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21.新居

 魔導学院入学が正式に決まった俺と、従者として登録されたお姉ちゃんは、泊まっていた宿から荷物を運び出して引っ越しを終えた。引っ越しの先は魔導学院の学生寮である。


「る、るぅくんが住むところがこんなに小さくてしょぼいなんて許されない……学院に抗議してやる……!!!!!!」

「お願いだからお姉ちゃん目立つようなことはしないで僕は入学早々から周囲のクラスメイト達に恐れられる孤高の金髪ヤンキーみたいな学院生活をしたくないの。これでも学生寮のなかでは一番いい部屋みたいだし……」


 まあ、いい部屋にしてもらったのは僕というよりはお姉ちゃんのことがあったからだろう。ジョイヤーロ先生が随分強引に部屋を用意してくれたみたいである。誰かを追い出したりしてなけりゃいいのだけど。

 俺たちがあてがわれた部屋は、部屋といってもさらにその中が三部屋プラスキッチントイレ風呂場に分かれており、子供二人が過ごすには十分すぎるくらいの広さだった。先日まで過ごしていた宿の部屋よりもずっと広い。しかしお姉ちゃんはまだ待遇に不満があるらしく、ぶつぶつと文句を言っていた。


「まったく……るぅくんを何だと思ってるのかしら。神にも等しい存在のお住まいがこんな部屋だなんて」


 などと言いながらお姉ちゃんはそれぞれの部屋にあったベッドを一つを残して解体する。


「お、お姉ちゃん何やってるの……?」

「え?だって邪魔でしょ二つも三つも。どうせ二人で添い寝するんだし」


 さも当然のごとくそう言いながら、お姉ちゃんはベッドだけでなく部屋と部屋の壁まで吹き飛ばしにかかる。


 べきん。ばごん。どかん。


「あの~お姉ちゃん?」

「どうせあたしとるぅくんだけしかいなんだから壁なんて邪魔なだけだよね!少しでも快適に過ごせるようにリフォームするから、待っててねるぅくん!!」


 どうやらこの姉にはプライバシーという概念はないらしい。少なくとも俺たち姉弟の間にはないものだと考えている。俺はやれやれとため息を吐いた。しかし、こんなに独占欲が強くて弟離れができていない状態で、俺は学院生活を始めちゃっていいのだろうか。クラスメイトの女の子とか――

 と、そこまで考えて、俺は根本的な問題を今更ながら思い出した。


「そうだ!魔導学院!勢いで入学しちゃったけど、よく考えたら僕ほとんど魔法使えないじゃん!!!!どうしようお姉ちゃん!!」


 もっと早く考えておけという話なのだが、ついジョイヤーロ先生の懇願するような視線と、姉をちゃんと光の当たる場所で活躍させるべきではという使命感にかられて、深く考えずに入学を決めてしまったのだ。


「へ?別にるぅくんが魔法を使えなくても、神に等しいるぅくんが入学するだけでこの学院の格は上がるんだからるぅくんは何も気にしなくていいと思うよ」


 だめだ!お姉ちゃんは価値観がズレすぎている。俺は頭を抱えた。

 せっかく転生したにも関わらず、俺は別にチート能力を手に入れたわけではない(チート姉は手に入れたけど)。一応お姉ちゃんに教わって、一通りの魔法は試してみたけれど、どれも大してモノにはならなかったのだ。

 ただでさえ七歳で魔導学院に入学するのは早い方だろう。余程の才能がない限り、落ちこぼれてしまうに違いない……どうしたものかと、俺はがっくりとうなだれた。

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