというのにまず驚いたよ。大分考え方が変わったんだな」
「変人みたいに言うなよ」
ホークの返答にシージャは笑ってしまった。
「まあ何だ。お祈りに来たんだよな。静かに見ているから二人でお祈りをしていってよ。多分いいことがあるよ」
「多分……ね。神職の卵に教会で多分ご利益があると言われるのも珍しいよな。じゃあ、おすすめ通り祈らせてもらおう」
ホークはレンを促して、祭神の女神像の前に二人で並んだ。そして二人で手を合わせて祈った。
暫く祈った後、二人はほぼ同時に顔を上げた。
「ホーク?」
「なに?」
「何て祈ったの?」
「多分レンと一緒のようなことを祈ったんじゃないかな?」
ホークがそう言うとレンは微笑みを浮かべホークに手を差し出した。また、ホークはその手を握った。
側らで見ていたシージャは、何となく満足そうだった。




