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第五十一幕

俺達は長い廊下をひたすら走っていた。


「ったく!どんだけなげぇんだよ!」


「黙って走れ!」


途中魔獣が立ちふさがったりもするが一瞬で倒せるほどのザコだから問題ない。

ひたすら走り続けていたその時天井の一部が崩れそこから何かが現われた。


「よぉ、会いたかったぜ?」


目の前に現われたのはジョーカーだった。


「テメェ……氷華先いけ」


「兄様、ここは私に任せて」


すると背後からみのりが急に現われた。


「お前、いつの間に?」

「さっきです。さぁ早く行って!」


「分かった。行くぞ!」

「気をつけろみのり」


みのりを置いて俺達は走り出した。







「あっさり通してくれたんですね?」


「あぁいや別に。どうせ邪魔しようとしてもお前が邪魔するだろ?だからお前殺してからでいっかなってな!」


ジョーカーがみのりの目の前にまで迫り、斬馬刀を振り下ろした。


しかし振り下ろしたその瞬間にはすでにみのりはジョーカーの後ろにいた。


「はぁぁ!」


みのりの剣をジョーカーは前に転がり回避した。


「解の使い手だっけ?テメェは」


「私には全て見えてますよ」


「上等!」



ジョーカーは斬馬刀をブンブン振り回す猛攻撃をしているが、全てみのりは躱していた。


「ちっ!あたんねぇな!」


ジョーカーは一旦距離をとる。



「俺は戦うために生まれてきたって知ってるか?」


「話に聞いたので知ってます」


ジョーカーはニヤリと嫌な笑みを浮かべた。


「本気を見せてやるよ」


するとジョーカーの顔が無表情になった。


(雰囲気が変わった?)



次の瞬間ジョーカーの剣とみのりの剣が交差していた。


「迅い!」


ジョーカーはみのりの腹に蹴りをいれ、吹き飛ばす。


(スピード自体はそこまで変わらない。けど予備動作が無くなっているんだ)


解の力は相手の予備動作を見る事で次の動きを予測する。


つまり予備動作がないと解の力が使えない。


「厄介ですね」


みのりは呪文を唱えた。

ジョーカーのまわりは水で出来た蛇に囲まれあらゆる方向から突込んでいった。


ジョーカーはたくさんの水にのまれたかと思いきやうまく逃れてみのりに突込んできた。


ジョーカーは横に剣を振り抜こうとしている。


しかしみのりはジョーカーの後ろにいた。


今ジョーカーが斬ろうとしているのはみのりが作った水分身。


攻撃してる瞬間は誰もが無防備になる。


分身と気付いてその直後の攻撃をどんなに反応のいい人でも防ぐ事は不可能だ。


キィン!


しかしその考えは崩されみのりの攻撃は防がれてしまう。


「えっ!?」


みのりが動揺した隙をついてジョーカーはみのりの肩口を斬り裂いた。



みのりは一旦ジョーカーから離れる。


「防げるはすがないのに……。まさか……反応じゃなくて反射で動いているの?」


人の反応は情報を脳に伝達してそこから各部位に必要な指令を発する。


だが、反射は脳までいかず脊髄を経由する。


だから圧倒的に反応より早く動ける。


だが、反射というのは火傷しそうな熱いものに触った時に手を放したり、食べ物を口に入れたら唾液が出るといった例が一般でジョーカーみたいな戦いの最中で反射をするのは有り得ない。


そう、ジョーカーは普通ではない。


戦うためだけに作られた人間。


この反射を使うには余計な思考や感情や言語を切り捨てないいけないのだろう。


さっきから眉一つピクリともしない。




ズシャ!


みのりの頬をジョーカーの刀が抉っていた。


(考えている暇がない)

ジョーカーとみのりは激しい斬り合いを続ける。

しかし徐々にジョーカーの刀がみのりにかすり始めた。


その時みのりの顔面をジョーカーが捉えた。


「っ!」


その隙にジョーカーの刀がみのりの腹部を斬り裂いた。


「うっ!……まだまだ!」


みのりは刀を振り下ろす。


「嘘……でしょ?」


ジョーカーは歯で挟んで刀を受け止めていた。


そのままニィ、とジョーカーは笑っていた。


ドスン!と重い音が響く。


「あ…」


みのりの口から血が流れる。


ジョーカーの右手が貫いていた。




グチャグチャと内臓をいじられるグロテスクな音。


完全に人殺しのために生まれてきた。


今まで無表情だった顔がみのりを痛め付けていく度に笑顔に変わっていく。


みのりは手を前にかざし水の術を放った。


大きな水圧により流されていくジョーカー。


(傷が深い……血が止まらない)


「出し惜しみしてる場合じゃないですね」


みのりを目をつぶった。


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