第八話 祭りの準備
村始まって以来の、大きな祭りになった。
何百年もの間、飢えに怯えてきた土地に、たくさんの食べ物を用意する。
簡単なことではなかった。
小さな従者の力があれば何でも一瞬で実る、というほど都合のいいものではない。
土地は傷んでいる。
水も人手も足りない。
そこで管理局が外部から物資を運び、村人たちが畑を耕した。
小さな従者は、弱った土へ少しずつ生命力を巡らせた。
美月は村人たちと一緒に作物の世話をした。
顔のない巨人は畑を耕し、岩を運び、あまりに便利だからと際限なく働かされた。
黒き獣は山を駆け回り、必要なものを探し、いつの間にか村の子どもたちに追い回されていた。
銀の騎士は黙々と準備を手伝った。
蓮司は終始、面倒そうな顔をしていた。
それでも最後まで帰らなかった。
そして。
カボチャが実った。
一つ。
また一つ。
美月のトマトも、負けじと真っ赤に色づいた。
村人たちはそれを見て、何度も目を疑った。
食べ物が実る。
来年ではなく。
いつかでもなく。
自分たちの目の前で。
祭りの日。
大鍋いっぱいのカボチャのスープが作られた。
焼いたカボチャ。
煮物。
美月のトマトを使った煮込み料理。
村人がそれぞれ作れるものを持ち寄った。
管理局の職員まで鍋を運んでいる。
食べ物が足りないことを恐れ続けてきた村に、その日だけは食べきれないほどの料理が並んだ。




