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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第四章-どうしてこうなるんだ異世界-
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56.きゅんきゅんキュッキュッ

 * * *


「やはり阿呆共は愉快であるな」

「退屈はしない」

「ほう? 見る目があるな、ロロとやら」

「ところで貴様――」

「ルナトリックだ。我輩もそなたと同じで貴様と呼ばれるのは少々不愉快だ」

「貴様も奴等と同じくこの我に反論するか。ならば認めよう。ルナトリックよ、どうやってその力を身につけた。外法の類か?」

「……ロロよ、今の我輩はこの言葉しか言う事は出来ない。我輩はそなたの敵ではない」

「そうか。ならば良い」

「邪神とは寛大な御心の持ち主であるな」

「先は貴様を……ルナトリックを殺すと言ったが、ラリルレが信じたものを手にかける事はしたくない。それだけだ」

「我輩としてもその方が望ましいのである。外界からの使途を退けた一柱と矛を交える。それこそ愚者の極みであるからな」

「……貴様、何処まで知っている」

「ルナトリックだ。そして今はこう答えることしか出来ない。我輩はそなたの敵ではない。と」

「……食えん奴だが、認めよう。我はロロでお前はルナトリックだ」

「今後とも何卒よき付き合いをお願するのであるよ。影の立役者、ゲゼルギアよ」

「我は我の目的で動いていただけだ。それ以下でもそれ以上でもない。そして、我はロロでお前はルナトリックだ」

「そうであったな。よろしく頼むぞ、ロロとやら」

「変わり身が早いな、もうあの態度は止めたのか」

「そなたが言ったのであろう? そなたはロロで我輩はルナトリックと」

「そうか。ならば良い」


 * * *


「やです!!イキョウさんが<インフィニ・ティー>のリーダーなんです!!」

「おにーんさんじゃないと」「やーだ」

「へい……引き続きオレってことで」


 シアスタと双子からせがまれて、オレのリーダーは続行となった。

 本当はやだよ、こんな名ばかりリーダー。それに加えてロロとナトリが殺し合いしないかも気にかけなきゃいけないんでしょ?


 気苦労が耐えない……。


「とにかくロロとナトリはアレ止めろよ!! 絶対だかんな!!」

「案ずることはないのである。最大限努力はしよう」

「善処する」

「どっちもオレが使う奴!!濁す奴!!」

「頑張れよ、名ばかりリーダー」


 ソーエンが肩ポンして憎たらしい目で見てきやがる。


「ソーキス、お前リーダーやんない?」


 オレは頭の上でだらんとしているソーキスに最後の希望を託す。


「やだー」

「だよねー」


 分かってたよ。いいよ、まだ続投してやるよ。でもチャンスがあれば誰かに押し付けるからな?


「あの……イキョウ殿」


 このごちゃごちゃな空気の中、コロロがおずおずとオレに声を掛けてくる。

 良いたい事は分かってるさ。


「大丈夫、もう一段落したからやろ。ってかオレがやりたい。この時間だけがオレを癒してくれる」


 コロロは鍛錬したいのを我慢して、オレ達のことを優先してくれた。でも、オレの中ではこの朝の時間はコロロが最優先だ。今すぐにでも始めたい。


「そう言っていただけると嬉しいであります」

「むー」


 そして何故かシアスタに睨まれる。


「何?」

「分かんないですけど、でもムカムカします」

「それは絶対食いすぎだって。後で胃薬買ってあげるから今日は大人しくしてな?」

「そんなことは……」

「シアスタ殿は昨日、色んなものを食べたのであります。その中に身体と相性が悪いモノがあったのでありましょう」

「マジ?大丈夫? 体調悪くなったらすぐ言えよ、なんだったらラリルレにお願いして来てもらうか? 我慢しても身体に毒にしかならんから遠慮すんなよ?」

「……あれ? 治りました」

「本当か? 無理して無いか?」

「へっちゃらです……。それどころか元気が沸いて気がします。今ならなんでも出来そうです!!」

「ならいいけど…」

「イキョウさん、コロロさん、鍛錬頑張ってください!! 私はルナトリックさんとちゃんとお話してみます!!」


 元気になったパワフルシアスタはそれだけ言って、ナトリの方にぴゅーっと走って言ってしまった。


「まってー」「わたしたちもー」

「……ソーエン、一応サポートお願い」


 ナトリもシアスタ達も、話せばしっかりと分かり合えるだろうとは思うけど、一応双方の事情を知っている奴がいた方が話がスムーズに進むだろう。


「任せろ。それと――」

「何?」

「ソーキスはそのままか」

「やっべぇ、乗せるの当たり前過ぎて降ろすの忘れてたわ……」

「ボクはいいよー、テキトーにやってるー」

「そうか」


 ソーキスの返答を聞いてからソーエンはナトリ達の方に向かっていった。宿の中でお話でもするんだろう。全員そろってゾロゾロと移動を始めた。

 ソーキスがどうしようと勝手だけど……。


「今からコロロと鍛錬すんだけど、そこ危ないぞ?」

「私としてもソーキス殿に刃を向けるのは憚れるであります」

「ボクなら大丈夫ー。当たっても怪我しないしー」

「なら丁度良いや、一緒に身体動かすか? コロロとやる朝の鍛錬は極上だぞ」

「うへー、それはパース」

「さいですかい」

「えっと…ソーキス殿がいいのなら…いいのでありましょうか?」

「全然良いよー、遠慮なくどーぞー」

「だってよ」

「……了解であります。お二人の力添えを決して無駄にはしないのであります!!」


 コロロは割り切って気合を入れる。

 だから、オレはいつものようにコロロに向かって立つだけ。

 ソーキスのことは心配する必要が無いし、なにより本人が良いって言ってんだから気にかける必要は無い。


「今日の予定は?」


 相対しているオレは、同じくいつものように構えるコロロに問う。


「昨日と同じであります。やはり、どうしても身体強化と基礎的な剣術のみでイキョウ殿に一撃を与えたいのであります」

「望むところだ」

「がんばれー」

「では――いくであります!!」


 * * *


「今日もダメでありましたー!!」


 コロロは良い笑顔をしながら高らかにそう言い放つ。


「いっつも不思議に思ってたんだけどさ、全部回避されてんのに何で楽しそうなの?」


 オレはいつもと同じように壁にもたれかかりながら煙草を吸ってコロロに尋ねる。


「目標が高ければ高いほど、そこに至るまでの道筋を試行錯誤するのが堪らなく楽しいのであります。次はどうやって剣を振れば、どうやって身体を動かせばイキョウ殿に攻撃を入れることが出来るのか。それを考えるだけで次の日が待ち遠しくなるのであります」

「……志が立派過ぎる」

「ねー、ボクだったら疲れちゃうー」

「歩み方は人それぞれであります。私はこのやり方が一番合っていて、イキョウ殿にはイキョウ殿の、ソーキス殿にはソーキス殿の歩みがありますから、自分に合っている歩み方をするのが一番良いのでありますよ。……って、偉そうに語ることではないでありますね」


 コロロはバツが悪そうに言うけど……。


「今のすっごく良い言葉だったから、今度オレが使っても良い? 引用元はちゃんと言うから」

「そ、そうでありますか? そう言っていただけると嬉しいのでありますが、何故だか恥ずかしくなってくるでありますね……えへへ」

「まぶしー。おにいさん、コロロがまぶしくみえるー」

「奇遇だな。オレも目が焼かれそうなほどコロロが輝いて見える。こいつ声も言葉も見た目も何もかもが綺麗過ぎてオレ達が浄化されちまいそうだ」

「はぁぁああ、キュンキュンであります」

「オレもキュンキュンでありますぅー」


 コロロはいつでもオレをキュンキュンにしてくれるなぁ。


 そして……この気配はいつでもオレの心臓をキュッと掴んで来るなぁ。

 この時間には裏庭に洗濯をしに来るやつがいる。オレはその気配を見逃すことなんてありえない。


「何がキュンキュンなの?」


 冷徹な顔をしたやつがこっちに来る。

 洗濯籠を持ってこっちに近づいて来る。


「ニーアだ、やっほー」

「お早うございます、ソーキス様。それで、何がキュンキュンなの?」

「とあるメイドに心臓掴まれるような錯覚がね、そのせいでキュッキュッとなってね」

「心臓の病気? 教会に行って治して貰う?」

「病気じゃなくてストレスだから大丈夫」

「それはそれで大丈夫じゃない気がするのでありますが…」

「それよりどうして昨日は帰ってこなかったの? ずっと待っていたのよ」

「えっと……シーサーペント狩りに行ったらロッククラーケンが居て、討伐したら疲れて寝ちゃいまして…」

「ロッククラーケンを!? とんでもない偉業でありま――」

「そんな理由で私との約束を破ったの?」

「ニーア? そんなって言うにはあまりにも――」

「コロロ、それ以上は何も言わないで。部屋に戻った方が良い。着替えて朝食食べな?」

「えぇ…私がおかしいのでありますか?」

「ソーキスはどうする?」

「おにいさんの行く末を見守るよー」

「流石オレの半身。心強い味方だよ」

「えっと…」

「良き朝食をね、コロロ」

「いってらー」

「はあ…お先に失礼するのであります…」


 コロロは困惑しながら去っていく。これでいい、これで無関係なコロロは逃がせた。


「ニーア……もう一回だけ弁解させて?」


 オレは悪あがきをするが如く、ただただニーアに事情を説明するしか出来る事がなかった。

 その結果、ニーアから『何でもあなたのお願いを一つ聞くわ』と訳の分からない条件を出されて何とか許してもらった。

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