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第八話 高瀬咲希




 悠馬が高瀬咲希と付き合い始めたと聞いたとき。


 蓮司が最初に言ったのは。



「誰」



 だった。



「お前会ったことあるって!」


「知らん」


「中学の文化祭!」


「覚えてねぇ」


「俺がめっちゃ話してた子!」


「お前いつも誰かとめっちゃ話してるだろ」


「それ言われると弱い」



 中学の文化祭で知り合ったらしい。


 そのときは、少し話しただけだった。


 連絡先を交換して。


 時々、連絡を取って。


 高校へ進学して。


 同じ校舎で、もう一度会った。



「運命だと思わない?」


「思わねぇ」


「即答」


「同じ地域に住んでて同じ高校受けただけだろ」


「蓮司にはロマンがない」


「うるせぇ」



 そう言いながら。


 悠真は、ずっと笑っていた。





 後日。


 悠真が咲希を連れてきた。



「咲希、こいつ蓮司」


「紹介が雑」


「蓮司、こっち咲希」


「だから雑」



 咲希は蓮司を見る。


 蓮司も見る。



「……どうも」


「どうも」



 悠真が両手を叩く。



「はい! 仲良くなりました!」


「なってねぇ」


「なってないね」


「息ぴったりじゃん」


「うるさい」



 咲希は気が強かった。


 蓮司を怖がらなかった。


 かといって、悠真のように馴れ馴れしくもない。


 必要以上に距離を取ることもなければ。


 必要以上に近づいてくることもなかった。



「悠真から話は聞いてる」


「何を」


「色々」


「こいつの話、半分嘘だから」


「何でだよ!」


「半分で済む?」


「咲希まで!?」



 悠真が騒ぐ。


 咲希が笑う。


 それを見て。


 蓮司は、少しだけ安心した。


 悠真は誰とでも話した。


 誰にでも笑った。


 だから。


 最初は、いつもと同じだと思っていた。



 けれど。



 咲希を見るときだけ。


 少し違った。



 蓮司には、その違いをうまく説明できなかった。




 ただ。


 悠真に合っていると思った。



 何より。


 悠真が咲希といるときの顔を見れば、余計なことを言う気にはならなかった。




 悠真は。


 幸せそうだった。






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