↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/47

第七話 《右腕》





 人数が増えれば、当然揉め事も増えた。


 あいつが気に入らない。


 こっちの派閥がどうした。


 誰が蓮司に近い。


 誰が上だ。


 誰が下だ。



「くだらねぇ」



 蓮司は本気でそう思っていた。



「好きにしろよ」



 そして、この言葉が最悪だった。



「好きにしろって言ったじゃないですか!」


「限度があるだろ!」


「どっちだよ!」



 殴り合いになりかけた二人の間へ、悠真が入った。



「はいはいはい。ストップ」


「相馬さん!」


「お前は何で殴った?」


「こいつが――」


「じゃあお前は?」


「こいつが先に――」


「分かった。じゃあ両方馬鹿」


「は?」


「文句ある?」



 悠真は笑っていた。


 それなのに、妙に逆らいづらかった。


 蓮司ほど喧嘩が強いわけではない。


 明確な異能もない。


 それでも《接続》が起きて以降、身体能力は明らかに上がっていた。



「蓮司の近くにいたら筋肉ついた」


「そんなわけあるか」


「じゃあ成長期」


「便利だな成長期」



 常人離れした力で二人の襟首を掴み、そのまま引き離す。



「ほら。仲直り」


「無理っすよ!」


「じゃあ離れとけ。次殴ったほう俺が殴る」


「横暴!」


「蓮司よりマシだろ?」



 誰も反論できなかった。


 人懐っこい。


 誰とでも話す。


 名前を覚える。


 派閥が違っても気にしない。


 必要なら腕力も使う。




 いつの間にか、蓮司へ直接言いづらいことは悠真へ持ち込まれるようになった。



「悠真さん、久世さんにこれ――」


「自分で言えよ」


「無理っす!」


「何で」


「怖い!」


「蓮司ー。怖いって」


「聞こえてる」


「ほら怖い」


「お前から殺すぞ」




 そうして。


 誰が言い始めたのか。



 相馬悠真は、久世蓮司の《右腕》と呼ばれるようになった。



「右腕だって」



 悠真は気に入ったらしい。



「かっこよくね?」


「ダサい」


「ひど」


「勝手に名乗んな」


「じゃあ左腕?」


「そういう問題じゃねぇ」


「参謀」


「違う」


「腹心」


「うるせぇ」


「親友」



 蓮司が黙った。


 悠真が笑う。



「それは否定しないんだ」


「……殺すぞ」


「照れんなよ」



 顔のない巨人が、その後ろで静かに立っていた。


 黒き獣は、悠真の足元で欠伸をしていた。


 蓮司は。


 そんな日々を。


 悪くないと思っていた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。