第四話 三者三様
学年が上がるにつれ、三人の違いは少しずつはっきりしていった。
蓮司は、人から距離を置かれることに慣れていた。
自分が普通ではないことも知っている。
だから誰かが離れていっても、追わなかった。
悠真は、その逆だった。
相手が誰であろうと、あまり壁を作らない。
喧嘩をしても翌日には話しかける。知らない奴の輪にも勝手に入っていく。蓮司が「ほっとけ」と言った相手にまで手を伸ばす。
「お前、誰にでも絡むよな」
「だって喋ったほうが面白いじゃん」
「面倒くせぇだろ」
「蓮司が人間関係切るの早すぎんだよ」
「いらねぇ奴と付き合う意味ねぇだろ」
「そういうとこ!」
「うるせぇ」
直人は、その二人のどちらでもなかった。
人に嫌われるのが怖い。
変な奴だと思われるのも怖い。
だから相手に合わせる。
おかしいと思っても口にしない。
見えても、見えていないふりをする。
けれど、だからといって人が嫌いなわけではない。
むしろ。
二人が羨ましかった。
悠真が黒き獣へちょっかいを出す。
「お手」
獣は動かない。
「お手!」
動かない。
「蓮司、こいつ躾できてないよ」
「お前が躾されろ」
「ひど」
その光景を、直人は少し離れた場所から見ていた。
見えていないふりをしながら。
でも、口元だけは笑っている。
蓮司は、そんな直人を時々見ていた。
羨ましいなら、こっちへ来ればいいのに。
そう思うこともあった。
けれど、それを口にしたことはなかった。
蓮司には悠真のように、人を自分の側へ引っ張ってくることはできなかった。




