↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/47

幕間 ーいつかの帰り道ー



久世蓮司が「今度、飯くらい奢る」と言ったのは、エルデ村を離れる前だった。


 あのときは、それどころではなかった。


 長く村を覆っていた呪いが消えたばかりで。


 土地はまだ痩せていて。


 村人たちは、これからどうやって暮らしていくのかを考え始めたばかりだった。


 朝倉直人自身も、目の前にいる美月が本当に生きているのだと、何度も確かめなければ信じられないような状態だった。


 だから、その約束を覚えていたのは直人だけだと思っていた。


「久世くん、本当に奢ってくれるんだ」


「俺から言ったんだろ」


「覚えてたんだ」


「お前、俺を何だと思ってんだよ」


「約束したあと面倒になって、忘れたふりする人」


「帰るぞ」





 食事が半分ほど進んだころ。


 昔の話になった。


 きっかけは何だったか。


「そういえば、昔も久世くんって急に変なこと押しつけてきたよね」


「俺が?」


「……いや、違うか。そういうのは……」


そこで直人が止まる。


「なんかさ。昔、よく一緒に帰ったよね」


「……ああ」


「僕と、久世くんと――」


言葉が出ない。おかしい。



二人だった。


そのはずなのに。


二人で歩いていた景色を思い出そうとすると、なぜか道幅だけが広すぎる。


誰かのために空けていたような場所が、二人の間にある。


直人自身も変な顔をする。


「……誰だっけ」


蓮司は黙る。


直人は笑って誤魔化す。


「変なの。二人だったっけ」


「…………」


「でも、二人じゃなかった気がするんだよな」


ここで蓮司が、銀の騎士を見る。






忘れたのではない。


忘れさせられたのだ。


それでも、十二年という時間は。


どうやら世界が思っているほど、綺麗には消えてくれないらしい。






――第四部 普通を知らなかった僕らへ








第三部までお読みいただき、誠にありがとうございます!


ここまでの蓮司と直人を中心とした物語、いかがでしたでしょうか?

少しでもお楽しみいただけていましたら幸いです。


さて、第四部の掲載まで少しばかりお休みをいただきます。

次回は、9月12日(土)より再開予定です。


第四部は、蓮司の過去編となります。


蓮司がこれまでどのような人生を歩んできたのか。

直人とは、どのようにして今の関係になったのか。

これまで語られてこなかった彼らの過去を、少しずつ紐解いていきます。


以前、名前の出た「あのお方」の出番もありますので、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。


それでは、今後とも『僕らは一度、救われてしまった』をよろしくお願いいたします!m(_ _)m



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。